宮城県議会2014年6月定例会の概要




 6月定例県議会は6月13日から7月3日までの21日間開かれ、復興事業実施に向けた国からの交付金の一時積み立て34億4千万円、被災農業者への農業用機械・施設の整備助成19億5千万円などの補正予算や復興工事の請負契約などが提案され、全議案が可決されました。

 本会議の一般質問では 知事が5月に表明した県立による医学部新設について多くの議員が取り上げました。5月25日に東北福祉大が医学部設置からの撤退を県に申し入れたのを受け、急転直下知事は29日に県立による医学部設置を表明し、30日に文科省に申請しました。短期間での方針転換であったことから議会への十分な経過説明がなく、財政問題で一度は県立での設置を断念していたにもかかわらずその見通しも説明されませんでした。また、県内では東北福祉大グループとは別に東北薬科大が医学部設置に名乗りを上げており、これまで行事役あるいは応援団としての立場をとってきた県がなぜ医学部設置の当事者になるのかわかりにくさが残りました。今回の県議会はこれら多くの点について知事が直接議会に説明する重要な場になりました。

 この他に福島第一原発事故に伴う放射性汚染物の最終処分場候補地選定問題、災害公営住宅整備問題などが取り上げられました。

 意見書・決議では社民党県議団は「集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更を行わないことを求める意見書案」「地方財政の充実・強化を求める意見書案」を会派間協議に提案しましたが、「地方財政」のみが合意となり意見書として本会議で採択されました。自民党は「国会に憲法改正の早期実現を求めるために意見書案」を会派間協議に出しましたが、6会派中3会派の反対で合意されませんでした。会派間協議での合意に基づいて本会議に提案する慣例を無視して提案を強行し、公明党県議団も賛成して本会議で可決されました。

 6月県議会では本会議一般質問に岸田清実県議、予算特別委員会総括質疑に岩渕義教県議が立ちました。




本会議一般質問  岸 田 清 実 議員 (6/25)  


1.    公立高校入試制度について

 県内の公立高校入試は昨年度入学制から大きく変更され、それまでの推薦入試、一般入試、二次募集から前期入試、後期入試、二次募集となりました。推薦入試が早期の進路確定の手段になってしまっていたこと、早期に進路が決定した生徒の学習意欲が大きく減退していたことなどの弊害が指摘され、高校側が中学での成績などの「出願の条件」を提示し、それをクリアする生徒は誰でも受験できるものとなりました。その結果、前期試験の出願者が増加し、前期の定員は10%〜20%と推薦並みに据え置かれたこともあり大量の前期試験不合格者を出す結果となりました。前期試験発表から後期試験出願まで短期間であったことから、不合格のショックを引きずった生徒の後期試験に向けての進路指導に苦慮したことが中学校現場から報告されています。高校側にとっても前期試験不合格のショックで定員の枠が大きい後期では十分合格圏内にある生徒がランクを変えて他を受験することとなり、本来なら受け入れているはずの生徒を失うことになっています。「受験機会の複数化」と県教委は言いますが、定員が決まっているわけですから前期と後期に分けても入学者は変わらず、むしろ不合格の機会を増やすだけになっています。全国的には推薦制から前後期に移行し、現在は推薦制以前の一般入試を基本として定員割れの二次募集という形に変化し始めています。他県の経過を見るなら早期に前期・後期の試験制度を見直すべきことを求めました。


2.    県立による医学部設置について

 知事による突然の発表は驚きをもって受け取られましたが、設置実現には多くの課題があります。私はさまざまな関係者からのヒアリングをもとに課題を具体的に指摘し、知事の所見を求めました。はじめに指摘したのは地域医療との関係です。今回の計画では栗原市立栗原中央病院と県立循環器・呼吸器病センターを医学部付属病院に移管することを大きな柱にしていますが、両病院とも地域医療に大きな役割を果たしています。医学部付属病院に移管された後に地域医療との関係はどうなるのか、地域医療に影響を与えることなく600床という病院規模を支える人材確保を行えるのか、同じ二次医療圏に属する大崎市民病院との競合はどう考えるのか等です。次に栗原市との関係について指摘し、栗原中央病院の医学部付属病院移管後の起債(借金)償還への交付税措置の扱い、中央病院が抜けた後の残りの病院の運営等について見解を求めました。


3.    原子力災害時の避難計画について

 東日本大震災での福島第一原発事故後、地域防災計画が見直され、県、市町村とも原子力災害対策編がまとめられました。その中では5`圏(PAZ)、30`圏(UPZ)をそれぞれ予防的緊急防護措置区域、緊急時防護措置準備区域に指定され、避難計画を策定するものとされました。しかし実際には計画策定が進んでおらず、課題もまだ多くあります。風向きで被害を受ける地域が変化することも十分考慮しなければならないこと、被害の拡大も想定してより広域的な避難計画も策定すべきこと、自然災害を伴う複合災害を念頭にすべきこと、市町が避難計画を策定する際には、一層の困難が伴う介護施設入所者や独居高齢者など地域の災害弱者の避難計画も同時に策定すべきことを指摘し、所見を求めました。




予算総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (6/27)



 6月27日の予算特別委員会の総括質疑が行われた。私は、@震災復興への諸課題Aこども病院・拓桃医療療育センターの整備などについて質問しました。この中で、「震災から3年3ヶ月が過ぎたが生活再建の遅れが深刻。防災集団移転促進事業に続き災害公営住宅整備も約3000戸も2年遅れ(29年度)が明らかになるなど、個々の被災地や被災者の実情に応じたキメ細かな対策を求められている。」「被災地域農業復興総合支援費が補正計上されているが、本県の農業関係施設の被害は、18.053ヶ所、272億円、農業資材機械、トラクター、コンバイン等14.165台、435億円にも上がっている。経営体の育成と早期の営農再開への回復・復興をさらに進めるべきだ」と質しました。

 村井知事は「マンパワー不足、資材高騰などが要因となりまちづくりが遅れている。その解消に全力をあげていく」「農業面積の被害は13.000fに及び、10.351fまで回復してきています。今後も市町村より申請があがってきた地区については追加をしていく」と答えました。

 また、復興にむけて解決しなければならない重要な課題となっている東京電力福島第一原子力発電所の原発事故によって生じている1キログラム8.000ベクレルを超える指定廃棄物の最終処分場について、前の定例県議会一般質問(前号議会報告参照)に続き関連質問を行った。「詳細調査候補地の選定について国と3市町の間の意見の相違となっている選定に至る経過を精査をすべき」「3市町の首長・議会・住民は不適正地で一致しています。その中で、環境省は「詳細調査の評価結果を基本として最終的に1ヶ所の候補地を提示」との方針ですから、県内1ヶ所に絞り込むための詳細調査では、一歩も前に進まない」と指摘し、「もし詳細調査の結果、3市町の候補地が不適地であれば1ヶ所の処分場として絞り込まれることはないということで理解して良いのか」と問いただし、村井知事は「そのとおり」と答えた。私は環境省と確認を要望した上で「もし国が国有地を理由に、調査を強行するならば、宮城県と同じように最終処分場を求められている栃木・茨城・群馬・千葉県にも悪影響が生じ、結果として進展しないことも申し添えました。

 次に、拓桃医療療育センターが平成27年4月1日に地方独立行政法人宮城県立こども病院への運営主体移行に伴って、拓桃医療療育センターの職員の身分移行を希望する職員が少ないことから、身分移行希望者の増、法人での職員採用、県職員としての派遣、こども病院からの派遣の検討の必要性などについてただしました。