宮城県議会2015年6月定例会の概要


 6月定例県議会は6月15日開会し、7月3日までの19日間開かれました。今回の議会には補正予算254億84百万円が提案され、燃料電池車導入に伴う水素ステーション設置経費、噴火警報発令の影響を受けた蔵王山周辺の観光振興費などが計上されました。予算以外では子どもを犯罪の被害から守る条例制定や各種条例改正、復興事業関係等の契約議案が提案されました。

 本会議の一般質問には16人が登壇し、復興関連事業の進捗状況、噴火警報の観光産業への影響、医療・福祉政策、農業振興、地方創生などが取り上げられました。復興関連では国による復興予算への一部自治体負担の導入をめぐる知事の姿勢を問う質問が目立ちました。村井知事は福島・岩手の両知事や県内首長より早く一部負担を認める発言をしましたが、それが適切だったのかとの指摘がなされました。復興事業ではその他に被災住宅に住む在宅被災者への支援強化、水産特区の現状と評価などが取り上げられました。

 噴火警報発令による蔵王山周辺の宿泊施設、観光施設の苦境も取り上げられました。知事も答弁の中で蔵王の温泉に宿泊した際に客は自分たち夫婦だけだったと述べ、風評被害の払拭へ努力する必要を語りました。

 社民党県議団は提案された議案中、マイナンバー制度運用のための個人情報保護条例改正に反対しました。情報流出などのリスクが十分払拭されていない中での改正には同意できません。

 意見書は「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関する意見書」をはじめ7本が議決されました。その中には社民党県議団が会派間交渉に提案した「地方財政の充実・強化を求める意見書」が含まれています。請願ではみやぎ9条の会から提出された「安全保障法制の徹底審議を求める意見書提出を求める請願」に岩渕会長が紹介議員となり総務企画委員会に付されました。委員会の採決では否決されて本会議での採決となり、社民党県議団は採択に賛成しましたが賛成少数で否決されました。

 今議会では本会議での一般質問に岸田清実県議、予算特別委員会総括質疑に岩渕義教県議が立ちました。



一般質問 岸 田  清 実 (6/24)
 

本会議での一般質問を6月24日行い、大綱三点について取り上げて県当局の所見を求めました。


マイナンバー制度

 住民登録されている在留外国人を含む全ての住民に、これまでの11桁の住民票コードとは別の12桁の個人番号を付し、法人にも13桁の番号を付番するマイナンバー制度が今年10月から番号の通知という形で動き出します。今国会には「金融分野」「医療分野」への拡大を盛り込んだ改正法案が提案されています。その中には年金情報との連携も含まれていますが、最近明らかとなった日本年金機構からの個人年金情報の流出はマイナンバーの持つ情報漏えいなどのリスクが現実となったものと考えざるを得ません。このような認識の下にリスク処理など何点かの指摘を行い、知事の所見を求めました。


原発災害時の広域避難計画

 県は昨年12月に避難計画「原子力災害」作成ガイドラインを公表し、これに基づき女川原発から30キロメートル圏(UPZ圏)の7市町に今年3月末までの避難計画策定を求めてきましたが公表にいたった自治体はありません。進捗状況を県がどのように把握しているのか、外部との各種調整の際に先行する自治体と遅れている自治体との関係をどうするのかなどについて知事の答弁を求めました。


国民健康保険制度改正

 今国会で医療制度改革法案が成立し、2018年度から都道府県が国保の運営に参加することが確定しました。制度改正が話題となったころは都道府県に全面移管されるイメージが先行していましたが、最終的には都道府県が財政運営に責任を持ち、資格管理、保険料の賦課徴収など住民と直接関係する業務はそのまま市町村に残されることになりました。国保では他の医療保険制度に加入できない無所得者、失業者・非正規労働者などの低所得者や高齢者の割合が高く、高額な保険料を負担できずに滞納が発生するという構造的な問題を抱えていますが、この問題解決にはなっておらず、国保保険料の上昇や県による医療費抑制につながる問題を含んでいることを指摘し、知事の見解を求めました。



予算総括質疑(6/29) 岩 渕  義 教


 6月29日、定例県議会予算特別委員会が開かれ、今回の補正予算、約254億円(うち震災対応分約195億円)の大震災からの復旧・復興経費としての予算、当面急を要する施策に係る経費など予算化された内容について、総括質疑が行われた。社民党県議団会派を代表して岩渕義教県議団会長が質疑にたった。その主な内容について以下、報告を致します。

 第一点は、震災復興への諸課題について、今年は、国の集中復興期間の最終年にあたり取り組みのスピードアップと、将来の宮城の姿が見えるように県民に示していくことが重要ではないか。にもかかわらず、生活や仕事の再建は依然として遅れており、被災地や被災者の実情に応じたキメ細かな対策を求めた。村井知事は「今後、復興の進捗に応じて、新たな課題が生じてくることから、常に被災者に寄り添い、被災市町と連携を密にしていく」と答えた。

 岩渕県議は、被災地域での農業復興総合支援事業についても次のように質した。@被災地の基幹産業である農林水産業の再生における喫緊の課題ではないか。A今回計上された補正予算により、被災した農業施設や資材機器はどの程度まで回復するのか。B今後の事業の推進について、農林水産部長は「この事業は、これまで事業費ベースで約459億円、補助金ベースで344億円の事業を実施し、営農再開にむけて支援したこと。今後は石巻市、気仙沼市、山元町、南三陸町の2市2町での申請が予定」されていることを明らかにした。

 第二点は、森林整備加速化・林業再生事業について5点にわたって村井執行部に質した。(1)山村振興法の改正を踏まえ、森林林業政策の推進と山村の振興に向けてどうか。(2)今回の補正予算による事業内容を示すこと(3)平成23年以来のこの事業の進捗状況、並びに、復興に必要な木材の安定供給しながら、林業や木材産業の振興を図るという目的は達成できるのか。(4)間伐等の森林整備や林内路網整備、多様な担い手の育成と確保の現状と今後の取組はどうか。(5)宮城県における森林施業の集約化に向けた取組方針についてどうか。

 などについて村井知事は、「山村地域に広がる森林は、再生可能でカーボンニュートラルな極めて有効な資源であり、自然環境としても県民の貴重な財産。循環的に利用する林業の活性化は、木材関連産業を含めた地域経済の発展による雇用を創出し、魅力ある地域形成につながるもの」として認識を示す一方、昨年の間伐実施面積2,960ヘクタール、路網整備のための作業道の開設約16万5,000メートルとなっていて、まだ十分な水準に至っていないことも明らかになり、引き続き、森林整備、路網整備、担い手育成・確保を推進のため、関係機関と連帯を図りながら、この事業を継続していくと答えた。

 

 経済商工観光委員会 本 多  祐一朗


 経済商工観光委員会ではまず予算関連議案として、噴火警告の発表に伴う蔵王山麓周辺の宿泊客減に対応する情報発信の強化、ハイラインの無料化に要する経費5,559万円や火山防災対策費として蔵王レストハウスへのサイレン・拡声器設置予算2,117万円がかかり、採択されました。本多議員は、7月末とされているハイラインの無料化について、期間延長を柔軟に実施するよう求めました。

 また、平成15年から始まった「ベンチャー育成ファンド出資金貸付事業貸付金に係る債権放棄」の議案については、同事業が今年3月に清算が終わり運営実績が確定、21社に投資し、3社が新規に上場したものの14社で損失が出たため、県出資分5,000万円のうち1,900万円余を債務放棄する提案となりました。ただし、出資前に比べ3社が株式上場したこと、売り上げは100億円から200億円になり、雇用者数も600人から1400人に増えるなど一定の成果が上がったと報告され、議案は承認されました。

 また、経済商工観光委員会としても昨年度から精力的に取り組んできた「中小企業・小規模企業の振興に関する条例」策定については、県内外調査や委員会審議、関係諸団体からの意見聴取、パブリックコメント等を経て成案がまとまり、委員会案が本会議で可決・成立しました。

 
佐藤詔雄県議は緊急の要件のため原稿が間に合いませんでした