宮城県議会2010年9月定例会の概要



 県議会9月定例会は,9月17日に招集され,10月19日までの33日間開かれました。今議会には,地域介護拠点施設の設備や津波による養殖施設被害の復旧費,国の経済危機対応・地域活性化予備費活用による経済対策費など総額56億8,200万円の補正予算案や平成21年度決算認定議案など執行部提出議案24件,議員提出議案9件が審議され全議案を可決しました。

 このうち,自民党県民会議が提出した「尖閣諸島における中国漁船の領海侵犯事件に対する意見書案」の取り扱いをめぐり,各会派で意見が対立。社民党県議団は意見書提出には賛成するものの,全会派が一致できる意見書の文言修正を求めましたが,自民党は修正に応じなかったため,共産会派とともに棄権に回りました。民主党系会派は反対しました。このほか「緊急的な米需給調整対策に関する意見書」「私学助成制度の堅持及び充実強化に関する意見書」等7件が社民党も賛成し,採択されました。

 なお,本会議の一般質問には本多祐一朗議員が,予算総括質疑には熊谷義彦議員が,決算総括質疑には岩渕義教議員がそれぞれ質問に立ちました。



本会議一般質問  本 多 祐一朗 議員 (9/30)


                
 本多議員は,本会議一般質問で,@教育条件の改善A高齢者福祉の充実B村田町竹の内産廃処分場問題C警察署再編整備計画D津波防災対策について取り上げ,知事並びに執行部の考えを質しました。


 1,教育条件の改善について

 本多議員は,まず,本来正規職員を配置すべきところを非正規のいわゆる定数内講師で対応する教員配置がここ数年急激に増えている問題を取り上げ,改善を求めました。小林教育長は公立学校における「加配定数」が増加していることや,小中学校における特別支援学級が増えていることを理由にあげましたが,「学校を取り巻く課題が複雑・多様化している中で,講師が増加していることは適切な状況とは言えない」として改善の意向を表しました。

 また,日本の一人親家庭の貧困率がOECD加盟30カ国中最悪であることから,子どもの貧困とそれがもたらす教育格差の実態を県教委でも調査すべきではないかと求めました。これに対し,大村教育委員会委員長は,「子どもの貧困と教育格差の問題についてはこれまで県教委で議論したことがない」と認めた上で,「教育委員会でも資料を事務局に求め,議論してみたい」と約束しました。

 さらに本多議員は,経済的に困難な高校生の修学支援である育英奨学金貸付制限を取り上げ,現在,成績要件や,連帯保証人のほかに保証人を付けさせるなどの制限をしている現状を改善し,経済的に困難で学ぶ意志のある高校生全員を支援できるようにするよう求めました。本会議では従来通りの教育長答弁でしたが,この問題を文教警察決算分科会でも取り上げたところ,氏家高校教育課長は「育英奨学金の貸付条件のさらなる緩和について,いま検討している」ことを明らかにしました。


 2,高齢者福祉の充実について

 県内で1万人を超える待機者がいる特別養護老人ホームの整備について,平成24年度からの第5期介護保険支援計画策定において,さらなる整備の促進を求めました。村井知事は「引き続き待機者の解消に向けて整備方針を策定する」と答えました。

 また,特養整備への助成対象を国が個室ユニット型に限定する動きについて,本多議員は「低所得者対策や待機者解消に逆行するのではないか」と質したのに対し,知事は「地域の実情に応じた施設整備を進める上で妨げになる」とした上で,「地方の判断による柔軟な施設整備ができるよう,国に要望する」と述べました。

 このほか,小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護など地域密着型サービスの整備について質問しました。


 3,村田町竹の内産廃処分場問題について

 竹の内産廃処理場の地下にはガスが大量発生し蓄積しており,試掘孔から汚水やガスの噴出が続いていることから,県のこれまでの対応をただしました。特に,県ではこうした浸透水噴出を以前から把握していたのにもかかわらず,住民の立会いで公になるまでなぜ公表しなかったのかという質問に対し,小泉環境生活部長は「これまでの対応は,地域の住民の不安解消を図る点で,大変不適切だったものと深く反省しております。今後は,このようなことがないように,より一層積極的な情報公開に努め,地域住民との信頼関係を構築してまいりたい」と述べました。


 4,警察署再編整備計画

 仙台南警察署は県内で最も警察官一人当たりの人口負担が多く,全刑法犯認知件数,重要犯罪認知件数,交通事故発生件数等,県下ダントツの1位であり,業務負担は極めて重いことから,仙台南署の負担軽減と若林警察署の一日も早い設置を求めて質問しました。知事は「南署の負担を軽くするように,一日も早く若林署設置をしたいと思っている」とはじめて明確に設置の意向を明らかにしました。そして,「県民の生命,財産を守るということを考えると,非常に優先度が高い事業だ」と述べると同時に,「財政規律を守り,それとのバランスを図りながら,しっかりと取り組んでいきたい。頑張りたい」と述べました。



予算特別委員会総括質疑  熊 谷 義 彦 議員 (10/5)


 10月5日に行われた予算特別委員会総括質疑では,(1)仙台・宮城観光キャンペーン(2)雇用問題(3)教育(就職指導)の3点について執行部の考えを質しました。

 (1)に関しては,地震発生から2年3ヶ月ぶりの9月17日に,栗駒山への県道栗駒公園線が開通,9月18日には,花山から秋田への国道398号線が開通したことを受けて同地域への観光,誘客活動について質しました。同地域観光振興には,秋田・岩手両県との連帯した活動が重要であり,冬場も含めての通年通行への取り組みを進めて行くことが重要であること。当面,秋田越への398号線の冬期閉鎖をいかに短縮していくかが,大きな課題であることを主張しました。

 (2)に関しては,離職者対象,国(厚労省)の事業を県(高等技術専門校)が受託し民間事業者に委託している研修事業(資格取得)が大変高い競争倍率となり,離職者の方々が仕事からも,研修の場からも除外されています。多くの離職者の方々の要望に応えるためにも,県として対応を急ぎ検討することを強く要望しました。

 (3)については,県教委としての高校再編協議の中に「専攻科」がどのように位置づけられているのかを質しました。既に岩手県では「専攻科」を設け,「もの造り」産業への就職の道筋を明確に示しています。宮城に於いても,そうした取り組みを進めることを強く求めました。

 就職希望の学生にとって今年も,大変厳しい状況になっています。県行政としても,充分な施策を展開することを強く求めました。



決算特別委員会総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (10/18)


 10月18日,決算特別委員会が開かれ,岩渕義教県議は,社民党県議団会派を代表して,総括質疑を行ないました。

 質疑は,特に平成21年度の政策評価・施策評価を参考にし,県民意識調査において,県民の重視度が高く,満足度がCランクと低い政策・施策を取り上げながら村井知事と質疑をとりかわした。以下主な事項について報告を致します。


 1,雇用経済対策について(特に,緊急新規高卒者就職促進奨励金制度)

 高卒者の就職内定率は,平成17年度95.9%,18年度92.0%,19年度96.6%,20年度94.3%でした。21年度は,新規高卒者の危機的な就職状況を回避するため「緊急新規高卒者就職促進奨励金制度」を創設したが,県の就職率内定の目標値98.0%を6.6%下回る,91.4%となったことに,この制度と事業効果について質した。

 村井知事は「平成22年3月末までに301名の高校生の就職を内定した事業主に対して奨励金を支給した。求人の確保拡大に,一定の事業効果はあった」と答えた。又,今年度については,この制度を継続した場合,求人の手控えにつながることが懸念されることから実施せず,「低融資制度」を行って,県内中小企業者の資金融通の円滑化を図って,高卒者・大卒者等も要件を拡大して,中小企業の求人活動を促進し,積極的に雇用の創出と維持に取り組んでいくことを表明した。


 2,福祉・医療について

 平成23年4月から県立の3病院(がんセンター,精神医療センター,循環器・呼吸器病センター)が一般地方独立行政法人に移行されようとしている。移行まであと5ヶ月とのことから,岩渕議員は,以下のことを質しました。

 (1)県立病院が担ってきた高度・専門医療や不採算・政策医療が独法化へ移行しても将来にわたって安定した提供ができるのか。

 (2)独立採算性が強まることによって,患者負担の増大や医療の質の低下を招かないか。

 (3)独法化移行に伴って,医師や看護師などが病院をやめていく事態に陥りはしないか。

 (4)知事が任命権者である,独立法人理事長を早く内定を,いつまでに決まるのか。

 (5)精神医療センターの医療観察法指定入院医療機関の指定について,現行法では,この指定をうけるには,直営である県立病院又は公務員型の特定独立行政法人でなければならず,県の非公務員型一般地方独立行政法人移行後では指定をうけられないことから,知事は以前に「検討中」とされていたが指定申請されたのかを含めて,検討結果を明らかにして下さい。

 村井知事は,「県民が必要とする政策医療や高度専門医療を将来にわたって安定的に提供していく」「理事長の任命は適切な時期に決定したい」「精神医療センターは精神科医が不足している状況にあり,現状のままでは非常に困難なことから,指定申請はしない。医療観察法の入院病床の設置については,今後の国の法改正等の状況を見ながら,対応を検討したい。」など答えた。



総務企画委員会  佐 藤 詔 雄 議員 (10/13) 


 以下、私の所属する総務企画委員会の経過内容について報告いたします。

 最初9月補正として、徴税費76,000千円(県税の賦課徴収に要する経費の補正)、防災対策費6,000千円(岩手・宮城内陸地震災害対策の整備に要する経費)、出納局契約課より会計管理費として2,890千円(出納局事務執行に要する経費の補正)が提案され、質疑討論が行われた。

 続いて平成21年度一般会計・特別会計決算認定議案が提案された。概要報告を致しますと一般会計の歳入決算額は、8,991億63百万円で、前年度に比較し751億78百万円(9,1%)の増となった。

 収入未済額は226億56百万円で、この主なものは、繰越事業に伴う国庫支出金(116億53百万円)及び県税の滞納額にかかるもの(87億69百万円)であります。

 歳出決算額は8,876億93百万円で前年度に比較し724億45百万円        (8,9%)の増となった。不用額は82億19百万円で、この主なものは事務事業の執行残によるものであります。

 この結果、歳入歳出差引き額(形式収支額)114億70百万円から翌年度に繰り越すべき財源74億1百万円を控除した実質差額は40億69百万円となり、前年度に比較し9億87百万円(19,5%)の減となった。

 特別会計決算の歳入決算額は2,343億57百万円で、前年度に比較し124億48百万円(5,6%)の増となった。収入未済額7億82百万円で、この主なものは、繰越事業に伴う国庫支出金(4億27百万円)よるものであります。

 歳出決算額は2,303億4百万円で、前年度に比較し123億40百万円(5,7%)の増となり、不用額は9億41百万円となりました。

 この結果、歳入歳出差引き額(形式収支額)40億53百万円から翌年度への繰越べき財源2億24百万円を控除した実質収支差額は38億29百万円となり、前年度に比較し1億99百万円(5,5%)の増となりました。