宮城県議会2010年11月定例会の概要



 県議会11月定例会は,11月25日に招集され,12月16日までの22日間開かれました。ゼロ県債を活用した33億円余の県補正予算案と国の補正予算の成立が遅れたため,その一部を計上した78億円余の県追加補正予算案など,執行部提出35件,議員発議2件の37件の議案が提出され,審議の結果,全議案が可決されました。

 このうち,社民党県議団は,執行部が提出した県立3病院を地方独立行政法人化するための関連3議案に反対するとともに,議員発議の「宮城県歯と口腔の健康づくり推進条例」について,県民のパブリックコメントでも反対意見が多く寄せられた「フッ化物応用」が盛り込まれたことから,熊谷義彦議員が本会議で反対討論を行った上,反対しました。

 また,議員並びに全会派が一致して提出した「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に国民的議論も合意もないまま拙速に参加することに反対する意見書」など,10ヵ件の意見書を採択,請願も3ヵ件を採択しました。

 なお,本会議の一般質問には佐藤詔雄議員,補正予算の総括質疑には岩渕義教議員,追加補正予算の総括質疑には本多祐一朗議員が質問に立ちました。



本会議一般質問  佐 藤 詔 雄 議員 (12/6)


                
 佐藤議員は,本会議一般質問で,農業問題の現況をふまえ問題となっているTPPの問題について質問しました。

 @東北・北海道の知事と連帯して政府・与党にTPP参加について,十分な時間をかけて慎重に検討するよう要請書を提出したと聞くが,宮城県としてはっきりとTPP参加に強く懸念を表すべきと質し,TPPについては,先般,我が国最大の食糧供給地域である北海道と東北6県が共同して,国の「包括的経済連帯に関する基本方針」に対し要望し,TPPへの参加については,広く国民の理解と合意が得られるまで十分な時間をかけて慎重に検討するよう求めた。TPPへの参加は,製造業においては,関税撤廃が国際競争力維持に寄与するとの見方もありますが,我が県の基幹産業である農林産業においては,先日公表した試算のとおり大きな影響を及ぼす可能性がある。さらに,TPPは,関税以外にもサービス貿易や政府調達,人の移動など交渉分野が幅広いため,様々な分野において影響が生じると想定している。そのため,TPPへの参加については,国民の理解と合意が必要であり,とりわけ大きな影響が懸念される農林水産業の競争力強化など国内対策を十分に行うことが極めて大切であると考えていると答えた。

A米が関税撤廃の例外になる可能性や国内農業対策の必要性などについて大臣発言が相次いでいるが,そうした認識に基づく政府の対応をより確実にするため,万一TPP参加が現実のものとなった事態を想定して,米の関税撤廃の例外化などを積極的に働きかけていくべきではないかとの問いには,TPPについては,参加国が原則関税撤廃を目指す自由貿易協定であると認識しており,仮に,参加するということになれば,各国の重要品目を例外扱いすることは,現実的には非常に難しく,米についても同様の扱いを受けることになるのではないかと懸念している。そのため,米の関税化撤廃の例外化などについては,TPPを巡る情勢や議論の動向を見据えながら,北海道・東北各県と連携し対応していくと答えた。

 B農業を取り巻く情勢は刻々と変化しており既存の考えや計画だけではとても対応できない。国の動きや対応を待つだけでなく,TPP参加が現実のものとなった場合を想定し,宮城県版農業構造改革推進本部を設置して基本方針を定め,本県農業の改革を進めるなどの対策を検討する必要があると思うが,いかがかとの問いに,現在策定中の「第2期みやぎ食と農の県民条例基本計画」は,今後10年間の我が県のあるべき農業の姿を展望し,目指すべき方向性を示しており,「中長期的な農政ビジョン」と同様のものと考えている。この計画は,「消費者が求める安全・安心な食料の安定供給」「競争力と個性のある農業の現実」「農業・農村の多面的機能の発揮」「農村の経済的な発展」を基本方針とし,今後,我が県の農業振興に必要とされる重要な施策を盛り込んでいる。現在議論が行われているTPPによる市場開放が行われる場合であっても,食料の安定供給や多面的機能の発揮,競争力のある担い手の育成等については,施策の方向性は一致し,これらの施策を加速的に展開し,我が県農業の構造改革を推進していきたいと答えた。

 C知事は先に「農家が安心できるようになってからTPPへの参加の是非を判断すべき」と答弁したが,言葉だけではなく具体的な施策を示すべきと質し,日本が今後,TPPに参加するとした場合には,国内農林水産業ひいては我が県の農林水産業に及ぼす影響は大きいものがあると受け止めている。この状況を踏まえ,国では「食と農林水産業の再生推進本部」を設置し,国内農業の振興に向け,検討をしている。県としても,積極的に農業振興に取り組んできたが,TPPの関連につきましては,県単独で解決できるものでなく,国の政策に呼応していかざるを得ない大きな問題であると認識しているので,今後「再生推進本部」の動向を見ながら県として対応していくと答えた。

 D本県の平成22年度産米の1等米比率は70%と前年同期比で22.5%も下落するなど東北で2番目に大きい下落幅となったが,この事態に対して率直な意見を尋ねた。今年の夏は,記録的な高温少雨という異常気象により,1等米比率は大幅に低下し,残念な結果となった。しかし,猛暑の中,農業者の方々の努力により1等米比率を70%台に維持できたと考えていると述べた。

 E本県の1等米比率は全体でも銘柄別でも東北の他県よりも低い状況にあるが,このような事態を未然に防ぐ対策は出来なかったのか。また,本県における原因をどのように分析し,来年以降の対策にどう生かしていくのか質し,県では,気象変動に強い宮城米づくりを推進する中で,高温登熟(とうじゅく)による品質の低下を回避するため,晩期栽培や直播栽培を進めている。また,7月下旬に高温予報が出され,品質低下が懸念され,その対策として迅速な技術情報の提供や,技術対策会議を開き,水管理の徹底や適期刈り取りなどを呼びかけていた。しかし,記録的な猛暑の影響により1等米比率を下げてしまったため,今後気象変動に対応できる晩生品種の導入や直播栽培の普及,的確な栽培管理を進めるため,より一層迅速な技術情報の提供に努めると述べた。

 以上,主要な部分について報告いたします。



産業経済委員会  熊 谷 義 彦 議員 


 今回,経済商工観光労働関係2,400万円程,農林水産業関係1億1,000万円程の補正予算が提案されました。経済商工部関係は緊急雇用創出事業の予算ですが,県執行部等と町補助金に大別されています。問題点として県執行部等が,離職者のスキルアップ研修事業であり,充分に離職者の方々に定員上対応できていないこと,更には,その後の本採用につなぎきれていないとの課題があります。多くの離職者の方々に充分に対応できることを強く求めました。

 多くの方々が派遣労働で非正規職員に追いやられ,人生計画,生活生計がなりたたない。行政も結果として,非正規労働を是認・追認していることが大きな問題として指摘をされました。

 又,林業部門では,森林整備へ高性能林業機械導入補助金が計上されていますが,人材育成が不充分であり,大きな課題であることを指摘しました。

 又,TPPに関連して,県農業政策が,大規模農業育成だけでは,結果として集落が壊滅してしまうことを強く指摘し,今後も継続して議論をしていきます。

 また,フッ化物使用・教育等への業務命令への不安,解消できず歯と口腔の健康づくり推進条例について反対討論をさせていただきました。

 この条例の議論をする上で,大きく第7条第10条を除いて,歯と健康の推進を計る施策を進めることには何等の異議をはさむものではありません。しかし,現状進められているフッ化物使用に関して,説明と同意に係わり,充分にその責任がはたされているのかについては,大きな疑問をもたざるを得ないことも事実であります。医療行政,薬事行政,衛生事業を進めるにあたっては,何よりも,患者・家族に対し,充分なリスクを含めた説明責任と本人・家族からの同意を得ることが何よりも大事なことであることは,誰しも否定できない事であろうと思います。事は,命・健康に係わることであり,私たちの次代を受けつぐ大事な子供たちのことであります。

 次に,今回の条例は,議長の諮問を各派会長懇話会が受け,任意の検討委員会が議論をつみ重ねてきたわけでありますが,最終的には検討委員会の結論を議長が受けても,各派会長懇話会を開かずに,議員発議条例として提案をされていることは,手続き上も問題を残したと思われます。仮に各会派会長懇話会を開催していれば議長の下・宮城県議会として多くの県民の方々の参加のもと,シンポジューム開催も考えられ,残念でならないのであります。

 又,パプリックコメントについても,議員が承知をしていない段階で議会外の団体が承知をしていることは不可解極まりないのであります。

 私も検討委員会のメンバーですが,これまで14回にもわたって激論をし,議論をつめあってきた検討委員の方々には,感謝し,一定前進した部分もあることは承知をしながらも,今回の提案は余りにも拙速すぎるし,未だ不充分な部分と課題も残っているのであります。

 パブリックコメントでは,これまでにはない173件にものぼる御意見がよせられました。何故にこれ程までの提言がよせられたのか。それは,正にフッ化物使用について,多くの県民の中で合意が得られていない,合意形成の努力がこれまでの行政執行の中でも行われてこなかった,不充分であった,説明責任がはたされていなかった証拠でもあります。多くの県民の中に不安・とまどいがある中で,大きな条文変更もなしに可決されることは,今後に大きな過根を残すことになるものと思われます。

 この条例の問題点は大きく2つあります。1つには,第7条の「教育又は福祉に関わる者は,業務において,務める」との文言であります。この条例によって幼稚園・小学校等で集団的フッ化物洗口が半ば強制的に行われる恐れがあり,それも業務命令の形をとる恐れが強い根拠条例になっていることであります。教育長が別件で「風通しのいい学校をつくりたい」と述べていましたがその思いとは逆行することにもつながるのではないでしょうか。益々,風通しの悪い学校が強まることを危惧しています。

 2つめには,第10条3項のフッ化物の応用等の文言であります。条例にこのフッ化物応用等の文言をあえて加えなければいけないのか大いなる疑問であります。私共は,県議会段階で国の法令,通達を否定する条例がつくれないことは充分に承知をしています。だからこそ,フッ化物応用等の文言を削除し,科学的根拠に基づく虫歯予防とすることを強く求めてきました。過去,現在の行政執行を全否定できない中で,最善の方法と考えた末であります。

 すべての衛生事業は,実施の前提として,その必要性が高く,有効性があり,有害性が相対的に低く,それを受ける人々にインフォームドコンセント(告知と承諾)が必要である。F洗口は厚生労働省によって03年にガイドラインとマニュアル(実施の詳細)が都道府県に配布され,現在その実施が迫られ,多くの県で議論が行われています。フッ化物の文言をいれた所,いれない所,条例をやめた所,さまざまであります。まず必要性については,近年,治療済み虫歯を含めても子供の虫歯数は激減しており,クラスに数人いる虫歯の多い子供以外は虫歯ゼロに近い状態である。対策は虫歯の多い子供への早期治療と生活指導であるべきで,今になってなぜ全員にF洗口が必要なのだろうか。洗口に用いられているフッ化ナトリウムは,ゴキブリ退治や猫いらずなどにも用いられている劇薬で,フッ素は水道水の汚染物質(許容濃度は0.8ppm以下)と省令で定められており,子供の口に入れるべきものではない。有効性については,日本の歯科研究者の方は虫歯予防率30〜80%というが,世界中のフッ化物洗口の有効性についての論文を集めて検討したコクランのシステマティック・レビュー(04年)によれば,日本の報告はすべて科学的レベルが低いとして採用されず,結論は歯磨きをしていればF洗口に有意の有効性はないといわれています。安全性については,百年以上前の不完全な論文1つだけを根拠に,急性中毒は2mgF/kgでは起こらないとし,それより低い量で起こった中毒事例を全く考慮しようとしない。現実にはその10分の1程度の量で急性中毒が起こっている。また年齢が低い子供たちほど飲んでしまう洗口液量が多いので,食事やフッ素入り歯磨剤からのフッ素摂取を合計して考えると,米国などで行われている水道水へのフッ素添加と同様に,班状歯やフッ素の骨への蓄積,発癌性や知能低下を含む長期的有害作用も無視できない。インフォームド・コンセントについても,安全性のみを強調し,有害性への危惧を全く告知していない。すでに全国で約80万人の子供がF洗口を行っており,班状歯の発生や過敏症・アレルギーの事例が出始め,このままでは次の大きな薬害に発展するであろうことを危惧されています。よって全ての点で集団的F洗口には不適切と考えられます。

 通常,条例案が出されると県議会内に検討委員会が作られ,条例案が練られて全員一致で本会議に送られる。しかし今回はこのフッ化物応用について一致をみず,座長は原案のまま議会へ送りました。条例案の他の案文には賛成であり,フッ素入り練り歯磨きの使用など,個人で行うフッ化物応用には,いずれ改善策が行われていることを期待し反対はしませんこと,第10条に「ただし保育・教育現場での集団的フッ化物洗口は行わない」を強く求めますし,「フッ化物応用」を除くべきだと考えます。



予算特別委員会総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (12/9)


 岩渕議員は,今議会の第1次補正予算案33億2,690万円余りに対して,予算特別委員会総括質疑で@若年者の雇用の促進A森林整備加速化・林業再生事業の促進について取り上げ,知事並びに関係執行部の考えを質しました。

 1,若年者の雇用の促進につい

 完全失業率は,10月末5.1%(本県は5.6%)と前年比1.1ポイント上昇し,なかでも15〜24歳の失業率は9.1%と最も高くなっている。高校生・大学生など卒業直前の経済状況が就職を左右し,多くの若者が社会と深くかかわる足場を築こうともがき苦しんでいる。この就職難の現状は本人の能力や努力を超える面が大きく,不安をつのらせている。

 補正予算では,若年層の雇用を促進をはかるため,緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して,新規雇用135人分,1,125万円の予算と3億2,000万円の債務負担行為を計上したことに,知事の雇用の厳しさの認識と支援効果を質した。知事は「10月末現在では,昨年よりは,就職内定率はいく分上昇しているものの依然として厳しさは続いている。人材派遣会社に募集委託して行うが,その50%以上は直接雇用に,又,さらに公募者が超えた場合は,第2次の支援を考えていきたい。」と述べた。

 その他岩渕議員は(イ)卒業後3年以内の既卒者の新卒扱いとなるが,企業側がその扱いを実行するか注視する必要があること。また,企業側の「新規一括採用から「年間を通して採用を増やす」方向にシフトをすべきであること。(ロ)求人数の多くを占めているのは中小企業です。その中小企業に関する情報の少なさも,就職の深刻さを増す原因です。求人と求職のミスマッチをなくすためにも求職情報を広く伝えるシステムの構築をはかるべきと提言し,知事の所見を求めた。

 2,森林整備加速化・林業再生事業の推進について

 今回の補正予算で,高性能林業機械導入(ハーベスタ2台,プロセッサ1台)をはかるため,森林整備加速化・林業再生基金として2,500万円計上された。この基金を活用しての高性能林業機械の導入は,今回分を含めて計18台,1億2,950万円となり,森林組合・林業事業体などで間伐作業などの最前線で活用している。森林・林業の多面的な機能を発揮するために,点から線,そして面へと推進をはかっていく必要があることから,以下の点について執行部に質した。

 @これからの林業では,強い経営体とそのために事業地の集約化等が必要であり,専門的知識と高い技術力を持つ林業技能者の育成が重要であること。

 A今後の高性能林業機械の導入計画と県の支援について。

 B林業技能者の育成について,地域林業の中核を担う,グリーンマイスター(認定者245人),高性能林業機械オペレーター(認定者140人),林産現場でのリーダーを担うハイパー技能者(認定者5人)

 C国産林の安定供給体制を築くための人材育成・路網整備・施業集約等の新たな体制が不可欠。そのため地域の雇用を創出するための国・県・市町村の予算配置が必要であることを訴え,今後,森林整備計画の策定・実行を図るため,市町村段階での合意形成が必要となってくることから,県の考え,指導のあり方を質した。農水部長は「この森林経営計画づくりは,大きな課題となってきます。県はすでに,市町村をまじえて勉強会をすすめています。森林・林業の推進のために取り組んでいきます。」と述べた。



予算特別委員会  本 多 祐一朗 議員 


 1,国の緊急総合経済対策について

 1,国の「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」に係わる補正予算に基づき,今回,県は追加補正として78億円の予算を計上した。国の補正予算の成立が遅れたため,今回はその一部ということだが,国の補正の規模は4兆8,513億円,ゼロ国債を含めれば5.1兆円とかなりの規模である。

 この中には,就職氷河期よりも深刻さを増している新卒者の就職を促進するため,中小企業を重点的に支援する「新卒者就職応援プログラム」511億円が盛り込まれ,各都道府県に対策を企画する新卒者就職応援本部の設置を求めていたり,また,地域活性化,社会資本整備,中小企業対策等3兆706億円が盛り込まれ,この中で地方交付税1兆3,000億円余の増額(このうち22年度中に3,000億円の交付)をはじめ,地域活性化,社会資本整備,中小企業対策が打ち出されている。

 県内の経済・雇用情勢が冷え込んでいる現状からすれば,この経済対策を有効かつ迅速に実施することが喫緊の課題である。2月議会といわず,臨時議会を開いてでも早急に予算の執行ができるようにすべきと考えるがいかがか。

 2,公共事業発注上の対応について

 (1)今回の経済対策の目的は「デフレ対応」であり,適正価格による公共工事の発注が求められているが,実際には過当競争による低価格入札の傾向が続いている。適正な労務単価,資材設計単価等が確保されることが必要だと思うが,これらはどのように積算されているのか。

 (2)下請け,孫請けでは1日の賃金が5千円〜6千円とも聞くが,適正な労務単価に比べ半分かそれ以下というのが実態である。実際に働く人たちに支払われる賃金の実態をどうチェックし,是正措置を講じているのか。

 (3)今回の事業は,地域に密着した小規模な事業が大部分であるが,地域経済の底上げにつながるように地元業者に仕事をくまなく回すべきと思うが,対策はどうか。