2017年9月定例県議会報告


9月県議会は9月1日召集され、29日まで開かれました。10月に行われる宮城県知事選挙の関係から例年よりも10日ほど早い日程となりました。
今議会には総選挙経費を含めて79億9千万円の補正予算、2016年度決算、みやぎ発展税の適用期間延長に関する県税条例の改正等の条例議案、大震災からの復旧・復興関連工事の工事請負契約議案などが提案されました。
 補正予算には栗原市にある循環器呼吸器病センターの結核病棟を栗原中央病院へ移管する準備として同中央病院隣接地に新病棟を建設する経費、石巻市南浜津波復興祈念公園用地造成費、生食用カキのノロウィルス不活化試験費などが盛り込まれました。
 5人以上の会派が行う代表質問が9月8日に行われて3人が登壇、知事の政治姿勢を問う質問などが出ました。12日からの一般質問は4日間で16人が登壇し、交通網整備、介護保険と養護老人ホーム、土砂災害対策などの政策テーマや各地域の課題が取り上げられました。
 県議会召集後の7日に全国和牛能力共進会の開会式、11日に閉会式が仙台港の夢メッセみやぎで行われ、休会日であったことから多くの県議が参加しました。同共進会は和牛のオリンピックとも言われ、5年ごとに開催されるもので、宮城県でははじめての開催となります。全国39県の代表が参加し、種牛の部のオス、メスなど9分野で争われました。全般にわたって九州勢が強く各分野の最優秀賞をほとんど取りましたが、種牛の若いメスの部で宮城県登米市の小野寺正人さんが九州以外で唯一最優秀賞を獲得しました。
 意見書では社民党県議団が共産党県議団とともに会派間協議に提案した「福島第一原発のトリチウム汚染水海洋放出を行わないことを求める意見書」が合意されて採択されました。
 今議会では本会議での一般質問に岸田清実県議、予算特別委員会と決算特別委員会の総括質疑に熊谷義彦県議が立ちました。







一般質問岸田清実(9/13)


本会議の一般質問で「原子力災害に係る広域避難計画」「医療政策」「自治体の非正規職員」の3点を取り上げました。

(1)原子力災害に係る広域避難計画について

 女川原発周辺三十キロ以内のUPZ圏にかかる七市町は国の防災基本計画(原子力災害編)によって自治体ごとの地域防災計画(原子力災害編)に避難計画を策定することとされました。今年3月の石巻市、女川町の策定完了によって7市町のすべてが出揃いました。今後避難先自治体との協定締結等の作業が進められることになります。より具体的な作業に入ることで改めていくつもの課題が明らかとなっています。

 県は避難計画策定に当たって当該市町に示したガイドラインで原子力災害と他の自然災害等との複合災害を前提として避難計画を策定するよう求めました。しかし複合災害による被害想定を示しておらず、市町ではどのようなリスクの中で避難しなければならないのかが不明となっていました。「複合災害が前提」と示した県が被害想定を示すべきだと求めました。この他に受け入れ自治体の課題へのサポート、社会福祉施設の避難先確保に対する県の支援などについて県の対応を求めました。

(2)医療政策について

a)県立循環器・呼吸器病センター

 県は県立循環器・呼吸器病センターの今後のあり方を検討するため一昨年4月に県北地域基幹病院連携会議を設置し議論を重ね、昨年9月に報告を受けました。それをもとに県として循・呼センターから栗原中央病院への機能移管と循・呼センターの閉院を決定しました。その後栗原市と協議し、了解を経て具体的な準備作業に入っています。移管予定の2019年4月まで1年半となりましたが、多くの課題があることを指摘しました。まず結核医療の政策的位置づけについて取り上げました。機能移管により結核病棟が現行の50床から30床に縮小して栗原中央病院へ移行となります。結核医療は県が責任を持つこととなっており、現在宮城県内で結核病棟は循・呼センターのみです。全県的にカバーする機能であることから結核病棟が栗原中央病院に移行したとしても県の政策医療としての位置づけは維持すべきだと指摘し知事の見解を問いました。その他に職員の身分移行にかかわる課題、患者数減少に伴うセンターのあり方等を取り上げました。

b)国民健康保険の県一元化について

 来年4月からこれまで市町村単位のであった国保の財政運営が県に一元化されます。これまで県は市町村の保険料について二回の試算を行っていますが公表していません。他県では公表しているところもありますが、国からの追加公費1700億円の配分等が確定していないこともあり、正確ではないとの宮城県の判断によるものです。しかし残り半年となり、市町村での準備のためには保険料、県への納付金などが示される必要があります。当初は来年1月に確定値を示すことにしていましたが、市町村の要望などを受けて前倒しの検討に入ってはいますが時期が確定していません。県からのデータ提供が無いために市町村の準備作業が滞っていますし、住民からの来年度以降の保険料についての問い合わせへ対応できず苦労しているとのことです。できるだけ早期に市町村に示すべきだと指摘しました。あわせて医療格差がある中での保険料の公平性確保、保険料増高の可能性などについて知事の見解を求めました。

(3)自治体の非正規雇用について

地方自治体の非正規職員の採用根拠を明確にし、常勤職員と同様に期末手当をするとされている地方公務員法・地方自治法等改正法が今年5月11日可決成立しました。こんご県を含めて各自治体で条例等の整備が行われていきますが、雇い止め、フルタイムからパートタイムへの転換などが行われないよう求めました。



 

予算・決算特別委員会総括質疑熊谷義彦


(1)予算特別委員会総括質疑 9/19

団塊の世代が75歳以上となる2025年を展望しての国の施策の中で医療に於ける混乱が始まろうとしています。病院機能の分化と連携、在宅医療、介護の推進、医療・介護従事者の確保、勤務環境の改善がうたわれ「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」「地域包括システムの構築が急務の課題」とされています。

 目標・建前は良いとしても、この背景にある医療費制御によって多くの弊害が出てくることは明白で「金の切れ目が医療の切れ目」となり、弱者切り捨てになるのではないでしょうか。「医療・福祉・教育は社会的共通資本」であり、後退した施策は許されません。地域毎に医療資源も異なり、国の施策をもちこめば、今以上の混乱を生じることは明らかです。「医療費増大」の内容も、調査しなければなりません。

 県案(目指すべき方向)は

@在宅医療の中心となる在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション、訪問歯科や訪問薬局の数を確保するとともに、偏在の是正や開業医の在宅医療への関与強化などにより、身近な地域で患者本位の医療サービスが提供されることを目指します。

A多職種の関係主体の在宅療養支援体制への関与を促進します。

B従来から地域包括ケアに関与している関係者のスキルアップを図り、各地域でリーダーを担えるように人材育成に努めます。

C住み慣れた場所で、通い・訪問・泊まりなど24時間切れ目のない多様なサービスが受けられるよう基盤整備を進めます。

と述べられています。しかしながら、多くの課題が出てきます。

@方向性、アクションプランにおける目標数値が示されているが、2025年に向けて具体的にどのように進めていくのか人材確保策が不明。

A在宅医療推進協議会の地域毎メンバーはどのように設定しているのか。いかにして県民の声を聞くのか、とりわけ低所得者、老人世帯、独居老人の方々の声をあげていくのか。金の切れ目が医療の切れ目になってはいけないが否か

B医療環境も地域によって異なる都市と地方の間でも異なる。宮城、東北の声をどのようにマニュアル化し国に求めるのか

C医療法で県は勧告・指示に従わない病院等に地域医療支援病院の承認取り消しができるが、協力できない病院等にペナルティは考えているのか。

 県で示されている資料は正に絵に描いた空論であり、医療資源の偏在化も含めて、地域医療の混乱をまねくものです。

(2)決算特別委員会総括質疑 9/25

 昨年度決算が県議会に提出され、決算特別委員会の全大会で総括質疑が行われました。私は次の3点について県を質しました。

@伊達いわなの普及拡大に向け、加工施設整備費の補助率を10/10にすること

Aアスベスト対策について建築物の調査・解体時の飛散防止、作業員の防護策、特別管理産業廃棄物の処理、作業員名簿の確認・保存

B県有施設で、用途廃止施設の解体と土地利用について

 

以上、大綱3点について質疑を交わしました。

@については県はおよび腰。

Aアスベスト対策は不十分等、今後更につめていくことが必要になっています。



 

東京電力福島第一原子力発電所におけるトリチウムを含む汚染水の海洋放出を行わないよう求める意見書


東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)から六年六カ月余りが経過したが、いまだ廃炉実現の展望を明確に描くことはできず、放射性物質を含む汚染水の放出量は現在もふえ続けており、原発事故の収束に向けてのめどはついていない状況である。
本県の基幹産業である水産業は復興途上にあり、原発事故による風評被害のこれ以上の拡大を招く事態は断じて容認できない。そこで本県議会は、東京電力ホールディングス株式会社に対し、汚染水の海洋流出を阻止し、汚染水に係る抜本対策を確実に実行するよう再三にわたって要請してきた。
ところが、本年七月、同社が放射性物質のトリチウムを含む汚染水(以下「トリチウム汚染水」という。)の海洋放出を決断したと報道され、大きな批判の声が沸き上がった。同社は、最終的な方針を述べたわけではないと釈明しているものの、今後の対応に関して、深く懸念を抱かざるを得ない。
トリチウム汚染水は、もともと原子炉建屋内にある高濃度汚染水であり、福島県漁業協同組合連合会が容認した「地下水バイパス」計画による地下水とは汚染レベルが全く異なる。汚染水の希釈後のトリチウム濃度も、国の基準の上限値内とはいえ、「地下水バイパス」計画により排出している地下水の運用目標の四十倍と想定されている。既に、約七十八万トンものトリチウム汚染水が貯蔵されており、これを海に放出した場合、福島県のみならず、宮城県や茨城県など東日本全体の水産業に与える影響ははかり知れない。
また、我が国が参加している「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」及びその議定書においても、水銀、カドミウム、放射性廃棄物等の有害な廃棄物の海洋投棄を原則禁止している。
よって、国においては、このような事態を重く受けとめ、東京電力ホールディングス株式会社によるトリチウム汚染水の海洋放出を阻止するとともに、汚染水対策の実施を確実なものとするため、同社への指導をより一層強めるよう強く要望する。