宮城県議会2012年6月定例会の概要


 

 定例県議会は6月15日召集され、7月6日までの22日間開かれました。今議会には大震災復旧・復興関係補正予算757億2千万円、漁港災害復旧工事契約議案など31件の議案が提案され、全議案が承認されました。東京電力福島第一原発事故に伴う放射能被害対策では、今回は県内1万3千haの牧草地の除染に関わる経費39億6千万円が計上され、来年の牧草使用にむけて作業が行われることになりました。また、水産物の安全確保のため放射能測定機器の整備に向け67百万円が計上されました。

 社民党県議団は本会議の一般質問に岩渕県議、全議員で構成される予算特別委員会の総括質疑に本多県議がそれぞれ臨み、大震災からの復旧・復興施策を中心に議論を展開しました。

 今議会で13本の意見書が決議されましたが、社民党県議団からは「地方財政の充実・強化を求める意見書」を各会派に提案して賛同を受け、本会議で承認されました。「東北電力女川原子力発電所の再稼働と地元の同意に関する意見書」も事前に各会派に提案しましたが、自民、改革みやぎ(民主系)、公明などの反対で上程できませんでした。また、「我が国固有の領土である尖閣諸島を守るための法整備を求める意見書」は県議会の主要6会派のうち社民、改革みやぎ、共産、公明が事前の協議で反対したにもかかわらず、自民が全会一致の原則に反して提出し、賛成多数で議決されました。継続協議になっていた「子どもたちと妊産婦を放射能から守るための体制の確立を求める請願書」は請願者が内容を一部修正した結果、全会一致で議決されました。



本会議一般質問  岩 渕 義 教 議員 (6/25)


1,被災住宅再建対策について

 知事は今議会の提案理由で「恒久的な住宅の早期確保は,被災者の生活再建において最も重要な基礎である」と述べている。にもかかわらず,岩手県への会派調査(5/14〜16)結果から見ても,宮城県の被災住宅再建対策は知事の言う「最も重要な基礎」に程遠い。以下,恒久的な早期確保策について質疑を行った。

@国の支援制度では住宅再建費用の一部しか賄えないため,被災市町に独自の支援策を講じる動きが広がっている。財政力の違いもあり支援内容に著しい格差が生じている。居住する市町によって被災者の自己負担に大きな差が生じる問題への所見はどうか。

A独自支援の財源に復興交付金を充てられるよう国に求めるべきと思うがどうか。また,災害危険区域の指定から外れた地区の住居移転や現地再建を効果促進事業の対象とするよう国に求めることが喫緊の課題と思うがどうか。

B県の独自支援策として。

イ.岩手県では,住宅再建に関わる新築・購入や補修・改修等に対する手厚い独自支援策を講じているのに比べ,本県の支援は余りにも薄い。被災市町間の支援格差を埋めるためにも県の役割は大きい。独自支援への認識と今後の方針はどうか。

ロ.既存のバリアフリー住宅,県産材利用住宅,太陽光発電導入住宅への補助制度は,件数・金額とも不十分。被災者の気持ちが前向きになるような補助の増額が必要ではないか。

ハ.住宅金融支援機構が行う災害復興住宅融資は,前年度の収入額に応じて融資を行う制度のため,融資が受けられないか。或いは大幅に制限される被災者が生じている。県はその実態を把握しているのか。また,機構に対して運用の改善を求めるべきと思うがどうか。

など村井知事に質した。


2,その他の質問

@放射能汚染の除染対策について

イ.牧草地の除染対策について

ロ.汚染された稲わらの一時保管と最終処分について

ハ.大飯原子力発電所を始めとする原発再稼動問題について

A介護保険制度の現状と人材の確保について



予算特別委員会総括質疑  本 多 祐一朗 議員 (6/29)  


 予算総括質疑で,ほんだ祐一朗議員は被災住宅の再建対策と中小企業等グループ補助金の問題について知事に質問しました。

 まず住宅再建では「本県の住宅関係の被害額は被害総額の半分以上に当たる5兆円にのぼるが,現時点で恒久住宅の再建・確保にどの程度,予算投入の見込みか」質しました。県は約1兆2千億円と答え,住宅再建には不十分であることと国の予算配分がハード面のインフラ整備に傾り,23年度は1兆1千億円の不要額が発生したことが明らかになりました。

 また,ほんだ議員は「市町村が被災者の住宅再建への独自支援を復興交付金で実施するよう申請したが,全て認められなかった。国が姿勢を改めない限り,被災者の住宅再建は遠のくばかりで,復興は実現できない」として,国に強く要請するよう求めました。とくに「災害危険区域の指定から外れた地域については,復興交付金の効果促進事業の適用を認めさせ,独自支援ができるように」強く求めました。村井知事は「粘り強く実現できるよう国に強力に働きかけていきたい」と答えました。

 また,ほんだ議員は「本県の全壊・半壊を合わせた住宅被害が23万7,000棟にのぼり,その多さに圧倒され,最初から県の独自支援策の検討を諦めていないか」「住宅被害は岩手県の9倍だが,今年度の被災住宅再建に関する本県の独自支援予算額は岩手県の2分の1程度に留まる。集団移転や現地再建など被災者の住宅再建にどんな支援策が効果的か,市町とともに十分検討すべきだ」と質しました。県は「決して諦めてはいない。何とか検討していきたい」と答えました。

以下,@住宅再建支援を図るため復興基金の大幅な積増しAバリアフリー住宅建設への補助制度創設B被災者が住宅を新築する際の生活再建支援金に上積せする独自補助制度の創設C住宅ローンを抱えて災害公営住宅に入居する被災者への家賃減免や利子補給制度の創設――などを求めました。


経済商工観光分科会・常任委員会  佐 藤 詔 雄 議員

 分科会等で課題となったのは東日本大震災により被災した中小企業の施設・設備等の復旧を支援するため経費(グル―プ補助金)として計上された165億円についてであります。これらの財源といたしましては国庫支出金110億円・一般財源として55億円計上されていますが、その財源は7月21日に決定されることになっております。しかし、すでに23項目について受理しており、共同事業・地域雇用・被災状況等市町村では首を長くして待っております。このような状況から委員会としては、議153号議案については、付帯意見として、中小企業等復旧・復興支援事業費については、中小企業復興のため、応募に応えられるよう、予算の確保に全力で務められたい。とする付帯意見をつけ採択致しました。第146号議案松島公園で発生した設備破損による負傷事故の和解及び損害賠償の経費として、580万円(全額一般財源)については原案採択としました。


文教警察分科会・常任委員会  岸 田 清 実 議員

 7月2日、3日は予算特別委員会文教警察分科会が行われました。メンバーは文教警察常任委員会と同じです。文教警察関係の補正予算は主に県立学校の除染費用で、角田高校、角田支援学校、白石高校七ヶ宿校、伊具高校が対象です。今後、詳細な放射線測定が行われ、そのうえで除染方法が決められていくことになります。私は除染作業の中で発生する汚染した汚泥や土壌の保管、廃棄が課題になることを指摘し、方法の検討や関係者への説明をしっかり行うことを求めました。

 7月4日は文教警察常任委員会が行われ、教育庁、県警本部からの報告事項について審議しました。報告事項の中に県立高校の来年度の入試がありました。県立高校の入試制度が推薦制の廃止により来年から大きく変わることから、保護者の不安などを取り上げて教育長の所見を求めました。


 

地方財政の充実・強化を求める意見書

 急速な高齢社会の到来や依然として停滞する経済状況などにより、社会保障制度の重要性は一層高まり、機能強化や持続可能性の確保が求められている。こうした中、社会保障の充実や地域の雇用確保など地方自治体が果たす地域のセーフティーネットとしての役割は、ますます重要となっている。特に、介護・福祉施策の充実、農林水産業の振興、クリーンエネルギーの開発などの分野の政策については、雇用確保と結びつけ、充実・強化することが求められており、その実現のためには、安定した財源の確保が重要である。

 よって、国においては、平成二十五年度の地方財政計画の策定に当たっては、地方財政予算全体の安定確保の観点から、次の事項について措置を講ずるよう強く要望する。

一 東日本大震災の被災自治体に対する復旧・復興費については、国の責任において確保し、地方自治体の財政に支障を来さないよう十分な措置を講ずること。

二 医療・介護、子育て支援分野の人材確保など、少子・高齢化に対応した一般行政経費の充実、農林水産業の再興、環境対策など、今後増大する財政需要を的確に取り入れた地方財政計画を策定すること。

三 地方財源の充実・強化を図るため、地方交付税の総額確保と小規模自治体に配慮した再分配機能の強化、国税五税の法定率の改善、社会保障分野の単位費用の改善、国の直轄事業負担金の見直しなど、抜本的な対策を進めること。