宮城県議会2013年2月定例会の概要



 2月定例県議会は2月19日開会し3月19日までの29日間開かれました。今議会には2012年度補正予算、2013年度当初予算をはじめ復旧・復興関係の工事契約議案などが提案されました。2012年度予算は補正が繰り返されて増額され、最終的には一般会計で1兆9780億円、総会計で2兆3076億円となり、2011年度に次ぐ2番目の大きさとなりました。2013年度当初予算は一般会計で1兆5,213億円とり、前年度から1,610億円の減少でした。2010年度以降の震災対応予算は2013年度を加えて累計で3兆7,818億円になります。

 復旧・復興予算での大きなポイントは津波浸水地域で災害危険区域から外れた地域での住宅再建に国からの予算が確保されたことです。津波によって被害を受けながら、極端な場合には道路一本で災害危険区域から外れたために何の支援も受けられない被災者が生まれ、市町独自の支援制度が設けられても市町間に制度上の大きな格差が生まれていました。社民党県議団は一昨年から岩手県の例を踏まえながら住宅再建に対する国と県による支援制度の創設を求めてきました。今回、国は被災地からの要望を受けて津波浸水地域の災害危険区域外で住宅再建する場合の支援を決定し、総額1,047億円を交付することにしました。宮城県にはそのうち709億円が配分され、県費19億円を加えて大規模半壊以上1戸あたり250万円を沿岸市町に交付することが決定されました。社民党県議団は、県が交付金の使い道を縛るのではなく市町の判断を尊重することを強く求めました。県はこの議会側の意見を受け、市町の首長が必要と認めれば自由に使えるように交付要綱を見直すことになりました。

 村井知事が進める水産特区は対象の桃浦(もものうら)周辺漁業者の理解が得られずに申請が延び延びになっています。社民党県議団は今議会でも強引な知事の姿勢を批判し、県漁協とも話し合いながら、歴史的に積み上げてきた漁民のルールを守るよう求めました。

 今議会では「環太平洋経済的経済連携協定(TPP)交渉について拙速に判断することに反対し国益を踏まえた慎重な対応を求める意見書」がみんなの党2議員を除くすべての議員の賛成で可決され直ちに国に送られました。社民党県議団は「非核三原則の早期法制化を求める意見書案」「平成25年度地方財政対策・地方公務員給与についての意見書案」を各会派に示しましたが合意に至りませんでした。

 本会議一般質問に岸田清実県議、岩渕義教県議、予算総括質疑に本多祐一朗県議が立ちました。



本会議一般質問  岸 田 清 実 議員 (2/27)


 2月27日、本会議の一般質問を行い、地域防災計画原子力災害対策編、水産特区問題の二点を取り上げて知事並びに県執行部の所見を求めました。

 原子力災害対策編は東日本大震災時の福島第一原発事故を受けて原発のある全国の県及び市町村で策定が進められてきたもので、国は3月19日までの策定を求めていました。これまでは地域防災計画の一部分に位置付けられていましたが、事故以降に地域防災計画が自然災害編と原子力災害編の二本立てになり、影響の大きさに比例して重要な位置づけが与えられました。しかし、原発から30km以遠の地域の対応やSPEEDIの活用など国の方針が定まっていない分野も多く、国の作成マニュアル通りでは実効ある計画とはなりません。この点を指摘するとともに、避難計画や緊急時医療の課題を具体的に指摘して見解を求めました。特に県が主導して他県への避難先確保を行った島根県を例示しながら市町の避難計画策定にあたっての県の積極的なかかわりを求めました。

 村井知事が進める水産特区は対象となる石巻市桃浦(もものうら)の中でも賛否が割れ、周辺漁業者の理解も得られていないことから国への特区申請が遅れています。水産特区は、そもそも海面での漁を巡る浜と浜の紛争を防ぐために漁業権が漁協に与えられてきた歴史を否定するものであり、漁民の自治による管理を否定するものです。だからこそほとんどの漁民が反対署名をして県に提出しています。社民党県議団は県漁協とも話し合いながら水産特区の問題点を繰り返し指摘してきました。一般質問の中では漁民代表が選挙で選ばれて構成される海区漁業調整委員会の事前の理解が必要であることを指摘しました。



本会議一般質問  岩 渕 義 教 議員 (3/5)  


 大綱3点について村井知事に質問しました。

1,被災者生活再建支援について 2,放射性物質汚染廃棄物の処理について 3,自治体職員のケア及び人材確保について

 沿岸部の人口流失が止まりません。その原因は,働き口を失った住民がまちを離れざるを得ないことの他にいつになったら住宅再建の見通しが立つのかといった津波浸水区域の住宅再建の遅れも大きく響いています。家屋が滅失・流出し,家財道具も車等も一切失ったのに,災害危険区域から外れた津波浸水区域の被災者には国の財政支援が少なく,自力再建は困難な状況です。そのため市町は独自支援を打ち出していますが,市町間の財政力や被害の大きさの違いによって,支援策に大きな格差が生じてしまいました。これまで,社民党県議団は,津波浸水区域の住宅再建支援のため,各市町の独自支援の格差の是正と支援充実,具体的には復興基金の大幅な積み増しができるよう復興特別交付税の増額を求めてきました。

 国は,津波被災市町が地域の実情に応じた独自の住宅再建支援策として,宮城県に709億円を配分,県費19億円を上積みをして728億円を被災15市町に配分することになりました。その際,岩渕県議は,村井知事に対し「要は,復興基金の交付を受けた市町がいかに自由度をもって活用できるかです。市町ごとに被害の事情や様相が異なり,その実情に応じた制度設計を行うことから,県が付ける交付条件は最小限にとどめ,対象事業については市町の自主的判断が可能な使い勝手の良い制度にする必要がある」ことを求め知事の所見を質しました。その結果県は,交付要綱を見直し,対象事業・対象者について市町の首長の判断で自由に使えることとなり,危険区域から外れた被災地の住宅再建が進み,住民の定着が促進されることが期待されます。

 放射性物質汚染廃棄物等の処理について,1キログラム当たり8000ベクレル未満の放射性物質は,県内に牧草(41,000トン),ほだ木(157万本,29,000トン)などの農林業系副産物を一日もはやく生活環境から隔離しなければならなりません。県は,「市町村において一般廃棄物に混合して焼却,焼却灰を最終処分場に」の処理方針を示し,市町村・事務組合への説明会が行われました。岩渕県議は,「汚染廃棄物は少なからず放射能で汚染されている以上,放射性物質濃度の常時監視措置や外部漏出防止策が施された焼却施設で処理すべき」「実証試験混焼処理されている一関市を参考に,一般ゴミ35トンに牧草5トンを混焼しているが,焼却処理能力の違いがあるが,単純にあてはめると,大崎広域では6年の処理日数,仙南広域は5年,登米市で6年7ヶ月以上要し,あまりにも時間がかかりすぎる」ことなど7点を質しました。

 このほか,住宅用太陽光発電補助金,震災後不足する自治体職員の人的支援の確保とメンタルケア対策の充実について質問し,県は「来年度は太陽光発電補助金交付予定件数を5,000件と1.7倍に増やす」と答えました。また,「復興のためには,職員の健康保持が重要で,一人一人が十分に力を発揮できるよう過重労働対策,職場復帰支援対策に積極的に取り組んでいく」「市町の人的確保について来年度は300人に不足数が拡大する見込み,国への支援を求めつつ,県による任期付き職員の採用など市町の意向を確認しつつ対応していく」との答弁がされました。



予算総括質疑  本 多 祐一朗 議員 (3/6)


 本多議員は,大震災からの復興のカギを握る復興交付金制度の改善方策として@効果促進事業のポジティブリストを限定的に示すのではなく,逆に活用できないリストを示して自治体が使える制度にすべきA40事業に限定されている基幹事業の拡充を図るべき等を求めました。村井知事は「使い勝手の良い制度にするよう国に強く求めていく」と述べました。

 また,津波浸水区域における住宅再建のためから被災市町に交付する728億円の交付金についてただしました。他会派の仙台市選出議員の質問に対し,上仮屋総務部長は「仙台市については他の市町よりも,すでに独自支援策が高い水準にあり,今回の交付金で独自支援に上乗せするのではなく,これまでの独自支援の財源に充当すべき」と答弁。本多議員はこの問題を促え,「市町の判断を縛りすぎだ。使い勝手の良い交付金制度にするという趣旨に反する」とした上で,「県の交付金は津波で被災した現地で住宅を再建する際の宅地嵩上げと住宅建築への利子補給を基本にしている。しかし仙台市の独自支援策は現地再建の場合,宅地嵩上げには助成するものの,住宅建築には利子補給がない。他の市町よりも仙台市の被災者が不利になるケースが出る」と指摘,答弁の真意をただしました。

 これに対し上仮屋部長は「仙台市が危険区域外の津波浸水区域における住宅建築に利子補給することは制度の趣旨に沿っており,何ら問題はない」と答弁しました。他の議員からも市町の裁量権の拡大を求める声があがりました。

 その後,議会等の意見を踏まえ,県は交付金の要網を見直し,市町の首長が必要と判断した場合,大規模改修を含め,住宅再建支援策を幅広く認める決定をしました。

 また,本多議員は被災者の医療・介護費の負担減免制度が今年3月で期限切れを迎える問題で「被災者にとって減免制度の打ち切りは命にかかわる問題だ」として減免継続を訴えました。議会側の意見を受け,県では現在半壊以上となっている減免対象世帯を絞り込むなど,市町村と協議して減免継続を検討することになりました。



保健福祉委員会  佐 藤 詔 雄 議員  


 保健福祉部関係予算は、今なお、10万人以上の方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされた現状を踏まえ、被災された方々の心身や取り巻く環境の変化、町づくりの進展に合わせて、応急仮設住宅の居住環境の改善、サポートセンターを拠点とする見守り活動、健康相談や心のケア―等により被災者を支援することを目指しています。さらに、被災した医療機関や社会福祉活動の復旧に取り組み、保健・医療・福祉サービスの回復に努めてきたことを踏まえ、平成25年度は、宮城県震災復興計画において、被災者支援を中心に生活基盤や公共施設を復旧させる復旧期の最終年度に位置付けられていることから、被災者の健康な生活を確保することを最優先に、東日本大震災からの復興事業に取り組み、宮城の将来ビジョンに描いた将来像の達成に必要な取り組むことにしました。

 内容は、1、宮城県震災復興計画の推進(被害者の生活環境の確保)(安心できる地域医療の確保(未来を担う子供たちへの支援))(だれもが住みよい地域社会の実現)2、宮城の将来ビジョン「安心と活力に満ちた地域社会づくり」の推進、(子どもを産み育てやすい環境づくり(安心できる地域医療の充実)(生涯を豊かに暮らすための健康づくり)(高齢者が安心して暮らせる環境づくり)(障害があっても安心して生活できる地域社会の実現)(だれもが安全に、尊重し合いながら暮らせる環境づくり)であります。

 このなかで議論となったのは、東日本大震災の被災者を対象とした医療費窓口負担や介護サービス利用料の減免措置が3月31日で終了することから、県当局は国の全面来てな支援がなければ厳しいとして難色を示していましたが、議会側の要望を受け「被災市町と協議し、検討を続ける」と修正しました。現行制度では自宅が半壊以上の被害を受けた被災者全員が対象となっていますが、県は「対象者を絞ることが可能かどうか、地元の意見を聴く」と述べました。このことを受け分科会では一般当初予算案の採決に当たり「あらゆる手だてを講じて減免措置を続けるべきだ」とする付帯意見を付け可決しました。