宮城県議会2013年7月定例会の概要

 

 6月定例県議会は6月14日に召集され、7月8日までの25日間開かれました。今回の県議会には総額234億円の補正予算と震災復興に関わる工事請負契約議案などが提案され、全議案が可決されました。

 補正予算では被災医療機関の復旧等に向けて91億円が措置されたのをはじめ、緊急雇用創出事業費に22億円、復興関連道路整備費に24億円などが計上されるなど、継続して大震災からの復旧・復興予算が中心でした。震災対応予算は震災直後の平成22年度補正分から始まって累計で3兆5,471億円の巨額に上っています。

 国家公務員の給与削減を地方公務員にも波及させるため、地方の固有財源である地方交付税を国は一方的に削減しましたが、それを受けて知事は今議会に県職員の給与削減条例を提案しました。社民党県議団は採決で反対しました。

 意見書では社民党県議団から「『子ども・被災者生活支援法』に基づく具体的施策の早期実施を求める意見書案」「解雇の自由化など労働者保護の規制緩和に反対する意見書」「地方財政の充実・強化を求める意見書案」の3本を各会派に提案しました。会派間で話し合った結果、「解雇」案は合意に至らず、他の2本は修正したうえで採択になりました。

 また、社民党県議団の本多県議が紹介議員に名を連ねた「被災者の医療・介護の負担免除を求める請願」は全会一致で採択されました。

 今議会では一般質問に佐藤詔雄県議、予算特別委員会総括質疑に岸田清実県議が立ちました。



本会議一般質問  佐 藤 詔 雄 議員 (6/27)


 本会議一般質問で佐藤県議は@放射性物質汚染廃棄物の処理A福島第一電力事故に関する損害賠償B地方交付税の減額に伴う県職員の給与削減等の問題について知事の考えを質した。

 一時保管されている汚染稲わらは,放射線量の平均が基準値を超えているため,基本的には国が処理すべきものだが,国の最終処分候補地の選定方針に対する異論も多い。知事は一時保管の延長は不可能と答弁したが,延長により農業と市町村の負担や農業への悪影響は増すばかりであり,一日も早い解決に導くためにも県が一層,積極的に関与すべきではないか、と質問。

 知事は、最終処分場として選定される地域にとりましては,大きな痛みを伴うものでありますが,放射性物質汚染廃棄物の処理を前に進めるためには,最終処分場は何としても必要である。選定された地域だけの問題として捉えることなく,県全体の問題として,一日も早く保管されている指定廃棄物の処理が進むよう,県として積極的に取り組むと答弁した。

 先月,丸森町筆甫地区の住民が,福島原発事故による精神的損害の賠償について原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てを行った。住民は,放射線量や原発からの距離が同程度であるにも拘わらず,県境で賠償が区分される現状への理解を求めているが,福島県と本県の住民に対する賠償の差は具体的にどの程度把握しているのか。また,賠償差に対する所見はどうか、と質問。

 福島第一原子力発電所事故による精神的損害の賠償にあたり,東京電力は,福島第一原子力発電所からの距離や避難指示等対象区域との近接性,空間放射線量,自主的避難の状況等の要素を総合的に勘案して賠償額を決定したものと承知しております。その結果,丸森町は福島県の白河地方と同様の賠償内容については,これまで,県境で区切るのではなく,放射線のレベルで線引きをすべきと主張してきておりましたので,この賠償は一定の客観的な基準に基づいたものと受け止めていると答えた。

 地方交付税の減額により地方公務員給与の削減を求める国の手法に対し,知事は地方分権や地方自治の観点から反対する姿勢を表明していながら,給与削減を前提とした地方財政計画が国会に提出されるや否や,国の要請を受け入れて職員組合との交渉に着手した。余りにも早い要請受入方針の表明に驚きを隠せないが,早急に受入を決断した理由は何かと質した。

 それに対して知事は、平成25年1年24日には,地方自治体に対して,国に準じた給与削減措置を講ずるよう要請する旨の閣議決定がなされ,また3月29日には,地方交付税を削減する改正地方交付税法が可決・成立し,我が県でも111億円の地方交付税等が削減される見込となりました。 こうした状況の中,国の要請は誠に遺憾ではありますが,現実問題として多額の財源不足が生じることのみならず,多大な支援を頂いている他の自治体でも給与削減が行われるであろうことを考慮すると,厳しい対応を検討せざるを得ない旨,3月6日の予算特別委員会で申し上げたところであります、と答えた。




予算特別委員会総括質疑  岸 田 清 実 議員 (7/1)  


 岸田県議は社民党県議団を代表して7月1日、前県議で構成する予算特別委員会で総括質疑を行いました。

 はじめに社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金事業費に含まれる共生型副施設整備助成事業を取り上げました。昨年7月31日に厚生労働省障害福祉課長をはじめとする高齢、児童に関わる六課長連名で通知が出されていたもので、宮城を含む被災三県で共生型福祉施設を整備しようとするものです。連名通知では大震災による各種福祉施設の大きな被害を考え、早急な福祉サービスの供給体制復旧のために整備を促進するとありました。今年度に入り、検討会でまとめられた「地域共生拠点づくりの手引き」が配布され、より積極的な意義づけで整備を求めるものとなりました。各種福祉サービスは高齢、障害、児童というように分野別になっていますが、一つの施設で垣根をなくしてサービスを提供しようということであり、復興住宅の整備など地域の再生に合わせて地域の拠点として機能を果たすよう求めています。岸田県議はその点を取り上げ、復興住宅の整備など地域づくりとの連携、共生型にふさわしい人材確保、施設の計画段階からの地域との連携などについて必要性を指摘し、所見を求めました。

 二点目にみやぎ復興支援費を取り上げました。被災地で支援活動を行うNPO団体などに対する活動助成の予算で、4月に第一次募集を行ったところ多数の応募が寄せられ、当初計上した予算が尽きたことから追加の補正予算が提案されていました。大震災直後は民間の助成制度が多数あったことから公的な助成制度にはあまり多くの応募がありませんでしたが、大震災から2年を経過して民間の助成制度が少なくなっていることが要因の一つと考えられます。被災地ではまだまだ支援を必要としていることから、このような助成制度のニーズが大きいことを指摘し、継続していくことを求めました。




文教警察委員会  岩 渕 義 教 議員 


 7月2〜3日,岩渕県議が所属している文教警察分科会が行われました。

 教育庁関係の補正予算案は,一般会計歳出予算として,3億3千4百7万円が計上された。その主な内訳は,東日本大震災からの復興関連として,被災した宮城県農業高等学校と気仙沼向洋高等学校の移転用地などに要する経費として約2億3千9百万円の追加計上,また,大震災からの教訓から,広域防災拠点整備をはかるため,その地域が宮城野原公園総合運動場とその周辺一帯ということから,その中にあること,老朽化も重なり宮城自転車競技場の解体に要する経費として2千6百万円が計上され,他,緊急雇用創出事業経費5千4百万円となっている。

 警察本部関係の補正予算案は,歳出予算は労働費として,約12億2千2百万円が計上された。その主な内訳は,緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し,自転車利用者等に対する交通安全教育活動,被災地域を中心とした防犯パトロール活動,振り込め詐欺など特殊詐欺被害の未然防止活動などを推進するための経費が計上された。

 岩渕県議は,分科会において,基本的に賛成の意を示し,東日本大震災の災害復旧促進にむけて,地権者の意向と協力のもとに,市自治体と連携して,高等学校の移転用地の確保をはかっていくことを要望。また,現在,宮城自転車競技場は,昭和20年代につくられた宮城野原公園内と平成13年の宮城国体時の大和町と2ヵ所あり,一本化となるが,自転車競技団体などとの意向把握されての提案かを質したことについて,県は「同意をしている」と答えた。また,警察本部に対しては,雇用創出について質したところ,この補正では,防犯パトロールに136人の雇用,交通安全教育活動に244人をはじめ,総数478人となることが明らかになった。

 結果,文教警察予算分科会は原案を可決すべきものと決した。



環境生活農林水産委員会  本 多 祐一朗 議員  


 環境生活農林水産委員会では,悪質な商法や振り込め詐欺に対処する消費生活相談推進費として1億1千万円の追加補正を審議しました。本多議員は「相談体制の充実を図ってきた消費者行政活性化基金が25年度で期限を迎えるが,来年度以降市町村を含めた相談業務を維持できるのか」質しました。本木環境生活部長は「このままでは難しい。基金の活用期間の延長と必要な経費に対する財政的支援を国に求めていきたい」と述べました。

 また,福島第一原子力発電所事故に伴う牧草地の放射能低減対策に3億4千万円が追加計上されましたが,本多議員は「昨年行った草地の反転耕などの対策の効果」について質しました。山田農林水産部長は「低減対策を実施してきた草地の牧草の98%は基準値(肉用牛100ベクレル以下,酪農50ベクレル以下)を下回った。また8割は10ベクレル以下だった」と述べ一定の成果が上がったことを報告。さらに,本多議員は「すでに発生した汚染牧草2900トンが畜産農家の軒先や草地に積まれているが,維持管理に限界がある。国が推奨する一般ゴミとの混焼も住民合意が得られず進んでいない。抜本的な対策が必要ではないか」と質しました。山田部長は「抜本的な対策を国や市町と協議していきたい」と述べるにとどまりました。

 また,これまで本多議員は名取川左岸藤塚地区の海岸堤防の新たな整備について,この区間が県管理の閖上漁港区域になっているため,県に早急に整備計画を打出すよう求めてきました。本多議員は委員会であらためて「地域の安全なまちづくりに海岸堤防は欠かせない。いつまでに整備するのか」質しました。井上漁港復興推進室長は「まもなく国交省等関係機関と事業主体がどこになるかを含め協議が整う。27年度中の完成をめざしたい」と述べました。

 さらに本多議員は「地盤沈下した農地からの排水経費の増加や排水能力を2倍にアップして排水機場を整備する必要があるが,農家負担増にならないよう軽減策が必要ではないか」と質問。丹野農村整備課長は「実態を調べ,関係機関と協議しながら有効な対策を検討していきたい」と述べました。