宮城県議会2011年5月定例会の概要



 県議会5月定例会は,5月31日に招集され,6月20日までの21日間開かれました。3月11日に発生した東日本大震災への復旧対策費として総額4,911億円の2011年度一般会計補正予算案など107議案(うち専決処分77件)を審議し,全議案を可決・承認しました。特に本会議・予算委員会・分科会・常任委員会で問題になったのは,専決処分が77件に及んだことです。非常事態の中での議会,二元代表制の意味からすれば執行部・議会のあり方について問われる議会となりました。

 今議会では,大震災からの今後の復旧・復興対策をめぐる様々な課題について議論が戦わされました。社民党県議団からは本多祐一朗議員が本会議で一般質問し,予算特別委員会では熊谷義彦議員,大震災対策特別委員会では,岩渕義教議員が,それぞれ会派を代表して質問したほか,各常任委員会でも活発に質疑・議論を展開しました。

 一方,今議会では,社民党県議団が提出した「国の原子力防災対策の見直しを求める意見書」をはじめ,「国の復興ビジョンの早期策定」「宅地・地盤被害への公的支援」などを求める意見書7件を全会一致で可決しました。

 また,市民団体「5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会せんだい・みやぎ」が提出した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う,宮城県の子どもたちが安全に暮らせるように情報の公開・共有・教育機関などへの指導及び環境への配慮を求める請願書」4件は総務企画,保健福祉両委員会に付託した2件を採択しました。採決では自民党県民会議3人,21世紀クラブ1人が反対しました。同趣旨の残る2件は環境生活,文教警察両委員会で継続審査となりました。

 このほか,宮城県図書館資料の東北歴史博物館への移管の即時停止を求める請願を全会一致で採択。「水産業復興特区」創設の撤回を求める請願は自民党県民会議の抵抗で採決にならず,継続審査となりました。



本会議一般質問  本 多 祐一朗 議員 (6/8)

 東日本大震災の復旧・復興対策について,県議会本議会で大綱5点について村井知事に質問しました。@コミュニティを重視した仮設住宅問題Aがれきの撤去・処理B復興・防災まちづくり構想C財源問題D仙台東部地区の復旧・復興対策の5点です。主なやりとりは以下の通りです。

 1,仮設住宅問題では,高齢者の孤独死の防止や今後の復興対策に取り組む上で,地域コミュニティの維持が欠かせないこと。仮設団地に設置する集会所を活用し,コミュニティ活動や入居者のケア体制づくりを支援すること。集会所に机や椅子等の備品を配備すること,などを求めました。これに対し,知事をはじめ執行部からは「復興に当たっては,地域コミュニティが大きな役割を果たすことから,その維持と再構築に努める」,「集会所を活用し,コミュニティの維持と世代間の交流,生活・健康相談,見守りなどサポートセンターを整備する」,「集会所の備品については市町とともに調達する」ことを約束しました。

 また,仮設住宅の建設に当たっては,地元業者や地元雇用に努めるように求めたのに対し,市町の求めに応じて進めていく旨,答弁がありました。

 2,がれきの撤去・処理が遅れていることから,被災地からのがれきの撤去を1年以内に達成する方針の厳守を求めました。知事は「1年以内の被災現場からの撤去を目指し,総力を挙げる」と述べました。また,被災市町が苦慮している一時仮置き場の不足への対策について質したのに対し,「県が二次仮置き場として確保した土地の活用や県外での広域処理を検討する」と答えました。また,がれきに含まれるアスベスト等有害物質の調査や二次被害防止策を質したのに対し,「解体作業現場を含め,アスベスト等のモニタリング調査を継続的に実施し,防じんマスクの着用や飛散防止策を徹底したい」と述べました。

 また,がれきや津波堆積土砂の撤去・処理を促進するため,具体例を挙げながら早急に再利用策を確定することを求めたのに対し,盛り土や土木資材等に活用するかどうかについて8月を目途に検討したいと述べました。

 3,復興・防災まちづくりについて,県は高台移転,職住分離・津波への多重防御の方針を打ち出しているが,現行制度の防災集団移転では,市町村が新たな土地造成費等の4分の1を負担するほか,移転対象地区住民の2分の1以上の合意が要件となるなどハードルが高いことから,国庫補助の拡大と要件緩和を求めました。橋本土木部長は「集団移転を進めるには,現行の補助率や補助限度額,住宅団地の規模要件,移転者への土地の譲渡等について改善が必要。事業に要する費用の全額を国の負担とすることや団地の規模要件の引き下げなど強く要望していく」と述べました。

 また,「被災者の生活を再建しながら移転を進めるためには,その原資となる被災者の土地(宅地や農地)を国がいくらで買い取るかが重要になる。長崎・雲仙普賢岳噴火災害の際は,買い取り価格を『被災前価格の8割』としたが,今回も被災前の価格を基準にした補償が必要ではないか」と質しました。県は「買い取り価格は,国が定める額を上限とし,その土地が危険区域であることを勘案して市町村が定める。国の買い取り価格の上限の設定について,具体的な地区をモデルとして国に問い合わせ,その価格によっては,価格を引き上げるよう国に強く要望していきたい」と述べました。本多県議は,「あくまでも被災前の価格を基準にするよう国に強く求めるべきだ」と再度要請しました。

 また,家を失った被災者や事業所が被災した中小企業者の二重ローン問題の解決について,国の取り組みの現状と県独自の対策を求めました。

 4,復興特区創設の提案については一定の理解はするものの,県民との十分な合意形成がなければ,復興事業は行きづまる。民間資本に漁業権を解放する水産業特区について,漁協が反発を強めていることから,「いったん特区構想を白紙に戻して虚心坦懐に漁業者と話し合いをする姿勢が必要ではないか」と質しました。知事は,「今月中に漁業者と話し合いの場を設け,考えをしっかりと伝えたい」と述べましたが,特区構想を引っ込めることは否定しました。

 5,復興の財源問題について,知事は国の復興会議で消費税への上積せを提案しているが,消費税は被災者にも負担増となり,低所得者ほど負担が重い逆進性があるため,かなり厳しく,むしろ期間限定で負担能力に応じて所得税や法人税に上乗せする「復興連帯税」を考えるべきではないか,と質しました。しかし,知事は,「相当規模の財源を安定的に確保することができる消費税の上乗せが適当」という持論を展開するにとどまりました。

 また,本多議員は,阪神大震災の際には震災から2ヶ月半後に復興基金が創設され,きめ細かな被災者支援に3,500億円の事業を行ったこと,国の制度を補完し,被災地が主体となり県民ニーズに即した独自の復興の取組を実施できるようにするため,復興基金の早期創設をあらためて求めました。知事は「国庫補助制度の新設・拡充や復興交付金の創設を国に求めており,国が二次補正等で,どの程度被災自治体の要望に応えるか,見究めつつ,並行して,復興基金の創設について迅速に国と協議を進めていきたい」と述べました。

                



予算特別委員会総括質疑  熊 谷 義 彦 議員 (6/13) 


 1,教育環境の確保について

 (1)被災した生徒,家族等にとって学校徴収金は負担になっていることから,県独自制度として減免措置を講ずるべきと思うがどうか。

 (2)県に寄せられた義援金や復興基金を活用する方法もあると思うがどうか。

 2,災害復旧への対応について

 (1)「災害復旧は現状復帰」との考えでは今回の災害から何ら学んでいないことになるが,二度と今回のような被災を受けないための復旧工事を国に対して求めるべきだが,現状はどうか。

 (2)災害廃棄物に対しては,震災廃棄物処理チームを立ち上げ対応してきたと報告しているが,議会には危険物一覧やマニュアルの提示や報告もない。被災地では防じんマスクを着用していない作業員も多数おり,対応が遅いと思うがどうか。また,発注者責任,事業者責任についてどう考えているのか。

 3,原発事故に関わる放射能検査について

 (1)知事説明では,地震と津波により原子力発電に事故が発生したとしているが,地震・津波と東電,国の安全対策の不充分さが事故を招いたと理解すべきと思うがどうか。

 (2)水道水,農林水産物に放射性物資のモニタリング調査を継続して実施してきたとのことだが,それぞれ県内何カ所でどの地点で行ってきたのか。また,一回ごとの費用はどうか。さらに土壌調査はどう進めるのか。

 (3)県産農林水産物等輸出促進費を予算化しているが,これは事業者に対する補助金なのか。また,購入費の負担割合についてどうか。

 (4)検査結果は指標値を大幅に下回っているとしているが,これは空気や水から被爆していないとの前提での規制値であり,これをどう考えているのか。また,水に関する規制値には乳幼児規制と大人との比較があり,小学校低学年の児童を大人扱いするのは危険ではないか。

 (5)子どもたちの被爆を減らすためにも,安全基準や判断できるデータが必要であり,詳細な細量測定が必要と思うがどうか。県内全ての校庭,プールでの放射能測定を詳細に早急に行うべきだがどうか。

 (6)牧草の放射能検査について

 イ 合併前の自治体や自治体の希望ヶ所での週2回程度のモニタリング調査を検討してはどうか。同じように土壌調査を実施すべきだがどうか。さらに,その調査ヶ所周辺で水質調査を行うべきだがどうか。

 ロ 現在,牧草給与と放牧制限を行っているが,代替え飼料の安定供給の見通しについてどうか。代替え飼料の購入を県が一括して行い農家に現物支給し,その費用を県から東電に請求するよう求める声が強いがどうか。

 ハ 県内農産物への風評被害も大きく,観光面での被害も出てきている。更に,精神的被害もある。これらをどのように算出し,東電に請求するのか。

 ニ 汚染牧草の処理についてどのような手法をとるのか。自己処理も請求できるのか。

 ホ 説明会では,「汚染物牧草とそうでない牧草を混ぜれば薄まる」といった話もあったが,科学的根拠があるのか。また,消費者に理解されると思っているのか。

 ヘ 県として今まさに,原発に頼らず自然エネルギー等の代替えエネルギーへの転換を図るスタート地点に立つべきである。環境税の活用を見直して,太陽光発電や県産材を活用した復興住宅建築へ検討すべきと思うがどうか。

 ト 被災者からのみやぎ環境税の徴収は廃止すべきと思うがどうか。

 4,在宅医療への対応について

 医療・福祉施設電力確保対策費は救命救急センターや特養ホームにおける自家発電設備の整備に対する助成だと思うが,今回の停電に伴い在宅患者の酸素ボンベや電動式ベッドなどで発生した重大事故の実態把握と対応策についてどうか。

 5,雇用問題について

 緊急雇用創出事業臨時特例基金事業として116億円あまりを計上しているが,具体的にどのようにして雇用機会を創出するのか。また,県発注事業の仕様書に具体的に金額と人数を明示し,点検もすべきと思うがどうか。

 6,県の借り上げ民間賃貸住宅について

 賃貸住宅の申し込みから3週間以上経過しても家電6点セットが届かず,避難所からの移行が遅れる事態が発生しているが,手続きの流れはどうなっているのか。また,どこで滞っているのか。さらに,スピードアップできないのか。

 以上,19項目ですが会派持ち時間が20分の中で,1〜3までで質問時間がなくなり,その後の「牧草の放射能検査について」は私が農政委員会で当局の見解を質しました。在宅医療と借り上げ民間住宅の問題については会派同僚議員にゆだねました。

 答弁では,学校徴収金減免については検討していないことが明らかとなり,県教委として被災児童・生徒に寄り添う姿が見えないことが残念でした。又,「災害復旧は現状復帰」との考えはまだ国制度として残っており,残念でなりません。前進面とすれば,原発事故が天災ではなく,人災であることを認めたことと県内50ヶ所で校庭・プールの放射能検査を行うこととした点です。

 しかし,放射能検査については極めて不充分な体制であることは事実であり,今後共,強く実施を求めていきます。

 農政部の質疑の中では,牧草の検査体制の強化と野菜・果樹・米を含めての検査強化と東電への請求を強く求めました。特に放射線汚染による土壌・水の影響から危惧される多くの食物等について厳しく検査をすることを強く求めました。

 今議会で「水産業復興特区創設の撤回に関する請願書」については,私は賛成の立場から議論しましたが,自民党の皆さんは,村井知事への配慮からか継続審査とするとして採択は見送られてしまいました。

 しかし,「水産特区」については,漁業者の思いと漁業権について,知事の独走と誤った判断が強くでてきていることが明らかとなりました。



大震災対策特別委員会  岩 渕 義 教 議員 (6/20)


 平成23年大震災対策調査特別委員会が開かれ,知事は宮城県震災復興計画の第一次案を示した。この案は,復興達成するまでの期間を約10年とし,平成32年度を復旧期(3年間),再生期(4年間),発展期(3年間)と区分し,宮城の復興への目標を定められている第一次案である。

 その第一次案の説明をうけて,岩渕委員は,質疑を行い,主な点について報告します。

 @大震災発生以来3ヶ月がすぎ,今なお被災地において,復旧作業,生活再建などにむけて懸命に頑張り続けています。県民生活の復興が前に進まなければ心が折れてしまうことが現状ではないでしょうか。被災者の方々が今求めているのは「具体的な答え」なのです。宮城県震災復興計画の最終案までのスケジュールについて問いただしました。

 知事は,「7月上旬に第二次案を議会側に示し,意見を聞き,8月に有識者で構成されている検討復興会議を開き,最終案を9月の県議会に提案します。その際復興にむけた各事業の概要についても示していきます。」と答えた。

 A応急仮設住宅入居者の方々は,将来持ち家にするか借家にするか選択に悩みます。その選択の判断できる環境をさし示す必要があるのではないでしょうか。阪神・淡路大震災の時には,震災後7ヶ月目には,「住宅復興3ヵ年計画」が策定され,応急仮設住宅入居者の意向調査が始められています。宮城県としても住宅に困窮している低所得者の方や高齢者だけの世帯の方々が持ち家から借家に将来移行せざるをえないため,被災市町村と連帯を図り,「住宅の復興に当たって災害公営住宅を中心とする公営住宅供給するため,必要な住宅確保のための作業に着手する必要があると思うがどうか。

 Bまた,集団移転,高台移転,職住分離についても,被災者の方々の生活再建を考えるうえで被災された土地の評価について震災の前か後では,まったく違ってくる。どちらなのか,はっきり答えていただきたいなど質した。

 執行部は個別事業については,秋以降に実施計画の中で具体化していきます。また,土地の評価は現行法では被災後の評価となりますが,雲仙普賢岳噴火災害の際には,被災前の80%の評価とされたこともあり,被災者の立ち直り,回復の立場で国に対し要請していきます。と答えた。

 また,岩渕議員の所属常任委員会,保健福祉委員会においても,関係する事業,特に災害復旧・復興対策についても集中した討議が行われ,仮設住宅民間賃貸の導入について,国の方針が四度も変更される等,県・被災自治体,宅建センターにおいて混乱が生じた問題なども含めて県の方針を明確化させる努力を払った。

 さらに,東京電力福島第一原発事故による放射能の影響が,とりわけ妊婦・乳幼児の健康を守り続けなければならない。保健福祉委員会は付託された請願「東京電力福島第一原発発電所事故に伴う宮城県の子どもたちが安全に暮らせるように情報の公開・共有・教育機関などへの指導及び環境への配慮を求めることについて」については採択された。



総務企画委員会  佐 藤 詔 雄 議員 (6/17) 


 私が所属する総務企画委員会では「今後は臨時議会で対応されたい」とする趣旨の付帯意見をつけ専決処分の承認を行った。

 今回の大震災の影響で東京電力福島第1原子力発電所で事故が発生し6月20日時点においても予断を許さない状況にあり,隣県であるわが県とて放射能の汚染について意見が続出した。この件に関し,5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会から出された請願「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う,宮城県の子どもたちが安全に暮らせるように情報の公開・共有・教育機関などへの指導及び環境への配慮を求めることについて」について,総務企画委員会では全会一致で採択され、その後開催された本会議で採択された。

 県議会最終日平成23年度大震災対策調査特別委員会が開催され,8項目からなる宮城県震災復興計画「第1次案」が報告され,意見交換がなされた。最終的な復興計画案は9月に開催される宮城県定例県議会に提案される予定である。