宮城県議会2007年11月定例会の概要



 宮城県議会の11月定例会は11月15日に開会、27日間の会期で行われ、12月11日閉会しました。今回の県議会には、平成18年度歳入歳出決算や企業立地促進税条例、核燃料税条例をはじめ、34議案が提出され、全議案が可決されました。

 今議会では、格差問題の拡がりをうけて、地域医療における深刻な医師不足の問題や米価下落問題、子育て支援策、介護保険の問題などが議論される一方、セントラル自動車の進出に伴うインフラ整備についても取り上げられました。また今議会中に19年度の財源不足が新たに160億円発生し、20年度の財源不足も130億円に上る見通しである事が明らかになり、財源対策について活発な議論が行われました。このなかで知事や管理職の給与削減条例、議員提案による議員報酬削減条例が可決されました。

 また、「私学助成強化」「石油製品の適正価格と安定供給」を求める請願など4ヵ件、社民党県議団が提出した「(メタボリック対策で義務付けられる)特定検診・特定保健指導」の見直しを求める意見書など7ヵ件が採択されました。



決算総括質疑  本 多 祐一朗 議員 (11/29)

                
 平成18年度予算は、新財政再建推進プログラムによる歳入歳出構造改革の初年度に位置づけられた重要な予算だった。当初の予算編成過程では493億円もの巨額の財源不足が見込まれたが、結果として決算は人件費総額の抑制や内部管理経費の削減、事務事業見直し等で264億円の歳出を抑制し、また、歳入では行革推進債や退職手当債の発行、県有資産の売却、他会計資金の活用、財政調整基金の取り崩し等で255億円を確保し、総額519億円の財源対策を講じ、何とか乗り切ることができた。

 しかし、こうした努力にもかかわらず財政状況は一向に好転せず、むしろ悪化している。その最大の原因は、国の「三位一体改革」により、平成16年度以降の3ヵ年間で、地方交付税等が5,1兆円減額され、補助金は4,7兆円カット、国から地方への税源移譲は3兆円にとどまり、差し引き6,8兆円の財源が地方から奪われたことにある。このことが財政力のある地域とそうでない地域との格差の拡大をもたらしている。宮城県においては地方交付税が382億円減らされ、国からの補助金と税源移譲の差し引きで75億円がマイナスとなり、合わせて457億円の財源が奪われた格好だ。

 財政再建に向けた地方の努力には限界がある。財政悪化の元凶である三位一体改革、とりわけ地方交付税が大幅に減額されたままである状況を回復させること、また、地域の偏りが少ない地方消費税の国から地方への配分比率を高めるなどの措置が必要と思うが、知事の財政再建に向けた考えと決意を伺いたい。

〇その他の質問項目

@ 障害者自立支援対策臨時特例基金特別対策事業及び障害者の福祉サービス費や医療に係る経費で多額の不用額が発生している原因は何か。

A 今年の米価暴落で農家の方から窮状が訴えられている。担い手農家や集落営農組織、農業法人、さらには兼業農家を含めた農家の経営状況をどのように把握しているか、また、国の農業政策を見直させるべきではないか。

B 木造住宅の耐震改修事業について費用がかかりすぎて改修できない人がいる。東京都墨田区や足立区などで始まったように、数十万円で可能な簡易改修にも助成する制度を本県でもスタートさせ、宮城県沖地震から県民の命を守る実効性のある制度にするべきではないか。

C セントラル自動車等の進出に伴う仙台港の機能強化について

D 地域安全対策推進事業(いわゆる空き交番対策)について



本会議一般質問
  岩 渕 義 教 議員 (11/30)

 本会議において(1)保険・医療問題(2)農業問題(3)県人事委員会勧告実施の3点について村井知事の姿勢を質した。

 来年4月に導入される「後期高齢者医療制度」は、リスクの高い高齢者だけをひとまとめにし、自己責任、自己決定を押し付ける冷酷な制度であることを指摘した。この制度の問題点は、@保険料は2年ごとに見直し、医療費が増えれば保険料値上げ、または給付内容の縮小A診療報酬の包括性による医療制限B保険料滞納者には資格証明書を発行、窓口負担が10割C「かかりつけ医」の導入によって自由に医者を選べずD保険料の徴収が年金天引きとなり、年金制度の役割が崩壊する危険性、などを挙げ、中止・撤回を含めた抜本的な見直しを求めた。

 次に、療養病床の削減について、県医療費適正化計画策定懇話会で療養病床削減方針案が示された(3,333床を2,074床、削減率37%)。県内84の医療機関の調査では、老人保健施設への転換は僅かで、医療の必要度の低い患者でも「介護者不在」「住宅問題」など多様な理由で退院は難しく、受け皿の特養老人ホームは常に満床であるなど事態は深刻。療養病床に入れない患者の受け皿を確保する地域ケア体制の整備は大変重要であることを質した。

 また、自治体病院経営と医師確保対策を取り上げた。「医療機関の8割が労働基準法違反」という厚生労働省の立ち入り調査結果が発表された。その中で相次ぐ診療科の廃止・縮小、とりわけ地方の中核的役割を担っている自治体病院が、国の医療費削減を中心にした画一的な医療改革制度の中で、崩壊の危機に瀕していることを示しながら、村井知事に医療再生について質した。

 さらに、大崎市民病院の産科と小児科は、大崎、栗原、登米の3つの二次医療圏が集約化されたことで、受診者、出産数が増加。産科医師の過重労働の常態化と助産師不足の解消、産科病棟のベッドの増床・整備が喫緊の課題。県の具体的な対応と解決策を質した。これに対し村井知事は「岩渕議員のご指摘の通り、医師だけ集約し、看護士や助産師、ベッド数が足りないのでは意味がない。総合的に確保し、集約化を図りたい」と答弁。県保健福祉部長も「集約化による医師や助産師の負担を軽減させるため、助産師の研修を今月から実施し、産科病棟増加は大崎市の検討を踏まえ対応したい」と応えた。

 次に大綱2点目、農業問題については、米価格の急落で倒産する大規模農家、預貯金を取り崩す農家、農業をあきらめる農家が続出することが心配され、来年度以降の米需給率の低下へとつながり、国、県、全農の農政不信はさらに強まる状況を指摘し、@本県の農業施策についてA国への生産調整強化の提言の具体化と本県の今後の進め方についてB農家への無利子融資を含めた救済策などについて問いただした。

 大綱3点目、県人事委員会勧告の見送りについては「この人事委員会勧告は、公務員に対する労働基本権制約の代償措置であり、地方公務員法上から見ても知事は尊重・実施する義務を負っている。また、県内民間企業の賃金改定結果の調査に基づくものであること」を指摘し、知事の所見を求め、「職員団体と十分交渉し、合意の上で決めるべき」と質した。

 村井知事は「勧告は、労働基本権制約の代償措置として最大限尊重するという考えに変わりはない。今回の勧告を実施する財源の捻出は困難であり、やむを得ず判断した。非常に心苦しく、まことに申し訳なく思っている」と述べ、職員団体との交渉には「十分に説明し、誠心誠意、職員の理解を得られるよう努力してまいります」と答えた。



予算総括質疑  熊 谷 義 彦 議員 (12/6)

 今議会に提出された補正予算案は、財政調整基金積立金が23億円、教育・福祉複合施設整備費として1300万円、ほかはすべて債務負担行為であり、きわめて少ない補正予算となっています。

 こうした状況を受けて、以下質問しました。

@ 前記状況をつくりだした主要原因、国との関係を明らかにすること。

A 「三位一体改革で国にだまされた」との発言があるが、国とは何を指すのか。

B 政治的に財政困難な状況をつくりだした国(政府)に対し、国・地方係争処理委員会に持ち込むべきではないか。

C 補助金凍結の影響額、あわせて減額補正予算を組まない理由及び減収補填債の見込みについて。

D 公債費負担軽減対策(平成19年度スタート)の見込み額及び国に増額と期限延長を求めることについて。

E 住民税、固定資産税徴収業務に係り、県の具体的な支援策強化について。



保健福祉委員会  佐 藤 詔 雄 議員 (12/7)

 指定管理者制度に関連し、指定に当たっての施設の現状についての県の問題認識についてただしました。

 指定管理者に移行する施設のうち、老朽化が激しく雨が少し降っただけでも雨漏りがし、入所者の介護どころか、職員が雨漏り対策に振り回されている施設があり、県としてどのように改善するのか質問しました。

 県は、指定管理者が予算化し補修をしていただくとの答えでありましたが、現状では指定管理者への委託費は低く抑えられ、指定管理者が補修費を捻出することはきわめて困難な実態にあります。

県は、年次計画を持って、施設改修に対応していくべきではないかと問いただしました。