宮城県議会2014年11月定例会の概要




 11月定例県議会は11月26日開会し、12月16日までの21日間開かれました。今議会は第350回の節目となったことから、開会日に記念式典を行い、安藤俊威議長の式辞、村井嘉浩知事の祝辞、気仙沼市在住のシンガーソングライター熊谷育美さんのコンサート、三菱総研の小宮山宏理事長の講演が議場で行われました。

 今議会には648億円の補正予算、指定居宅介護等の人員及び運営に関する基準等を定める条例改正や復旧・復興工事関係の契約議案などが提案されました。補正予算では東日本大震災復興交付金基金へ382億円、地域医療介護総合確保法に基づく基金新設のため15億1千万円、エボラ出血熱対策に1千8百万円等が計上されました。

 東日本大震災での福島第一原発事故を受けて地域防災計画に原子力災害対策編が新設され、今年度は県と市町が連携して「避難計画」を策定することになっています。県がこの12月に発表した「避難計画作成ガイドライン」が今議会に報告され、環境生活農林水産委員会で社民党県議団岩渕県議が問題点を指摘して議論しました。自家用車での避難を原則とするなど問題点が浮き彫りになりました。

 全国的に危険ドラッグ吸引による交通事故が続発し、含有物質による中毒で死亡する例も相次いでいます。11月21日国会で薬事法が改正され、監視権限が強化されましたが、さらに条例で規制の幅を広げる必要性について宮城県議会で超党派の議論が始まりました。社民党県議団はその動きを踏まえ、保健福祉部、県警察から現状と課題について説明を受け、条例についての議論を始めました。

 意見書では社民党県議団が「40人学級再開検討に反対する意見書(案)」「山村振興法の期限の延長と森林・林業基本法に基づく施策の拡充を求める意見書(案)」を会派間協議に提案しましたが、「40人学級」は合意を得られず、「山村振興法」のみが採択となりました。

 今議会では岩渕義教県議が本会議の一般質問に、佐藤詔雄県議が予算特別委員会の総括質疑に立ちました。



アベノミクスでの格差拡大等を指摘し本会議で質問
 【岩 渕 義 教】 

 岩渕議員は、12月8日の本会議で大綱四点を取り上げて一般質問を行った。主な事項について、以下のように報告を致します。

〈大綱1〉国政と地方財政について

 アベノミクスによる輸入価格上昇がコスト増となって家計や中小企業を圧迫しており、景気が腰折れしたまま不況下のインフレに陥ることが懸念されていることを指摘し、アベノミクスの続行は、格差を広げ、生活を圧迫する災厄にほかならないのではないか。

 宮城県は既に来年度当初予算の編成方針を固めているが、消費税再増税の延期による自治体財政への影響、特に医療・保健・福祉の面で見直す必要は生じないか。など質した。

 村井知事は、「アベノミクスは経済の好循環を目指すもので、一定の成果が出てきている。一方で、都市と地方の格差の拡大、地域の中小企業への波及が不十分。地方経済にも景気回復の効果を波及される施策が重要」「子育て支援制度や医療、介護、年金など後年度には大きな影響を及ぼすことから、宮城県の施策の展開が可能となるよう、必要な財源は、国において確保されるよう強く求めていく」と答えた。

〈大綱2〉来年4月1日から施行される新教育委員会制について

 教育長は、「来年2月議会への条例改正の提案を目指し関係部局と協議しており、市町村においても同様の作業が行われるものと認識している。」知事は、「改正後、首長が議会の同意を得て教育長を任命するが、教育長は、首長から独立した合議体としての教育委員会の意見決定に基づき事務執行する立場。首長の指揮命令の下に新教育長が職務を遂行することにはならない」と答えた。また、岩渕議員は、新教育長任命の議会同意手続きについて、資質、能力を十分に把握するため、事前に所信表明と質疑することを求めたが、村井知事は「丁寧に行うことが必要であると考えている」との答弁にとどまった。

〈大綱3〉大崎地方の世界農業遺産の登録に向けた県支援体制について。

 岩渕議員は、大崎市をはじめ4町による「水鳥を育む湿地としての大崎の水田農業地域」として世界農業遺産の登録を目指したが、その前提となる農水省の承認を得ることが出来ず2年後に再挑戦することになったことを受けて県としての能動的な支援について質した。農水部長は「極めて意義深く、承認されなかったことは非常に残念。県としては、2年後に向け専門家の知見も活用して、学術的視点から農業システム等の伝統性、歴史性を論理的に整理し、十分に説得力のある内容を再構築できるよう、しっかりと支援していく」と答えた。

〈大綱4〉臨時・非常勤職員等の待遇改善について。

 岩渕議員は、@宮城県知事部局における実態 A宮城県の判断で改善できる事柄 B法律改正、制度の創設など国に要望すべき提言などについて知事の答弁を求めた。

 総務部長から「知事部局の正規職員数が4,987人に対し、臨時・非常勤の職員数は、1,218人、4対1の割合であること、また、10年以上にわたり、恒常的に設置している職に任用している臨時・非常勤職員は、1,218人中、765人で全体の約63%となっている」ことを明らかにされた。また、「地方自治体の臨時・非常勤職員をとりまく環境について、国会において地方自治体の改正が提案され、民間においても非正規労働者に関する制度改正が行われていることから、県として、処遇のあり方を巡る今後の動向を充分に注視していく」と答えた。 



農業問題を取り上げ総括質疑 
【佐 藤 詔 雄】
 
 
9月県内農家に衝撃が走ったコメ価格問題、全農が支払う本年度産の概算金が過去最低になったからだ。18年度に減反は廃止され、米価が上向く見込みは薄く、この先も所得が減り続ければ担い手はいなくなり、地域存続の危機感さえ感じるという状況から佐藤詔雄議員は予算特別委員会で農業問題についての質疑をおこなった。

<米価下落対策資金利子の負担軽減費ついて>
 ○概算金下落による農家の収入減や営農意欲の減退に対してどう考えているのか。
 ○補助対象や補助金の内容など制度の概要についてどうか。
 ○市町村においても農家の借入利息を実質無利子化する取組が行われているが、それらと役割分担についてはどうか。
 ○概算金の下落を受けて県は営農相談窓口を設置したが、補助や融資の制度内容や注意点などをどのように情報提供しているのか、また窓口はどの程度利用されているのか。
 ○新規事業として予算化されている対策については、速やかな情報提供が必要と思うが、農家等関係者への周知や積極的な活用の呼びかけをどのように行うのか。
 ○概算金の下落率が比較的小幅に留まった銘柄米もあることから、今後、消費者に支持され市場で評価を得られるよう、より一層コメのブランド化に取り組むことが必要と思うがどうか。
 ○農林業セーフティネット資金の融資円滑化やナラシ対策の運用改善など、国の米価下落対策への評価についてはどうか

以上のように質したのに対し、県当局は下記の内容で答えた。

 ●コメのブランドについては検討。
 ●相談窓口を県農業振興課のほか県内7地方振興事務所農業振興部、亘理・美里・本吉の改良普及センターに設置し、農家の方々との話し合い・相談を積極的に行う。
●下落したことを受け、コメ農家の資金繰り安定に向けた金融支援策として、政府の収入減少緩和対策の交付金を農家が受け取るまで間、つなぎ資金を確保するため、緊急対策として農家に無利子の短期資金や年利1%以下長期資金を融資する農協に対し、負担する利子相当分の一部を補助する。
 ●生産者の不安を解消し、営農意欲を持ってもらう、農家の利子が実質0%になるよう農協と連携する。

 

 国連防災会議予算で問題点指摘(経済商工観光常任委員会) 
 【本 多 祐一朗】 


 経済商工観光常任委員会では、来年3月に仙台市で開催される「第三回国連防災世界会議」に関連する県事業予算について審査した。

 県では、今議会に、国連防災世界会議予算として、東日本大震災の経験や復旧・復興の状況を世界に発信し、風評の払拭を図るための被災地視察を実施するための経費や、震災を踏まえた新技術・製品を発信し、防災産業市場の拡大を図るための「防災産業展」を開催する経費など、1,050万円を計上、委員会では県の取り組みについて概要が説明された。

 本多議員は「今回の国連防災世界会議の目的がいま一つ明確ではない。『被災地の復興を世界に発信する』とあるが、今回の東日本大震災の最大の教訓は、津波防災の重要性であり、全世界にその津波防災の対策を発信していくことを明記すべきではないか」とただした。

 犬飼経済商工観光部長は「仙台国際センターで開催される本体会議は国連が主催し、国連が中心となって進めることになるが、併行して行われる一般公開事業(パブリックフォーラム)やスタディツアー、エクスカーション等は実行委員会が主催するので、その中で今回の最大の教訓である津波防災対策の重要性について、県の主張を積極的に展開していきたい」と答えた。

 つづいて本多議員はスタディツアーで県が提案している2つの企画のうち「女川コース『千年に一度の町づくり』〜歴史に学んだ女川原発の安全対策」についてどのような内容を考えているのか質しました。犬飼部長は「女川原発建設の際、貞観地震津波をも踏まえて建物の基盤高を14.8mにしたことが、今回津波の直撃を受けなかった。こうした歴史に学んだことを伝えたい」と述べました。本多議員は「歴史を踏まえ、基盤高を高くしたことで津波の直撃を避けることができたとしても、そのことだけを強調したのでは、世界に向けて誤ったメッセージを発信することにならないか」として、本多議員は震災当時の女川原発の状況として「3.11や4.7の地震では、ともに外部電源を1系統残して全て喪失したこと、1号機ではタービン建屋地下で火災が発生し、外部電源復旧まで11時間非常用ディーゼル発電に頼ったこと、海に近い2号機では津波が、取水口から侵入して地下が浸水し、非常用発電機3台のうち2台が起動しなかったこと、最大津波から15分後大きな引き波により海水面が下がりすぎ、冷却水の取水口が3〜5分間むき出しになった可能性がある」等々、公表されている重大事象を指摘。「女川原発が福島第1原発のような過酷事故につながらなかったのはまさに不幸中の幸いで、危機一髪の状況だったと言って過言ではない。こうした地震・津波による被害の実態を正確に伝えることが世界からの参加者の正しい客観的な理解につながるのではないか」とただした。犬飼部長は「趣旨についてはまったくその通りであると私たちも促えている。今回の女川原発の地震・津波の被害の実態が正確に伝わるようにしっかりと取り組みたい」と答えた。

 

 プレハブ仮設補修を取り上げる(保健福祉常任委員会) 
 【岸 田 清 実】 
 

 岸田議員は11月定例県議会から保健福祉委員会の所属となり、介護、医療、福祉を担当することになった。今議会では地域医療介護総合確保基金条例や保健福祉部関係の補正予算などの議案審査、保健福祉部の所管事務の質疑を行った。岸田県議はその中で東日本大震災の被災者支援、とりわけプレハブ仮設住宅の補修問題を取り上げました。プレハブ仮設の多くは建設後3年が経過しましたが、災害公営住宅整備や集団移転地造成などが遅れ、今後も数年間にわたってプレハブ仮設に居住することが強いられる皆さんがいます。県では今年度、仮設住宅のサンプル調査を行い、来年度に必要な補修を行うことにしています。岸田県議はプレハブ仮設住宅が基礎だけでなく居住部分の床などの痛みが進行している事実を指摘し、全体的に必要な補修を行うよう求めました。県当局からは「くい、屋根などは県が、居住部分は市町で対応していく」と回答しました。

 危険ドラッグ防止条例検討委員に

 県議会に超党派で「薬物の乱用防止に関する条例」検討会が設置され、岸田議員が社民党県議団からのメンバーになりました。11月21日に第一回会合が行われ、危険ドラッグの現状、全国の動きなどの報告を受け、12月1日に県薬剤師会からの意見聴取を行いました。今後、県医師会などから意見聴取を行うと共に各会派での議論を進めていくことになっています。