宮城県議会2010年6月定例会の概要



 県議会6月定例会は,6月15日に招集され,30日までの16日間開かれました。今議会には予算議案はなく,条例議案など執行部提出議案18件,議員提出議案6件が審議され全議案が可決しました。

 このうち,社民党県議団は,この4月から始まった公立高校の授業料無償化制度に関し,県が,特別な事情を除き,留年生等から授業料を徴収する県条例の改正案を提出したのに対し,完全無償化を主張して反対しました。

 また,県議会では,政府・国会等に対し「意見書」を提出する際は全会派一致を原則とし,各会派政務調査会長会議で協議調整を行うことになっています。今議会に自民党会派が提案した「選択的夫婦別姓の導入に反対する意見書」が政調会長会議で自民党を除く全会派が反対し,まとまらなかったにもかかわらず,議会最終日の前日の議会運営委員に自民党会派が突如,この意見書を提出したため,他の会派が議会の正式機関である政調会長会議の決定を無視するものだとして議運は紛糾,結局,自民党が数の力で押し切り,最終日の本会議で社民,民主,共産,公明会派が反対する中,強行採決を行いました。

 なお,社民党県議団の役員改選が行われ,会長に熊谷義彦,幹事長に佐藤詔雄,政調会長に岩渕義教が就任,議会運営委員に本多祐一朗を選出しました。



本会議一般質問  熊 谷 義 彦 議員 (6/24)

                

 今回,医療制度と福祉問題の二点について一般質問を行いました。

 医療制度については,後期高齢者医療制度を廃止し現行市町村国民健康保険制度と一体化し都道府県運営方式とする動きが強くなっている中で,宮城県としての状況認識,見解,課題について質しました。質問項目は十三項目ですが一部省略します。

 一,現在,四人の委員から案が示されていますが,全国知事会,又は宮城県知事として,どの案で賛成しようとしているのか。その理由を明らかにしていただきたい。また,別案があれば理由を含めてお示しください。

 二,現在示されている,国保と高齢者医療保険の一体的都道府県運営は,将来の各種医療保険制度への一元化へどのような位置づけとなるのでしょうか。

 三,新たに都道府県の判断により,@保険財政共同安定化事業。A広域化等支援方針の策定が実施できるとしているが,具体的にその内容,宮城県としてこの事業をどのように進めるのか。

 四,国民,県民が不安を持つことなく健康な暮らしをするために,極めて重要な役割を担っている国民健康保険制度について,将来的制度設計についてどのように考えているのかお示し下さい。

 五,国保は加入者の平均年齢が高く,且つ所得の低い方が多いといった構造的問題を抱えている。医療保険制度間に於いて保険料負担に大きな格差,不公平感が生じているが,解決への筋道と考えをお聞かせ下さい。

 六,現行の国保財政の運営状況についてお聞かせ下さい。一般会計からの法定内,法定外繰入の状況,単年度実質収支状況と国の財政支援対策への要望も含めてお聞かせ下さい。(以下省略)

 答弁に於いては,県として,後期高齢者医療制度を廃止し国民健康保険制度に一本化し都道府県運営とする事に賛意を示し今後の課題解決へ国に働きかけることと答弁しました。

 予定では二十三年通常国会で法律制定,二年間の猶予期間の後,二十五年四月施行となっています。法律制定以前に,国の財政措置,都道府県と市町村の役割等について国と協議し,不安・不信のない法律案にしていかねばなりません。国民の生命と健康に関わり国民皆保険制度の根幹をつくりあげていくことにもなります。

 課題としては(1)現行保険制度間の財源・仕組みが異なる中での財政運営方法(2)各自治体間保険料が異なる中で保険料基準額の統一の課題(3)市町村の収納対策と収納率向上の課題(4)保健事業推進による医療費適正化と保健事業任務と責任のあり方(5)市町村国保基金等の財政的持ちよりの課題,等があげられます。

 今後も,課題解決へ議論をしていきます。

 次に福祉の問題です。

 第一に,県立船形コロニー運営と施設入所希望者の課題,更には,グループホームの消防法,建築基準法上の課題の問題です。特別支援学校を卒業しても,一般就労,福祉的就労もできない。グループホームも先に述べた法律上の課題整備がつかない中で,障がい者自身が入所希望をしても思うように進まない状況があり,結果として,家族の負担が強まり困難性を深めている問題があります。県として現状を深く認識し,解決をはかることを強く求めました。

 第二に,県立社会福祉施設(太白荘・不忘園・和風園・偕楽園)の民間移譲の問題です。「県立施設として,先進的,先駆的,広域的分野が基本的役割」として進めてきた施設を民間移譲する目的,根拠が不明であることです。単に「民間法人でできるから」では運営手法であって目的・理念・県立としての役割が極めて不明といえます。

 太白荘について

 「救護施設太白荘は身体,精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶養を行うことを目的する施設です。現況は,アルコール依存,ホームレス状態,DV被害者,多重債権者等,混合入所状況にあります。多種多様な方々を救護するには,専門職が複数必要であり,民間法人が対応できるのか疑問が残ります。

 特養ホーム和風園について

 今日,特養ホームの拡充は急務であり,とりわけ人材養成も大きな課題です。県立としての役割は,人材育成研修機能,認知症ケア研究等実践的研修機能をはたすべきであり民間法人からも,それが求められているのではないか。

 偕楽園について

 養護老人ホームとして措置行政制度の位置づけであり,入所者は生活保護を受けている高齢者の最後のよりどころです。

 県立施設として最後のセーフティネット機能を民間に委ねることは大いなる疑問として残ります。

 又,両施設とも,同一施設内に隣接していることから同一民間法人に委ねることになり性格が異なるものを一括して移譲することも疑問です。

 不忘園について

 現在,県立施設を白石市外二町組合に運営を管理委譲をしており,職員は一部事務組合の職員であり,二十四時間体制で利用者の方々を支えています。

 設立当初から今日まで,運営責任の所在が不明なまま四十三年間も推移してきていることの問題点を指摘し,県と一部事務組合との連帯がなされていないことも大きな課題であることが明らかになりました。

 現行のサービス水準を低下させないことを強く迫り,そのためにも職員の身分,労働条件を守ることを強く求めました。

 県立福祉施設の民間移譲は,はじめに民間移譲ありきが先行して議論されており,公的役割を放棄するものであることを指摘,是正を強く求めました。



保健福祉委員会  岩 渕 義 教 議員 (6/28・29)


 (1)岩渕義教県議は,今定例会において,保健福祉委員会(常任委員会)の委員となりました。この委員会は,保健福祉部,病院局を受けもち,@保健衛生及び医療対策A社会福祉対策B社会保障対策C病院事業などについて審査・調査を進めていくこととされています。

 (2)今年度の保健福祉部の重点方針は,社会保障という地域の安心を支える社会基盤の円滑な運営を通じ,生まれ育ち,働き,憩うという多様な生活の場面で,県民だれもが,どの地域に住んでも安心して過ごせる地域社会の形成をめざします。

 本県の喫緊の課題としてあげられるのは,次世代を育む人づくり・子育て支援,保育所入所待機児童の解消のため保育所の新増設等の推進です。また,特別養護老人ホームの利用希望者が1万人を超え入所待機の解消に向けてのとりくみです。さらに,不足している医師・看護師の確保,救急医療体制,周産期医療体制の整備・拡充など地域医療の充実に向けたとりくみがあげられ,全力をあげていきます。

 (3)6月28〜29日常任委員会において,岩渕議員は,保育所問題を取り上げ「県の待機児童(H20年度511人,H21年度374人)解消するため,市町村が行う民間保育所整備支援に対し助成は勿論ですが,解消だけに目がむかい保育所の最低基準が最高基準になり,保育の質の低下を招いてはならない」ことを指摘した。また,授産施設等で生産活動に従事している障害者の工賃の向上を図るため,「工賃倍増5ヵ年計画」について質疑し,宮城県は,平成20年度,月平均14.101円,平成21年度は,14.464円となっていることが判明した。

 県立社会福祉施設の民間委譲,とりわけ県立不忘園について執行部に質した。

 @昭和42年に県立肢体不自由児不忘園として開設され,県立県営で開設するべきなのに,なぜに,白石市外二町組合に委託をしたのか,その経緯を明らかにされたい。

 A私の調べでは,両者の取り交わした契約書は元々存在していない,「将来県立県営にする」という約束は反故されたとのこと。不忘園の職員は,一部事務組合である地方公務員の身分が民間移行のむずかしさを生んでいるのではないか。

 B利用者・家族の皆さんが不安に思っていた,引き続きの入所,処遇の水準維持,看護サービスの維持について,公募条件に盛り込まれ安心している。胃ろう造成者が多く重度の利用者も多く,他の民間法人と違い看護師8名配置など,三交代制勤務で行われており,処遇・看護水準のため県は,看護職との給与水準の差額を当分の間(県当局5年スパーン)補助を行うとされているとされ,5年で打ち切ることなく,持続的に入所者の処遇維持をする県の責任をもち続ける必要があると思うがどうか。

 C今後のスケジュールについて,7月頃から公募が始まり,法人が決定され,最終の本契約が平成23年3月となる。その間職員皆さんが法人に移行するか否か判断を迫られ,その結果として,看護師等のように,公立刈田病院への配置希望が出されたなら,民間委譲の条件である,入所者のサービス水準の維持がむずかしくなった際に,民間委譲は,今回は無理なのではないかという,県の判断が求められるのではないか。

 などについて執行部に質した。

 (4)県立3病院の地方独立法人化について

 来年4月から非公務員型の地方独立行政法人宮城県立病院機構として準備が進められています。

 岩渕議員は,非公務員型となることから,病院職員の移行に対しての意向調査結果について質した。その結果病院局では,医師を除いて,看護師60名が希望しないとのこと。知事部局では,非公務員への移行者は10名とのことが判明した。

 


総務企画委員会  佐 藤 詔 雄 議員 (6/28・29)


 総務企画委員会において、中央ですでに決定された議第92号議案職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例、議第94号議案職員の勤務時間、休暇等に関する条例及び学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例を冒頭委員会で審議・採択し、午後本会議において可決成立したのち、付託された議案8課件について審議を行い、可決された。

 本委員会は、本年に入り初めての委員会と言うことから、委員・執行部双方の自己紹介等行われた。



文教警察常任委員会   本 多 祐一朗 議員 (6/28・29) 


 文教警察常任委員会では「公立高等学校の授業料不徴収に係わる県立学校条例の改正」案が審議されました。

 今年4月から始まった高校授業料の無償化で,留年生等の取り扱いをどうするかは各都道府県の判断に委ねられていました。この問題で,すでに36都道府県・政令市が理由を問わずに留年分の授業料も無償にする方針を示していますが,宮城県は他の26の県・政令市とともに「国の方針に合わせる」として特別の事情を除き徴収する方針を今回の条例改案で提案してきました。

 本多議員は,すべての高校生の授業料無償化を進める立場から委員会で質問しました。まず,「徴収対象となりうる期間(全日制36ヶ月,定時制48ヶ月)を超えている留年生は何人いるのか」との質問に対し,高校教育課長は「44名」と答えました。また,「留学,休学,療養その他やむを得ない事情により認めた者は不徴収とするとあるが,たとえばいじめなど様々な事情で不登校になっている生徒も対象になるのか」との質問に対し,「各学校長の判断による」と答えました。さらに「経済的に恵まれない家庭の事情により,出席日数が足りなかったり,成績が振るわない生徒は不徴収の対象になるのか」との質問に対し,「その場合は,授業料減免制度で対応することになる」と答弁がありました。

 制度が複雑な上に学校現場の負担も増え,仮に44人全員を不徴収にしても県の負担は519万円にすぎません。他の多くの自治体のように完全無償化を打ち出すべきであるとの立場から,この県の条例案に反対しました。