宮城県議会2012年11月定例会の概要





 11月定例県議会は11月22日から12月13日までの22日間開かれ、復旧・復興関係の補正予算、法律改正に伴う各種条例改正などが審議されました。

 補正予算は2,956億円に及ぶ大規模なもので、主なものは中小企業の復旧支援策であるグループ補助金825億円、各種復旧・復興工事などに充てられる東日本大震災復興交付金773億円、市町に交付する災害廃棄物処理経費280億円などです。グループ補助金は被災企業がいくつかの類型に従い共同の事業計画をつくって申請するもので、これまで89グループ、1,694事業者、1,471億円が決定しています。しかし、今年5月の募集ではまだ1,850事業者、1,164億円分が予算不足で不採択となっており、追加募集が望まれていました。今回、宮城県に国の予算550億円が割り当てられ、県費275億円と合わせて825億円が予算化されました。これでも積み残しになる事業者が予想されることから、引き続き追加の予算措置が望まれます。

 今回の議案の中に女川原子力発電所の核燃料に課税する「核燃料税」の5年間延長する条例がありました。一方、条例は制定するが原発が稼働していないことから、来年度予算では収入を見込まないことになっています。稼働していない現状から条例制定の必要はなく、さらに制定すること自体が女川原発再稼働を前提とすることから社民党県議団はこの議案に反対しました。

 県議会から国に対する意見書では会派間調整に沖縄における米兵の事件が続くことから「日米地位協定の抜本的な見直し」を、県内での福島第一原発由来の放射性廃棄物処分場建設に関係して「指定廃棄物の最終処分場建設候補選定の見直し」を提案しましたが、一致を見ず不調に終わりました。

 今議会では本多祐一朗県議が本会議での一般質問、岩渕義教県議が予算特別委員会での総括質疑、佐藤詔雄県議、岸田清実県議が来年度予算調製方針の質疑を行いました。



本会議一般質問  本 多 祐一朗 議員 (12/3)


 本会議一般質問で本多議員は,@被災者住宅再建支援A被災中小企業グループ補助金B農業の復旧・復興C貞山運河再生・復興ビジョンD第6次宮城県地域医療計画における二次医療圏見直し,等の問題について知事の考えを質しました。

 まず遅れている被災者の住宅再建について本多議員は,被災市町が打ち出した独自支援策を実施・拡充できるよう復興基金への特別交付税の大幅な追加交付の必要性を再三にわたり訴え続けてきましたが,再度「一日も早い追加交付の決定を国に強く働きかけるべきだ」と質しました。知事は「11月30日に政府はようやく今後の経済対策第3弾の本格補正に,この趣旨を盛り込むことを決めた。追加交付が早急に実現するよう引き続き国に強く働きかける」と答えました。

 また中小企業グループ補助金の第6次募集が始まったが「県は意欲のある県内企業を最後の1社まで救済すべきだ」と質したのに対し県は「6次募集でもれた企業については国の予算化を引き続き要望する」と述べました。

 農業の復旧・復興では,自治体が農業施設や大型機械等を被災した営農組織に貸与する「被災地域農業復興総合支援事業」が始まっているが,農業再開に欠かせない播種機や苗箱等50万円以下のものは対象外になるが,復興交付金の効果促進事業で対応できるのか質しました。県は「効果促進事業は営農再開を目的にする機械や備品であれば50万円未満でも事業対象になる」と答えました。

 貞山運河の復旧について本多議員は「戦後の護岸工事によって貞山運河では魚貝類や自然が失われたとの指摘がある。自然生態系を考慮し,なるべくコンクリートを使用しない自然工法を用いるべきではないか」と質したのに対し,県は「自然石を活用するなど環境や景観に配慮した工法の採用について検討したい」と述べました。

 最後に二次医療圏の見直しの中で,県がこれまでの石巻・登米・気仙沼の3医療圏を1つに,大崎・栗原の2医療圏を1つに統合再編する中間案をまとめたことに対し,気仙沼市・栗原市等が強く反発しています。本多議員は気仙沼,栗原医療圏がおかれている現状を述べながら「国は被災3県を第6次医療圏見直しの例外として扱うことを認めており,岩手県と福島県は見直しを行わない。復旧・復興の途上にある本県は,見直しは最小限に止め,気仙沼と栗原の医療圏については現状の医療圏を維持し第7次計画で再検討するべきだ」と訴えました。しかし知事は「県地域医療計画策定懇活会や医療審議会で,より広域的に二次医療圏をとらえ,限られた医療資源を最大限有効に活用する視点から現在の7医療圏を4医療圏に再編する方向が示され,それを前提に最終案を作成したい」と述べるにとどまりました。



予算特別委員会総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (12/7)  


 12月7日,予算特別委員会が開かれ,岩渕義教議員は会派を代表して予算総括質疑を行った。質疑の事項は,1.県の財政運営について(来年度の地方財政計画,復興予算など)。2.中小企業等グループ補助金について。3.被災市町に派遣する任期付職員について。4.復旧・復興公共工事について総括質疑を村井知事に対して質した。


その主な内容は,

 (1)県・市町村の財政運営の指針となる地方財政計画の決定が例年12月末にされていたのが,総選挙のため大きくずれ込み,収入の中心となる地方交付税・特別交付税・臨時財政対策債などが決まらないため本県,市町村の来年度予算編成作業等に影響を及ぼす一方で年々削減傾向にあることや新政権の予算方針も定かでないなど,切実な問題と思うがどうか。

 (2)国が示した復興事業の規模,「5年間で19兆円」は,この1年9ヶ月で,19兆円に近づいている。被災自治体の復興計画の作成が進むにつれて予算の不足が見込まれるのは明らかと思うがどうか。知事の今後の対応について質した。

 (3)復興交付金の第4回配分として,約5.059億円が本県に配分されたが,その評価と県と市町の配分事業の件数等の内訳などについて質した。

 (4)中小企業グループ補助金の第5次募集までは,総計で89グループ,1.694事業者,1.471億円が決定しています。結果として,のべ1.853事業者,1.164億円分の再生計画が取り残されてしまいました。今回第6次公募が始まり,3/4の補助として国(1/2)550億円,県(1/4)275億円の825億円が予算化された。このことから,今回の第6次でもグループ補助事業は完結されない。再生にむけての中小企業者が,助成対象と対象外となり大きな格差を残したままで良いはずがない。知事の所見と今後の対応について質した。

 (5)被災市町の復旧・復興へのマンパワー不足の解消のため,来年1月から154人の任期付職員として被災市町に派遣されることになることから,派遣期間,業務内容,住宅の確保等について質した。また,この派遣人数でもなお職員が不足する現状についての対応方針についてを質した。

 (6)職員の心の問題の深刻化が懸念されるが,メンタルヘルスマネジメントの確立など,県や被災自治体職員の心身の健康を維持するための環境整備への現状と対応について質した。



来年度予算調製方針質疑  岸 田 清 実 議員 (11/8)


 定例県議会に先立ち、11月8日の予算特別委員会で2013年度予算編成方針に対する質疑が行われました。岸田県議が社民党県議団を代表して質疑に立ちました。

  <放射能汚染対策強化>

まず放射能汚染対策を取り上げました。今年8月の第122回女川原子力発電所環境調査測定技術会で福島第一原発事故のあった3月累計の女川町小屋取における測定値で放射性ヨウ素131が44,500ベクレル検出されたことが明らかにされまし。福島県境だけでなく県内全体に広がっていることが明らかになったことを指摘し、6月定例県議会で採択された「子どもたちと妊産婦を放射能から守るための体制を求める請願」に基づき対策を進めることを求めました。放射能汚染は牧草地も汚染しましたが、県では県内13,000ヘクタールの牧草地の除染を行うことにしてきました。その進行状況と今後の課題を明らかにするよう求めました。

 

<住宅再建への支援策>

次に大震災で被害を受けた住宅の再建に独自支援をおこなう市町が増えていますが、これまで国は「個人の財産形成に支援することはできない」として支援制度を設けずにきました。被災地からの強い要望を受け、ようやく国の財政措置が検討されていることから、県の見通しを質しました。県内では財政力の違いで市町の独自支援に大きな格差が生まれており、施策の広域調整機能発揮など県が役割を果たすことを求めました。




来年度予算調製方針質疑  佐 藤 詔 雄 議員 (12/14) 


 11月定例県議会終了翌日の予算特別委員会で「予算調製方針」に関して福島第一原子力発電所事故被害を中心に県の対応等を質しました。

 @12月7日に発生した三陸沖を震源とするマグニチュード7.3の地震では津波警報が発令され、石巻市鮎川では1メートルの津波が観測され、沿岸市町で避難指示、勧告が出されるなど、県民に大きな不安をもたらした。全基が運転停止中の女川原発については異常は確認されませんでしたが、防災機能・危機管理体制の回復には(仮称)新・原子力センターなどの環境放射能等の監視体制の早急な整備が求められます。原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲が女川原子力発電所より概ね30キロメートルへ拡大されたことに対し、新たにモニタリングステーションの設置を計画するなどしているが、平成25年度は具体的にどのような監視体制の整備を、どのようなスケジュールで進めようとしているか答弁を求めました。

 A福島第一原発事故により生じた被害のうち観光業や農林水産業等の風評被害は原子力による被害であるとの立証が難しく、請求できないケースや請求しても東京電力が賠償に応じないケースがあると聞くが、県はそうした事態をどのように把握しているか、またそうした状況に対し、どのように対応していくのか所見を求めました。

 B風評被害を受けている事業者の中には営業再開はおろか日々の生活にも困窮している事業者がたくさんいます。そうした事業者への早急な支援が必要なことは言うまでもない。環境生活部の主な取り組みとして「事業者等が行う東京電力への損害賠償請求等に対しきめ細かな支援を実施する」とあるが、具体的にどのような支援をどのようなスケジュールで行っていくのか等放射能線汚染問題を中心に質疑を行いました。