宮城県議会2015年2月定例会の概要


 2月定例県議会は2月17日から3月18日までの30日間開かれました。今回の県議会には一般会計で2014年度補正予算計1,239億円の減額、新(2015)年度予算1兆4,259億円が提案され、新年度予算は大震災からの復旧・復興経費を含むため県政史上4番目の規模となりました。条例関係は地域医療介護総合確保推進委員会条例等が提案されるとともに復旧・復興工事の契約議案などが提案されました。

 本会議、委員会審議を通じて多岐にわたる課題が取り上げられましたが、依然として大震災からの復旧・復興の問題が多くの議員から取り上げられました。災害公営住宅の整備の遅れ、防潮堤を巡る諸問題、仮設住宅の補修や居住期限とその後の対応、被災者の心のケア、復興工事における資材の高騰等々です。各種工事はこの2年間程度がピークとなりますが、暮らしの再建、産業と雇用の再生などハード面ではカバーしきれない問題も多く、被災者一人ひとりに寄り添う県政が求められています。

 原発関係の課題も指摘されました。福島第一原発由来の放射能による汚染物の処理が一向に進んでおらず、同原発の汚染水垂れ流し問題は最近も発覚し、その情報隠蔽体質がまた明らかになるとともに風評被害を繰り返し発生させています。また、女川原発にかかわって県が周辺市町に3月末日まで求めている広域避難計画策定も遅れています。

 このほか、農業問題、教育問題などが取り上げられましたが、教育問題では新教育委員会制度に関連して教科書問題などに関して総合教育会議での知事の議論を求める発言があり、注視の必要が感じられました。

 議案中、精神障害者グループホームを精神病院敷地内に設置することができる条例改正に対して社民党県議団は反対しました。

 意見書は「東日本大震災の集中復興期間の延長と特例的な財政支援の継続を求める意見書」等が採択されるとともに「東京電力福島第一原子力発電所における放射能汚染水の外洋流出への確実な対策を求める決議」が全会一致で採択されました。

 社民党県議団は本会議一般質問に岸田清実県議、予算特別委員会総括質疑に本多祐一朗県議が立ちました。



一般質問と危険ドラック防止条例検討会
 【岸 田 清 実】 

一般質問

 岸田県議は本会議での一般質問を3月2日に行い、原子力災害時の広域避難計画、介護保険制度の二点を取り上げました。

広域避難計画の課題を指摘

 広域避難計画は女川原発で原子力災害が発生した場合に備えて県のガイドラインに基づいて原発から30km以内の市町が三月末までに策定を求められていますが、多くの課題が未解決になっています。@最大21万人が避難する計画ですが、自家用車などの移動手段を持たない避難者のためのバス確保は個別自治体では困難であることから県バス協会との協議は県が窓口となって行うべきA風向によっては汚染地域が広がり県外避難が必要になる場合が想定されることから隣県との調整に県が対応することB原子力災害は長期になることから避難所の一人あたりのスペースに基準を設けるべき等の課題を指摘しました。

介護保険制度に県の役割を求める

 4月から介護保険報酬が大幅に引き下げられ、特別養護老人ホームなどの事業継続に困難が生じる懸念があります。引き下げの根拠となる国の調査に問題があり、県として意見を言うべきこと、施設の内部留保は大規模改修や立替などに備えたものであり事業継続に必要なものであるという認識を持つべきこと等を指摘しました。また人材確保が大きな課題となっていますが、人材コンサルティング会社や他県の事例を調査し、介護職に対する厳しいイメージ払しょくに向けた県の取り組み等を求めました。


 県議会で危険ドラッグ防止条例の検討進む

 議員提案条例の制定を目指して昨年11月から話し合いを続けており、岸田県議は検討委員として参加しています。規制項目や罰則をめぐって仙台地方検察庁と協議するなど検討が進んでおり、いくつかの点で煮詰めなければならない課題がありますが、6月議会での提案に向けて検討を促進していことにしています。



予算総括質疑 (3/5) 
【本 多 祐一朗】
 
 

 ほんだ祐一朗県議は、3月5日の予算特別委員会で代表質疑を行いました。竹下亘復興相が記者団に27年度で集中復興期間を打ち切り、その後は復興事業費の「全額国費」を見直し自治体負担を求める考えを示唆したことに関し「復興事業は道半ば。自治体財政が立ちゆかなくなれば復興事業は中途半端で終わる恐れがある」として「他の被災県・市町村とともに28年度以降、必要な事業費を再精査し、具体的な数字と根拠を持って早急に国に働きかけるべきだ」と村井知事の姿勢をただしました。知事は、「事業規模が大きい(28年度以降約2.5兆円かかる)ため国の支援がわずかでも縮小されれば、県や被災市町への影響は大きい。復旧復興は困難になる」として、「集中復興期間の延長と特例的な財政支援を、これまで以上に強く働きかけたい」と、被災地挙げて運動を展開する決意を述べました。

 ほんだ県議は、つづいてまちづくりと住まいの復興の課題を質問。この中で今年、入居が本格化する復興公営住宅の高齢者の入居率が35%に達し、独居世帯比率も約1割に達することから、阪神淡路大震災で問題となった孤独死を防ぐためにも「高齢入居者等への見守り、健康相談、心のケア、コミュニティづくりなどサポート体制の継続・強化」を求めました。

 県はこれまで仮設住宅については毎年20数億円かけて13市町60箇所のサポートセンターの運営を支援。ほんだ県議は、これを復興公営住宅向けに継続するよう制度化を求めました、

 昨年10月の台風19号による集中豪雨で、若林区井戸浜地区の貞山運河が30メートルにわたり破堤。海水が地区内に流れ込んだため、農産物等に影響が出ました。

 地震と津波、その後の高潮により貞山運河の堤防や護岸は脆くなっています。このため、ほんだ県議はこれまで貞山運河の早期改修を求めてきましたが、予算特別委員会で、今後の改修工事の予定を明らかにするようあらためて求めました。その際、津波や地盤沈下の影響で砂浜の回復が遅れている井戸浜地区の防潮堤復旧や閖上漁港区域内でもともと海岸防潮堤がなく、新たに建設する必要がある藤塚地区の防潮堤整備をセットで進めるよう求めました。

 遠藤土木部長は、「仙台東部地区の貞山運河復旧工事については27年度中にすべての区間で発注したい。また防潮堤整備は国交省が27年度に井戸地区、28年度に藤塚地区で着工の予定と聞いている」と答えました。

 その他、@まちづくり、住まいの復興をめぐる課題A復興基金事業B「地方創生」事業―について質疑しました。

 

 環境生活・農林水産委員会
 【岩 渕 義 教】 


 3月6日〜13日、2014年度補正予算及び15年度当初予算案を審査する環境生活・農林水産予算分科会が行われました。

 環境・生活分野における社会的要請に応えていくための施策を総合的に推進していくとして(1)震災からの復興をはかるため、東京電力福島第一原発事故の対応として除染事業の支援・放射能汚染による損害賠償請求に対する民間支援などを初め、(2)グリーン社会の現実(3)安全安心社会の現実(4)協働共創社会の現実など、環境に配慮したエコタウンの形成、水素エネルギーの導入、省エネルギー設備の導入、ラムサール条約の登録三湿地の普及啓発、アスベスト・PCB対策などに予算計上されました。とりわけ、安全安心確保対策のひとつとして、女川原子力発電所周辺の安全確保と原子力防災体制の整備について、岩渕県議は、再稼働をさせてはならない立場から県の専門家による検討会のあり方などについて指摘しました。

 農林水産部については、当初予算の一般会計で1770億5,740余万円、特別会計で7億1,140余円が計上され、岩渕県議は、本県農林水産業の早期復興を着実に進めていくためには、生産基盤の復旧・担い手の育成などについて質しました。以下、農林水産部として重点的に取り組む4つの施策(1)魅力ある農業・農村の再興(2)活力ある林業の再生(3)新たな水産業の創造(4)一次産業を牽引する食産業の振興を中心に、引き続き農地や農林水産業施設の復旧を急ぎ、原発事故による放射能問題への対応として草地除染(9,600ヘクタール→9,200ヘクタール除染済)を進め、除染稲わら一時保管施設の経年劣化への対策、風評払拭及び販路拡大などの他、操業が本格化する水産加工での人材確保が難しくなっているため、新たな補助制度として、従業員宿舎の建設や従業員の送迎を支援していくこととしました。