宮城県議会2008年2月定例会の概要



 県議会2月定例会は、2月20日招集され、3月18日までの28日間開かれました。今議会には総額1兆813億円の2008年度予算や後期高齢者医療制度関連議案、県立宮城大学の地方独立行政法人化を進めるための議案など、78件の議案が提案されました。新年度予算の特徴は、「みやぎ発展税」の財源を活用した産業振興策に力点が置かれる一方、他の予算は義務的経費を除き、軒並み減額されるなど、厳しい財政状況を反映して一般会計の規模は前年度に比べ1.8%のマイナスとなり、4年連続の緊縮型となりました。

 社民党県議団は、今年4月から実施される予定の後期高齢者医療制度の廃止・凍結を求める立場から、民主・共産両会派とともに関係する予算、条例案に反対しました。これは、後期高齢者医療制度が、75歳以上の高齢者をこれまで加入していた公的医療制度から切り離した上で、保険料を年金から天引きし、また年金額が低い場合には納付書で支払うことになりますが、滞納すれば保険証が取り上げられたり、さらに診療報酬の定額制導入などによって、事実上、高齢者が病院で必要な医療を受けられなくなる恐れや生活破壊につながりかねないからです。しかし、本会議では採決の結果、自民・公明両会派の賛成多数で可決となりました。

 本会議では、社民党からは熊谷義彦県議と本多祐一朗県議が一般質問を行いました。熊谷県議は中国製冷凍餃子中毒事件を受けて食の安全確保の問題と品目横断的経営安定対策の見直しなど農業政策について、本多県議は療養病床の削減問題や公立病院改革ガイドライン(総務省)問題、第4期宮城県介護保険事業支援計画など医療・介護体制の整備について、それぞれ知事の見解を質しました。また、予算特別委員会では岩渕義教県議が代表質疑を行い、後期高齢者医療制度の問題点や肝炎患者の救済に関する取り組み、森林・林業・林産業の振興等について執行部の考えを質しました。


一般質問  熊 谷 義 彦 議員 (2/29)

                
 本会議において次の4点につき一般質問を行い、県執行部の考えを質しました。

 (1)食料・農業問題について
 (2)地上デジタル放送について
 (3)裁判員制度について
 (4)県教育委員会の障がい者法定雇用率について、です。

 (1)については@中国製冷凍餃子中毒事件に見られる「輸入冷凍食品に頼らざるを得ない」社会状況の問題点と食料自給率向上に向けた県産農林水産物の活用についてA国の輸入検査体制強化と県の検査体制の強化の具体策について、また、農業問題では、品目横断的経営所得安定対策が水田経営所得安定対策に名称変更されたことに伴う諸施策について質しました。具体的には@市町村特認制度と担い手問題Aナラシ対策と拠出金問題B再生産可能な米価の価格補償的対策C生産調整の法的根拠と生産調整未達成時の国のペナルティー措置についてD今回提示の生産調整拡大への踏切料と契約変更・解除時の取扱いE食糧管理施策と支援備蓄米(飼料米、ホールクロップサイレージ、バイオエタノール米)の課題F新施策の農業者への周知徹底、等について質しました。

 (2)については、地デジ放送の目的、難視聴地域の問題、低所得者への対応、家電製品大量廃棄とリサイクルへの対応、共同アンテナ等への公的支援について質しました。

 (3)については、国民への周知、労働者の休暇と不利益処遇問題等について質しました。

 (4)については、国の勧告を受けたことから、法定雇用の改善について質しました。

 今回の一般質問を通して、農業問題では、米の生産調整の算定に当たって国と県の算定方法の違いが明らかになり、また、経営所得安定対策の名称が変更になっても小規模農家切捨ての本質は変わらないことが明らかとなり、それぞれ改善させなければなりません。それ以外の質問項目でも、今後さらに国施策に伴っての弊害を除去するために、注意深く対応を図っていかなければなりません。


一般質問
  本 多 祐一朗 議員 (3/5)

  医療・介護問題に絞り、本会議で知事の考えを質しました。要旨は以下の通りです。

(1) 療養病床削減計画の見直しを

 ・本県は、国の療養病床削減・転換方針を受け、2012年度末までに、3、333床の療養病床を約4割削減して2,074床とする計画案を出したが、現在、本県の高齢者10万人当たりの療養病床数は全国平均の約半分しかなく、逆に平均在院日数は全国でもっとも短いなど、患者や家族に負担をかけている実態にある。全国レベルに達するには療養病床をできるだけ残す必要があり、この削減目標は本県の実情に合っていない。見直すべきではないか。

 ・療養病床削減後の受け皿の整備が遅れている。退院後の行き場がない「介護難民」を発生させるような計画であってはならない。療養病床から介護老人保健施設(老健)への転換計画はあるが、主治医が患者の症状から望ましいとした約550人分の介護老人福祉施設(特養)の整備計画がなく、「介護難民」になる恐れがある。今年は県介護保険事業支援計画の見直しの年であり、この中で今後の療養病床の再編に合わせて、全国46位と整備の遅れている特別養護老人ホームを始め、施設の整備目標を大きく見直す必要があるがどうか。

(2)「公立病院改革ガイドライン」の画一的な適用をやめよ

 ・総務省が出した「公立病院改革ガイドライン」では、一般会計からの繰出し後に経常黒字が達成される水準を目指し、経常収支比率、職員給与比率、病床利用率等の目標数値を設定したり、再編ネットワーク化や経営形態の見直しを求めている。しかし、県内の公立病院は高度・先進医療の提供、救急告示医療機関、災害拠点病院、救急救命センター、へき地医療拠点病院など、採算性などの面から民間病院では提供が困難な政策医療や地域医療を担い、県民の生命を支えている。利用者である県民や医療従事者の意見に十分配慮し、実態に即した改革にすべきであり、ガイドラインの画一的な適用はやめるべきと思うがどうか。

(3)第4期介護保険事業支援計画の充実を

 ・介護の現場では、介護職員等の人材不足が深刻であり、利用者の申し込みを断るケースも出ている。原因は介護の現場が重労働である割に賃金等の待遇が劣悪であるためだ。労働環境の改善やキャリアアップの仕組みの構築など実効性のある人材確保策を早急に打ち出すべきだがどうか。

 ・介護老人福祉施設等の新・改築に当たっては、全室個室ユニット型という画一的な行政指導のため、多床室など多様な利用者の希望や地域の実情に応じた施設整備が困難である。利用者の負担増や介護サービスの向上に必ずしも実効性が上がっていないこともあり、多様な施設整備ができるよう改めるべきと思うがどうか。また整備に当たっては、ニーズに応じて都市部枠を拡充する必要があると思うがどうか。


予算総括質疑  岩 渕 義 教 議員 (3/6)

 予算特別委員会で社民党会派を代表して質疑を行いました。テーマは、@後期高齢者医療制度についてA肝炎患者の救済に関する取り組みについてB森林・林業・林産業の展望についてC国の地方財政対策の転換を求めることについて、の4点にわたり村井知事並びに関係部長に質問しました。

 75歳以上のすべての高齢者(全国1300万人・宮城25万4千人)だけを切り離して、4月から実施予定の「後期高齢者医療制度」に対する不安が広がり、制度の中止を訴えました。適切な医療確保の保証が必要なのに、「高齢者の無保険者を生み出す」「診療報酬に定額制が導入され、結果として後期高齢者が受けられる医療に制限が加えられ、医療内容の劣悪化を拡大させることが懸念される」「かかりつけ主治医と、専門的な分野を見る医師との両者にフリーアクセスできることが必要ではないか」など質しました。

 全国に300万人〜350万人の感染者・患者がいると推定されるB型・C型肝炎ウィルス。このウィルス肝炎は、潜伏期間が長く、感染を知らないまま放置され、また重症化を防げなかったために慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行した患者さんは、十分な治療体制や生活支援がない中で過酷な闘病生活と高額な医療費の負担に苦しんでいます。「薬害C型肝炎訴訟」は、国と和解、そして救済法が成立しました。宮城県の取り組みを強めることを知事に求めました。その結果、県は「薬害C型肝炎相談の件数は9,228件、検査が3,590人」に上っていることを明らかにし、「医療費(インターフェロン治療)助成に必要な予算は今後も確保する」「肝炎患者のフォローアップを確実に実施する」と答えました。

 地球温暖化防止に向け、森林はCO2の吸収に大きな役割を果たすことから、森林の整備・保全・育成の施策推進を求め、特に昨年から2年間のモデル事業として取り組まれている「未整備森林緊急公的整備事業」について、引き続き取り組みの必要性と国への働きかけを強めるよう質しました。また、この事業を機会に、森林吸収源対策をはじめ、森林の育成、林業・林産業との連携、山村の育成、林業労働者の就労確保等と持続可能な環境づくりを目指すべきとの提言を行った。

 最後に、県財政問題を取り上げ、「県の財政好転の展望がまったく開けない。この諸悪の根源は、国の三位一体改革や骨太方針2006の地方財政縮減策にあり、他の道府県の知事とともに地方の反乱・暴動を起こす気概で、地方交付税の復元など、独自財源の拡大に全力を尽くすべき」と村井知事の決意を質しました。知事は「国と戦う」と答えました。


保健福祉委員会  佐 藤 詔 雄 議員 

 2008年度予算のなかで後期高齢者医療制度は保健福祉分科会・委員会の中で審議され、予算分科会において第1号議案予算案に反対、常任委員会において第21号議案後期高齢者医療財政安定化基金条例に下記の理由から反対しました。

A、 予算分科会

1、 第1号議案新年度予算案のうち、後期高齢者医療制度にかかわる議案については、保険料は75歳以上の高齢者が原則全員徴収されることになり、定率減税の廃止・老人控除の廃止、介護保険料の天引きと続いていることを考えれば、手元に残る年金は大幅に低下する。

2、 所得が少なくても配偶者や子供の健康保険扶養家族となり保険料の支払いが免除されていた人についても制度上は新たに支払い義務が生じること。例えば75歳以上の夫婦2人暮らしの場合、個人単位で2人分保険料が引かれることになり、世帯への増税ともなる。

3、 保険料の算定方法や地域間格差も問題となる。理由は保険料は制度を運営する各都道府県単位の広域連合が決めることとなっており、全員が払う均等割りと所得に応じて上乗せする所得割との合計で保険料が決まることから、同じ所得でも各県の保険料設定状況により支払額が大きく違ってくること。

4、 保険料を年金から徴収する強制徴収にも問題がある。年金が将来的に抑制される中で、介護保険料と同じように医療保険料も天引きされると、手取額が減少し、所得の低い人ほど苦しい生活を強いられることになる。

5、 年金が年額18万円未満の人は天引きではなく自分で市町村窓口などで保険料を納付することになる。保険料を滞納した場合、保険証を取り上げられ資格証明書に切り替えられ、この証明書で病院にかかった場合、医療費は一旦、全額(10割)支払うことになり大きな負担となる。

B、 保健福祉委員会

  第21号議案後期高齢者医療財政安定化基金条例については、同様に後期高齢者医療制度の中止を求める立場から反対した。