宮城県議会2008年9月定例会の概要




 県議会9月定例会は、9月25日招集され、10月16日までの22日間開かれました。今議会には総額63億8,300万円を増額する補正予算案(9件)や震災対策推進条例案など30件の議案が提出され、採決の結果、全議案が可決されました。

 予算案には、企業立地の進展に伴う工業団地、道路、下水道、工業用水等の基盤整備や中京地域での企業誘致活動を強化するための名古屋産業立地センター設置費などが盛り込まれました。

 また、予算案ではこのほかに、名取市下増田に建設を予定している教育・福祉複合施設について、PFI方式で整備するための債務負担行為91億7,200万円も提案されました。社民党県議団では「PFI導入で事業費を直営方式より6億円程度縮減できる」とする県の説明に対し、算定根拠を明らかにするよう求めました。国のPFIに関するガイドラインでも原則公開が示され、透明性の確保が求められているからです。しかし県は算定根拠を明らかにすることに応じなかったため、「比較検討することができない」と判断し、反対しました。

 今議会では、社民党県議団が提出した「生活関連物資の価格上昇に対する緊急対策を求める意見書」「社会保障関係費の2,200億円削減方針の見直しを求める意見書」など意見書5カ件、県民から提出された「私学助成制度の堅持及び充実強化に関する請願」「国産農産物増産・自給率向上に関する請願」など請願4カ件が採択されました。

 なお、今議会の最終日には、平成19年度の一般会計、各特別会計、公営企業会計の決算に関する議案が提出され、決算特別委員会に付託されました。これは、従来11月定例会で決算審査が行われてきましたが、その時期を早め、翌年度の予算編成に審査内容を反映させるためで、議会側が求めていたものです。10月24日から30日には決算特別委員会が開かれました。



一般質問  岩 渕 義 教 議員 (10/3)

                
本会議・一般質問において大綱3点について、村井知事並びに県警本部長の考えを質ました。

1、後期高齢者医療制度の諸問題について

@ 今年4月に始まったばかりのこの制度は、政府の見直し策が次々と打ち出されている。今回の見直し策でも年金収入が同じでも夫婦の収入の違いで保険料に差が拡がるケースも出ており、制度の矛盾が拡大している。

A 保険料は一定の条件で口座振替の納付を選択できることや終末期相談支援料を当面凍結するなどの見直しがされたものの「包括診療報酬体系」は見直しされず、医療の制約、必要な医療が十分に受けられるのか危惧する声には応えていない。

B高齢者医療制度への見直しによる支援金の増加によって健保組合が赤字経営を余儀なくされ解散が相次いでいる。

C 75歳以上を別枠に切り離して医療費を抑制しようとする制度設計自体に根本問題がある。

2、指定管理者制度導入の二期目のあり方について

 指定管理者制度は、公共施設管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的として2003年の地方自治法改正により創設された。最初に導入された施設の二期目の選定と指定の時期を迎えていたことから、制度運用の問題点を指摘しつつ、透明性・公平性が求められていること、コスト削減だけに行政の注目が集まってはならないことを質した。以下、質した要点は、(1)公募・非公募について(2)募集期間について(3)サービスの質や安全の基準(4)選定基準について(5)施設の修繕について(6)雇用の安定と人材育成について、など質した。

3、仙台都心部における荷さばき駐車施策について

 一昨年の道交法改正施行から駐車違反取締りが強化され、運輸産業に働く人たちは、仙台中心部での「荷さばきスペース」が確保されないなかで対策に苦慮していました。会派として3年前から運輸労組の方と勉強会を積み重ね、県警や県、市に改善と荷さばきスペースの確保に取り組んできました。今回は、(1)都心部での路上や大規模ビルの整備計画が連携して行われていないことが、荷さばきに関する課題の要因になっていること(2)荷受け側と荷主、運送事業者の連携を取るために県は、幅広く社会に発信する役割を持つこと(3)貨物専用のパーキングを設置すること(4)荷さばき駐車対策の本格実施に踏み切っていくことが必要であること、などを求め、質した。



予算総括質疑  熊 谷 義 彦 議員 (10/8)


 今議会における予算特別委員会の総括質疑の主だったものを報告します。

 質疑時間が短く、前回に引き続き、宮城・岩手内陸地震関連に集中をし、

(1)  農業用共同利用施設災害復旧費(カントリーエレベーター)の積算根拠、とりわけ栗駒地域が局激指定となった場合、国の補助率が20%から50%に変更になるが見込みはどうか。

(2)  この補助基準は昭和25年の法を根拠にしており、実態にそぐわず、カントリーエレベーターの設立時の補助基準を災害時にも適用すべきであり、国に制度改正を求めるべきではないか。

(3)  荒砥沢ダムについて、50万トンを排土する予定だが、国・県・市等の財政負担割合、事業開始時期・期間によっては農業用水確保に支障をきたすことへの対策、調整池の規模、設置条件を示されたい。

(4)  荒砥沢ダムの土砂を含めて地震災害の大量の土砂(150万トン以上)をどのように有効利用すべきと考えているのか。

(5)  中小企業対策資金利子補給助成費について、栗原市との事業の整合性が取れていない。県の事業は不十分なものであり、再考すべきではないか。

(6)  学校ソーシャルワーカー事業につき、ソーシャルワーカーの資格要件と導入の必然性、学校現場で必要としている職員とのミスマッチがあるのではないか。

 以上の質疑のなかで、災害関連で明らかになった部分があるものの、総体的には極めて不十分な答弁に終始しており、今後も議論を深めて行きたいと思います。

 また、総務企画委員会のなかで、県人勧が報告されましたが、@給与表の改訂でなく地域手当の改訂をしたことの不当性A学校現場への主幹教諭導入に伴っての給与表の新設の不当性、などについて質しました。



文教警察分科会  佐 藤 詔 雄 議員 (10/14)

教育・福祉複合施設整備PFI事業について

 91億7,200万円の債務負担で、名取市下増田の臨空土地区画整理事業敷地内にPFI事業で建設しようとしている教育・福祉複合施設整備事業は、たとえば肝心の建設費について、PFIで実施した場合と直営方式で実施した場合との違いを検討できる資料が提出されておらず、比較することができないなど問題があることから、下記の問題点を質しました。

 まず、国のVFMに関するガイドライン(平成20年7月15日改訂)では、「PFI事業は国民に対して低廉かつ良質な公共サービスを提供することを目的とするものであり、公共施設等の管理者は、事業実施に当たってはその意思決定等のプロセス等の透明性・客観性を確保し、国民(納税者)に対する説明責任を果たす必要があるものである」「特定事業選定時にVFMの評価過程や評価方法を、具体的な数値とともに公表することによって、民間事業者は公共施設等の管理者等が提示する要求水準をより的確に理解することが可能となり、その結果、より公共施設等の管理者等の考え方に即した提案を期待することができる」(以下略)等と明記されているが、なぜ事業費などの算出方法の資料を提出できないのか正しました。

 これに対し、執行部は入札を実施して事業者を選定することから、少しでも中身を出せば競走が阻害されるとの答弁に終始しました。

 また、提案されているようなPFI事業の進め方では、公平性・透明性・財政との関連で議会軽視にならないか質したのに対し、執行部は、「VFMでは、原則として公表することは必要である。ただしPSC及びPFI事業のLCCを示すことにより、その後の入札等において正当な競争が阻害される恐れがある場合においては、PSCとPFI事業のLCCの差または比によりVFMの程度のみを示すこととしても差し支えない、となっているので議会軽視にはならない」との主張に終始した。





決算総括質疑  本 多 祐一朗 議員 (10/24)

 今年3月に実施した県民意識調査で、県民が重視しているにもかかわらず、満足度が低い3つの政策・施策について、県行政のあり方を質しました。

1、 子育て支援策について

 「子育て支援策」について県民の重視度は90%と高いが満足度は42.6%であり、前年度の調査よりも低下している。施策展開に問題はなかったか、質したところ、知事からは「子育て支援については遅れている。さらに施策の充実に力を入れたい」旨、答弁がありました。また、虐待防止や子育て支援に成果が報告されている「地域まるごと子育て支援モデル事業」について、全県的に広げるべきではないかと質したのに対し、執行部からは平成21年度から全県で取り組めるよう努めていくとの答弁がありました。

 さらに、県内保育所の待機児童数が再び増加に転じている問題について、仙台市では現在、待機児童数が1,398人に達し、全国一であることを例に引き、待機児童増加の原因とその解消のため、県も市町村とともに有効な手立てを考えるべきと求めました。知事は「そのように対応したい」と述べました。

2、 地域医療の充実について

 「地域医療の充実」についても県民の重視度は91%と高いが満足度は36%ときわめて低い。深刻な医師不足のため、県はドクターバンク制度や医療資源の集約化、重点化、医療機関の連携による地域の医療提供体制の構築に取り組んできた。昨年、大崎、栗原、登米圏域の産科・小児科を大崎市民病院に集約したが、深刻な看護師不足に陥っていること、また、登米医療圏域では5つの公立病院を2病院3診療所に再編する計画が進んでいるが、基準病床数766床に対し、再編後は330床程度になり,地域医療の崩壊が危惧されることを指摘し、医師や看護師などの確保に全力をあげるよう求めました。知事からは「医師不足等は深刻な状況にあり、確保に全力で努力する」旨、答えました。

 また、救急医療について、「救急搬送」にかかる時間が全国でワーストの状況にあることから、その改善を強く求めました。鈴木保健福祉部長は「現在、地域救急医療体制構築に向けた研究事業を行っており、改善に向けて努力したい」と答弁がありました。

3、 雇用問題について

 新規高卒者の就職内定率やジョブカフェ利用者の就業者数、障害者就業・生活支援センターの取り組みなど、雇用対策で一定の前進が図られてきたが、高齢者や女性の就業を含めた政策目標を定める必要があること、さらに,今日、非正規雇用者が1,730万人と就業者の3分の1以上に達し、特に若者と女性の半分以上が非正規雇用といわれ、深刻な格差問題の中心課題にもなっていることから、正規雇用者の拡大や正規雇用率の向上を目指す施策を、県の重点課題として取り組むよう求めました。これに対し、若生経済商工観光部長は「重要な課題であり、県の施策として検討していきたい」と述べました。