宮城県議会2013年11月定例会の概要

 

 11月定例県議会は11月22日から12月13日までの22日間、開かれました。今議会には震災対応分を含めて1098億5900万円の補正予算と宮城県民会館の指定管理者を指定する議案などが提案され、全議案が承認されました。

 補正予算のうち震災対応分は923億2400万円で、大震災発災以来の震災対応予算の累計は3兆6921億40万円の巨額に上っています。今回の主な内容は被災市町村での災害廃棄物の収集、運搬及び処分に関わる国からの補助金受け入れと市町村への補助金あわせて422億円余、復興地域づくりに充てられる国からの交付金他の基金積立489億円余です。交付金等は来年度分も含まれている等のためいったん県の基金に入れられた後に事業の進捗に合わせて支出されます。復興公営住宅の建設をはじめとする各種事業は今後2年程度がピークと見込まれています。その他の震災関係で具体的な事業としては農業用共同利用施設の復旧等への助成、被災農業者へ貸与する農業用機械・施設の整備への助成1億5800万円、被災沿岸地域への外国人観光客の誘致促進のための観光商品造成経費3645万円等が計上されました。

 震災対応以外では長時間預かり保育を実施する私立幼稚園の運営及び施設改修への助成2億円、仙台市中央卸売市場の施設整備への助成12億3885万円などが計上されました。

 指定管理者の指定は県有施設について3〜5年ごとに管理運営団体を決めるもので、今議会には宮城県岩出山牧場等16件が提案されました。県による募集ではほとんどの施設でこれまでの団体のみの応募となりましたが、宮城県民会館が2者による競合となり、県の審査によってこれまでの企業体が選ばれて県議会に提案されました。担当する環境生活農林水産委員会への提案では選ばれた企業体のみの審査結果が報告され、もう一方の審査結果は報告されませんでした。「審査経過の正確な報告を受けたうえで審査するのが当然」の意見が出され、環境生活部長から「全庁的な課題として検討する」との答弁がありました。

 今議会では「仮設住宅からの移転に関する費用等の制度化を求める意見書」等7件の意見書が採択されました。社民党県議団は「特定秘密保護法案の制定に反対する意見書案」を会派間協議に提案しましたが、協議途中で成立となったため取り下げました。

 本会議での一般質問に岸田清実県議、予算特別委員会総括質疑に岩渕義教県議、定例県議会に先立つ11月7日の来年度予算調製方針質疑には本多祐一朗県議が立ちました。




本会議一般質問  岸 田 清 実 議員 (12/5)  


1、教職員等の労働環境について

 県教育委員会が行った教職員の健康調査の結果について「教職員22.7%が燃え尽き」と報道されました。これはバーンアウトと呼ばれる調査で、意欲が失われていく症状が表れるとされています。メンタルヘルス調査でもセルフコントロールの範囲を超えるという結果が11.2%となっています。調査表提出者から逆算すると1800人になります。このような現状について県教育委員長の所見を求め「震災から2年以上が経過し、教職員のなかで肉体的、精神的な疲労が蓄積されていることが、数字上からも示されたものと考えております」との答弁がありました。私は対策のためには学校業務の改善が必要であることを指摘し、@正確な勤務時間記録の把握を市町村教育委員会に助言すべきAその際に自宅への持ち帰り仕事を勤務時間として扱うべきB年休の切り替え時期を9月に変更すべきC教育復興加配の継続を国に求めるべきD学校統合加配を現在の2年から拡大すべきE35人学級の拡大に踏み切るべきF被災地における人事異動は慎重にあるべき、と提起しました。教育長の答弁はいずれも前進を見るものにはなりませんでしたが、今後も問題提起を続ける必要があります。さらに私は学校現場での常勤講師(1年雇用)の給与改善、年に1日ある雇用空白日の解消を求め、あわせて知事部局の臨時職員の雇用空白期間解消、消費生活相談員の雇用期間の上限解消を求めました。消費生活相談員は専門性、経験が求められていますが、雇用期間が1年間の非常勤職員であり、雇用回数が基本的に3年、特例として10年までとされています。専門性が求められる職種であり、国も雇用期間に上限を求めないよう通知を出しています。そのことを指摘して改善を求めましたが、知事からは前向きの答弁はありませんでした。


2、放射能対策について

 東京電力福島第一原発じこによる放射能被害はいまだに収束を見ていません。被害を受けた農家などの補償も順調とは言えない現状です。宮城県自体も放射能対策のために通常業務以上の対応を余儀なくされており、その部分についての補償請求が必要です。岩手県は請求したうちの未解決分について原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介申し立てを行うと発表しました。宮城県の損害賠償請求手続きを進めるとともに、必要な場合には同様の対応を検討するよう求めました。また、JAグループが進める農畜産物関係の損害賠償は全体として63%程度にとどまっており、県としても一層の支援が必要であることを指摘しました。家庭の風呂やストーブでの薪使用による焼却灰の扱いについて県内自治体間にばらつきがあり、安全確保のために県が助言を行うことをあわせて求めました。




予算総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (12/9)


 12月9日の予算総括質疑は,@大震災被災地域農業の復興対策A子ども・子育て新制度の対応の大綱2点について知事並びに農林水産部長・保健福祉部長の考えを質しました。

 まず,福島県浪江町の牧場から,牛の飼料として栗原市の農家が保管されている放射能汚染牧草の取引申出について指摘しました。県は,「福島県の意向を確認し,本県の汚染された保管牧草を福島県に送ることは認められない」と答えた。また,被災をうけた農業施設や機械の回復状況や支援対象から外れた個人経営農業の施設・機械への復興支援の県の対応を質しました。あわせて,被災地域農業復興総合支援事業(市町村が実施する農業用施設の整備及び農業用機械の導入等のリース事業の推進し早期の営農再開をはかる)の進捗について質した所,県は,11市町で今補正で計上している15地区を含め49地区にのぼることが明らかになりました。

 大綱2点目の子ども・子育て新制度の対応について,補正予算で安心こども基金を活用して(1)新制度移行(2015年4月予定)に向けて市町村の電子システムの構築及び事前調査への助成として6億円が計上(2)待機児童解消に向けて長時間保育を実施する私立幼稚園の運営及び施設改修への助成として2億円が計上されています。この新制度によって現在の保育制度が大きく変わり,施行まであと1年3ヶ月と短く,実施主体である市町村や保育関係者,特に保護者に情報が十分に提供されていないことを指摘しながら,以下の要旨で質しました。(1)新制度における県の役割と準備状況(2)被災市町に対しては幼児・学校教育,保育,地域の子ども・子育てに,総合的な支援の推進(3)待機児童の増加は,自治体の厳しい財政状況や潜在的待機児童を把握していなかった行政側に帰する理由も大きいのではないか。(4)平成24年の認可保育所における保育士配置状況は,仙台市を除いた34市町村をみますと公私立計3.334人その内訳は,正規保育士1.664人(49.9%)非正規保育士1.670人(50.1%)。この構成と待機児童解消加速プランによって,保育士の引き抜きなど保育所の運営に支障をもたらす副作用が生じているなど,待機児童解消策は,保育士の正規化と処遇改善,人材確保が伴うことが必要と新制度移行に向けての課題を提起しました。




予算調整方針の質疑他  本多 祐一朗 議員 (11/7&12/10-11)   

 
 県の来年度(平成26年度)の予算の編成方針について,11月7日の予算特別委員会で総括質疑を行いました。

 まず,さきの知事選挙で大きな争点となった被災者の医療費等減免措置の復活についてただしました。仮設住宅での生活の長期化に伴い,被災者の健康悪化が心配されることから,本多議員は「昨年8月の県の調査では,プレハブ仮設入居者の5割以上が持病を持っており,民間賃貸仮設の入居者も4割以上に達する。今年4月からの医療費減免措置の打ち切りによる被災者の健康状態への影響調査を県は実施しているのか」質問しました。岡部保健福祉部長は「今年の9月から仮設住宅に入居している被災者の方々の健康調査を実施しており,年内にはその結果をまとめる」と答弁しました。

 これに対し本多議員は,結果がまとまり次第,公表することを要請するとともに「介護保険の要支援者の増加率が全国一になり,被災者の健康悪化は顕著だ。折角,震災や津波から生き延びた命を何よりも大事にしなければならない。医療費減免措置を復活すべきだ」と迫りました。村井知事は「被災者の医療費等減免措置については,新たな制度設計を含め国に要望しており,引き続き働きかけを強めたい」と述べました。その後,11月25日の参議院決算委員会の質疑で,この問題が取り上げられ,「現場の実情に合わせ,運用等の見直しについて厚生労働省と協議する」との答弁があり,今後の国の動向が注目されます。

 このほか,本多議員は復興事業に係わる財源確保の見通しや,来年4月に予定される消費税8%への引き上げに伴う県の使用料,手数料の見直しについて安易な引き上げや過度な引き上げにならないよう内部努力をすべきであることを指摘しました。

 一方,12月10〜12日に開かれた総務企画委員会では,11月定例県議会に提案された補正予算案のうち,復興交付金の第7回申請分に係る東日本大震災復興基金に274億円を追加積立し,震災復興特別交付税の過交付分(国への返還分)として財政調整基金から63億円を取崩した上で,216億円を地域整備推進基金に積立て,また,平成24年度決算剰余金の半分をルール分として財政調整基金に153億円積立てる関係予算案を審査し,承認しました。また,請願審査では「私学助成の充実を求める請願」2ヵ件と「免税軽油制度の継続を求める請願」を採択すべきものと決しました。




経済商工観光委員会 佐 藤 詔 雄 議員 (12/10)


 経済商工観光委員会は12月10日に開催され,東日本大震災の風評影響により落ち込んだ被災沿岸地域への外国人観光客の誘致を促進するため外国人向け復興ツーリズムの商品造成や風評払拭プロモーション映像の作成等に要する経費として,東日本大震災被災地インバウンド緊急回復促進事業費3645万1千円を計上した他,本年7月の大雨により被害を受けた松島公園内の雄島遊歩道を復旧するため,調査設計及び工事に要する経費として,松島公園管理費として600万円などの補正予算審議を行い可決した。

 これらの財源として,国庫支出費・県債・一般財源があてられ,債務負担行為については,離職者等再就職訓練業務委託及び御埼野営場指定管理者業務委託を限度額の範囲内で契約できるよう設定するものとする議案が提案された。

 質問が集中した課題は,東日本大震災被災地インバウンド緊急回復促進事業費についてである。最大の課題は東北・宮城の認知度が低く,どう対応していくかである。メインとしては仙台空港への乗り入れている韓国を中心とする3カ国を対象に進める,観光とビジネスは一体である,地域対応者として海外の記者に対し広告を行う,放射能の問題に対し正確な情報発信を行うこと等の答弁がなされ,執行部提案のとおり決定した。


 


社民党県議団新役員・所属委員会

会  長   岸田 清実  環境生活常任委員会
                 再生可能エネルギー等調査特別委員会

幹 事 長   岩渕 義教  保健福祉常任委員会
                 子ども・子育て環境調査特別委員会

政調会長  本多祐一朗  総務企画常任委員会
                 大震災復旧・復興対策調査特別委員会

財  務   佐藤 詔雄  経済商工観光常任委員会
                 安定雇用・地域経済活性化調査特別委員会

 

      県議会で採択された意見書の内の2本

 


仮設住宅からの移転に関する費用等の制度化を求める意見書

 

東日本大震災の被災地では、プレハブ仮設住宅やいわゆるみなし仮設住宅から災害公営住宅や自力で再建した住宅等の恒久住宅への移転が開始されているが、危険区域以外の被災者の移転費用については災害救助法の対象とならず、負担が大きくなっている。被災者が一日も早く安心して住み続けられる住まいを得るためにも、移転費用の負担軽減が必要である。

 また、避難生活の長期化に伴い、貸主との契約が更新できなかったみなし仮設住宅から別の仮設住宅への移転等、仮設住宅間での移転も生じており、さらに、今後、仮設住宅用地として借り上げた民有地の返還等に伴うプレハブ仮設住宅の集約化により、仮設住宅間での移転を余儀なくされる事例も想定されるなど、本来、行政が負担すべき、自己都合によらない移転費用についても災害救助法の対象とはなっていないため、被災市町は財源の確保に苦慮している。

 よって、国においては、仮設住宅から災害公営住宅等の恒久住宅への移転に際し危険区域以外の被災者の負担軽減を図ること、また、自己都合によらない仮設住宅間の移転費用を支援する制度を確立するよう強く要望する。

 


介護・高齢者施策についての充実・強化を求める意見書

 

最近の高齢者を取り巻く環境は、年金、医療、介護、税制など生活に直結する点で大変厳しい状況になっている。

 とりわけ、介護保険制度については、さきの「社会保障制度改革国民会議」報告の提言を踏まえ、現在の介護保険制度を見直す作業が進みつつあり、高齢者は不安に駆られている。

 よって、国においては、介護保険制度及び高齢者施策の充実・強化を求める立場から、次の事項について実現するよう強く要望する。

一 医療や介護サービスの提供と連動した住宅政策の具体化を図ること。また、低所得高齢者への支援については、高齢者の身体・生命を守る観点から、法令に基づかない各種の宿泊施設や無届施設の実態調査を行うとともに、福祉施設と連携した公共用住宅の活用など、高齢者の多様な「居住の場」を整備すること。

二 認知症ケア体制整備の推進に向けた認知症疾患医療センターの設置や認知症支援推進員・認知症サポート医師の養成など、総合的な施策を推進・支援すること。

三 地域包括ケアの推進の立場から、市町村の地域包括支援センターの体制整備や機能強化に向け、人員や財源などの運営基盤の拡充を図ること。

四 高齢者の社会的孤立や孤独死を防止するため、高齢者への個別サービスを提供する事業者による見守り・支え合いの仕組みづくりなど、ネットワークの構築を検討すること。