宮城県議会2013年9月定例会の概要

 

 9月定例県議会は9月3日から10月3日までの31日間開かれました。今議会には大震災の復旧・復興関連予算526億71百万円をはじめ、総会計で627億7百万円の補正予算が提案されました。その主なものは中小企業等グループ設備等復旧整備資金240憶円、復興関連道路整備費61億円などです。本会議での提案の後、予算特別委員会総括質疑、分科会での審査が行われました。予算外議案では仙台塩釜港仙台港区沿岸漁業経営安定化基金条例制定などの条例議案、各種工事請負契約の締結承認などの条例外議案が提案され、常任委員会での審議が行われました。いずれの議案も可決されました。

 9月県議会には前年度の決算が提案されることになっており、今回も2012年度決算が提案され、決算特別委員会での総括質疑、分科会に分かれての審査を経て認定されました。

 震災復興関連の工事が大量に発注され、資材の高騰、技術者不足による工事会社の受注能力の限界が指摘されていました。工事請負契約の場合5億円以上、工事請負変更契約は元の契約の1割、5千万円以上は県議会の議決が必要でした。今議会で震災復旧・復興契約に限り、2015年度までを限度にそれぞれ10億円以上、2割以上の場合に議決を必要とすることに変更されました。社民党県議団は議会の権限を縮小することになることから慎重に検討しましたが、復旧・復興の促進につながると判断して賛成しました。

 意見書は各会派から持ち寄られたものを政務調査会長会議で意見交換・調整し、全体が合意できるものを意見書として本会議に提案することになっています。社民党県議団は「過労死防止基本法の制定を求める意見書」案を政務調査会長会議に諮りましたが、全体の合意に至りませんでした。

 今議会では、一般質問に本多祐一朗県議、予算特別委員会総括質疑に岸田清実県議、決算特別委員会総括質疑及び2014年度予算調製方針への質疑を岩渕義教県議が行いました





本会議一般質問  本 多 祐一朗 議員 (9/18)  


 9月18日の本会議一般質問で,@東日本大震災からの復旧・復興の課題A東京電力福島第一原発事故の対応の大綱2点について知事の考えを質しました。

 まず,復旧・復興の課題のうち,被災者の医療費減免措置等の復活について,県が減免対象者を「大規模半壊以上かつ住民税非課税世帯」に絞り込んだ上で国に全額負担を求めた経緯と,国が要望を受け入れるまでの間,県が免除額の2割を負担し,残る8割の国負担とあわせ,医療費等の免除を行うよう求めました。

 岡部保健福祉部長は「県が市町村に行った意識調査では,いずれの市町村も1割であっても財政負担は困難との回答で,県においても市町村を支援する財源措置が困難なことから,国が全額費用負担を行う新たな支援措置を求めた。また対象者の絞り込みを含めて,減免の実施は保険者である市町村が最終的に判断するものであり,他には制度設計者である国が定める以外になく,県としてはそのような主旨で国に要望した。なお,県としては財源の裏付けがない限り,県が先行して負担することは難しい」と答えるにとどまりました。

 また,被災者の災害公営住宅1万5千戸の建設予定のうち,今年7月末時点で完成したのは102戸,0.7%にとどまり,これから建設が本格化するのを前に,被災者が入居しやすい条件整備を求めました。

 まず,家賃設定について「入居する被災者が財産の大半を失っている現状を考慮し,一定の低所得者に限られる特別家賃低減措置の対象者を拡大すべきではないか。また,既往の住宅責務を抱える入居者には,ローン支払額を考慮した家賃設定などきめ細かな配慮が必要ではないか」と質しました。これに対し,遠藤土木部長は「災害公営住宅の家賃は通常の公営住宅と同様に,既存責務なども含め資産の有無にかかわらず,入居者の収入や住宅の広さ等に応じて決定されており,民間賃貸住宅と比べて低廉な家賃設定となっている。特に所得の低い方々に対しては東日本大震災特別家賃低減事業で通常よりも低廉な家賃になっている。このため更なる家賃低減の特例措置の拡大や住宅責務を考慮した家賃設定は難しい」と答えました。

 また,「入居した被災者が3年後において一定の収入基準を超過した場合,自主的な退去を求められる。こうした措置は被災者の生活を不安定にし生活再建を果たす期間としては不十分であり要件緩和が必要ではないか」と質しました。県はこれに対し,被災者が災害公営住宅に入るため収入要件を撤廃する期間を現行の震災発生後3年間から10年間に7年延長するよう国に申請する方針を示しました。申請が認められれば,震災で住宅を失った被災者は誰でも,2021年3月まで災害公営住宅や一般の公営住宅に入居できるようになります。

 福島第一原発事故の対応では,汚染水漏れ対策と事故の早期完全収束を国,東電に強く求めることや「子ども・被災者生活支援法」の対象地区を福島県内33市町村に限る政府方針によって,本県丸森町等が対象から外れた問題で,被災者の健康不安等を取り除くため,放射線量を基準に対象地域を決めるよう国に求めるべきと質し,県も強く求めていくと答えました。





予算総括質疑、決算総括質疑  岩 渕 義 教 議員 


 9/2 予算総括質疑(2014年度予算調整方針)

 岩渕議員は,来年度の政策財政運営のカギとなる予算調整方針について,以下のように村井知事並びに県執行部に所見を求めました。

 大震災の復旧・復興事業計画は,来年度は4年目に入り,復旧期から再生期を迎え,本格的な復興の実を結ぶために更なる奮闘を求めた。@被災自治体での用地取得の難航,マンパワーや資材の不足・高騰等の影響の解消,予算の未執行や繰越の発生の回避,煩雑な手続きの緩和を進め,そのしわ寄せが被災者の生活再建に及ばせないようにすることが政治の責務であること。A自治体の予算の繰越は,法律で最大2年までしか認められていないが,未曾有の大震災では2年で復興を果たすことができず,復興のスピードを加速するために,県震災復興計画に基づく再生期までの7年間は繰越ができるように,国に特例措置を求めること等やB福島第一原子力発電所に伴う被害への対応について,放射能物質汚染廃棄物の最終処分場問題,特に,原発事故によって農林水産物に大きな被害を受けているにもかかわらず,民法上,損害賠償請求権が3年で消滅してしまうという問題が発生していることを指摘し,発電所事故に伴う請求権を民法上の時効期間から除外する特例措置法の制定を,被害地宮城県として積極的に国に求めるよう求めました

 知事はじめ県執行部は,東日本大震災被害から一日も早く復興をはかっていくために,被災市町と連携して国に様々な提案を行いながら,解決に向けて,一層のスピード感を持って取り組んでいきたいと答えた。


 9/27 決算総括質疑

岩渕議員は,9月27日決算特別委員会が開かれ,社民党県議団会派を代表して総括質疑を行いました。岩渕委員の質疑要旨は以下のとおり報告します。

 @平成24年度政策財政運営について(1) 震災からの復旧・復興を推進するため、可能な限り積極的に震災に対応した財政運営を推し進めてきたが、平成24年度の政策財政運営について(2) 被災者の生活破綻と窮状を眼前にして、財界の方々の「復興を経済成長に結びつける」とか「危機をチャンスに変える」と捉える姿勢や言動に対し、原発事故による前代未聞の環境汚染被害と風評被害が生じている中にあって違和感をもったが、知事の所見はどうか。

 Aグループ補助金について(1) 中小企業等グループ施設の復旧、整備補助事業、いわゆるグループ補助金は、第7次までの応募状況をみると、事業再開に向けて前を見て進むことができたと思う。しかし、入札不調の多発などにより、繰越事業の完了が困難を伴っている状況にある。県の求めている事故繰越制度の見直しが行われなければ、復興の加速化に大きな悪影響を及ぼしかねないと思うが、知事の所見はどうか。また、グループ補助金のこれまでの執行率や進捗状況はどうか。(2) 第8次募集において、17グループ82事業者の応募に対して、交付決定されたのが5グループ29事業者、19億4,637万円の補助金決定であった。応募件数や交付決定数がともに小規模となっているが、その理由についてはどうか。(3) 「津波浸水で特に復興が遅れている沿岸部の市区町において、交付決定日以降に新たに着工、実施する施設、設備の復旧等のみ」と応募対象を絞り込んだ制度変更や、グループ化する企業が虫食い状態となってきていることが、グループ補助金の採択要件を難しくしていると考える。第9次募集における今後の対応についての考えはどうか。

 B放射能汚染による風評実害被害対策について (1) 平成24年6月に、農林水産物風評被害の実態把握のため、直接販売農業者、特に有機栽培農業者に対し、県が行った実態調査の結果とその特徴についてはどうか。(2) 東京電力に対し、個人で賠償請求を行わなければならない直接販売農業者などの生産者に対する県の相談体制や被害者支援策の考えはどうか。(3) 廃用牛緊急低減対策事業については、平成25年3月末をもって終了しているが、現在も対応が必要な廃用牛が飼育されている。各農協などの関係者から的確な情報を把握し、事業の復活や個別対応により、安全安心を確立すべきと思うがどうか。(4) これまで、放射性物質に汚染された牧草対策について取り組まれているが、一番草よりも二番草の方が放射性物質の数値が高いという声が寄せられている。その実態と対策はどうか。また、再除染や塩化カリウムの費用は誰が負担するかについての考えはどうか。





予算総括質疑  岸 田 清 実 議員 (9/19)   


 
 全議員で構成する予算特別委員会で補正予算に対して社民党県議団を代表して9月19日に総括質疑を行いました。

(1)震災復興起業支援費について

 昨年度、国が直接行った「復興支援型地域社会雇用創造事業」が今年度は県が行うこととなり、その関連予算が計上されました。高齢者の見守り、地元産品を使った新製品の製作、子育て支援など地域の課題を取り上げ、事業化することで雇用をつくりだそうというもので、昨年度は県内で230人が助成を受けました。身近に課題を取り上げて地域に貢献することになるとともに、小さくとも雇用が生まれることから意義のある取り組みです。9月議会での補正予算成立後に委託団体を選定し、100人を公募して起業支援を行います。岸田県議はスムーズに進むよういくつかの課題を提起し、知事及び担当部長の見解を求めました。

 (2)農産物直売所等風評被害対策支援事業など3事業について

 福島第一原発事故は宮城の農林水産物にも影響を与え、とくに実際の汚染以上に風評被害が広がっています。測定体制などを整備し、安全確保に努力していますが、なかなか安心につながっていません。全国紙への広告掲載、精算者と消費者の交流の拡大などを目指して予算が計上されました。岸田県議は施策が効果的に行われるよう消費者団体との連携など課題を提起しました。




保健福祉委員会、予算・決算分科会 佐 藤 詔 雄 議員



 東日本大震災の津波による甚大な被害が発生した沿岸部の市町では、新しい町づくりとともに、災害公営住宅の建設など恒久的な住環境の整備が進められている。保健福祉委員会補正予算分科会において、復旧・復興に向けた議案・補正予算が提案された。特に平成25年度は、宮城県震災復興計画において、被災者支援を中心に生活基盤や公共施設を復旧させる復興期の中間年度に位置付けられてことから、応急仮設住宅の供与期間延長に伴う民間賃貸住宅の契約に要する経費として1億4千万円、被災した介護サービス事業所の復旧に要する経費2.370万円、看護師養成所や院内保育所の環境整備に要する経費5千万円等が提案された。東日本大震災以外の予算では、医療施設耐震化臨時特例基金に積み増しするため3億5.270万円、同時にこの基金を活用して民間医療機関の耐震化の促進に要する経費として1億580万円、地域医療再生臨時特例基金に積み増しするため15億円が計上された。これらの基金を活用して、他職種連携による在宅医療推進のための体制整備や救急医療体制強化のための設備整備など要する経費として3億7.270万円、保育従事者の資格所得により、認可外保育所から認可保育所や新たに制度化される小規模保育施設への移行促進するための経費、市町村が行う接種費用の助成を支援する経費として8千万円等提案された。これらの財源として国庫支出金19億1.490万円、繰入金4億8.650万円、一般財源4億4.700万円提案された。条例議案2件、条例外議案として拓桃支援学校新築に係る電気設備、衛生設備及び空調設備の工事請負契約の締結に関する件が提案され、2日間にわたる討論をへて可決された。

 引き続き決算特別委員会保健福祉分科会が開催され、平成24年度の決算内容が報告提案された。一般の歳入決算は、収入済額は15億61.441.617円であり、歳出決算は、支出済額は2.424億2.849.770円であり。特別会計は母子寡婦福祉資金特別会計収入済額は、3億68.637.574円である。以上の報告提案を受け、2日間にわたる審査をへて認定した。