宮城県議会2006年2月定例会の概要



 2月定例県議会は2月16日召集され、3月16日までの29日間開かれました。今回の県議会は村井知事になって初めての予算が提案され、新知事のカラーが問われる県議会となりました。また、選挙公約であった知事等特別職の退職金全額カットの条例案が提案され、公約と県政運営の関係についても議論が行われました。

 今議会には総額1兆1016億円の新年度予算案、今年度最終補正予算案やグリーン購入促進条例をはじめ107件の議案が知事から提案され、議員発議として「犯罪のないみやぎの安全・安心まちづくり条例案」が併せて提案され、全議案が可決成立しました。

 新年度一般会計予算は2005年度予算に比べてマイナス0.5%の縮小予算となり、事業費については最大30%のマイナスシーリングが行われました。民生バスの廃止など福祉関係の県独自事業や雇用対策費が大きく減額され、本会議での議員の質問に対して「逼迫した財政の現状から実施は困難」との答弁が繰り返されるなど、議場では「やさしさに欠ける予算」という声も出ました。一方教育関係では小学校1・2年生の「35人以下学級」が継続されることになり、しかもこれまでは必要になる教員の一部に非常勤講師が当てられていましたが、新年度からは全員が常勤講師による対応となりました。産業政策関係では村井知事の掲げる「富県戦略」に基づいて「みやぎ経営戦略会議開催事業」「みやぎ国際戦略プラン策定事業」などの予算が計上されましたが、計画作りが主であり実際に具体的な事業となるにはしばらく時間がかかりそうです。

 条例案では知事、副知事等特別職の退職金全額カットが提案されました。村井知事の選挙公約に基づくものですが、県議会各会派で活発な議論が行われました。「公約だから提案は当然」「知事本人だけならわかるが副知事に外部からの人材登用を言っている関係から副知事以下ははずすべき」「将来の職員給与削減の地ならしでは」などの声が出ました。社民党県議団は「知事退職金の全額カットは恒常化する可能性があるし、自治体首長選挙に波及することが懸念される。適正な対価を受けとることさえマイナスイメージを与えることになる恐れがある。必要な人材を特別職に招聘する際にも障害となりかねない」との立場から総務企画常任委員会で修正案に賛成し、原案に反対しました。他の2議員と「少数意見の留保」の手続きをとり、無所属議員が本会議で少数意見を表明し採決で反対しました。また「拡声機の使用による暴騒音の規制に関する条例」の改正案が提案されました。条例が制定されてから14年が経過し、この間の規制対象は右翼系街宣車でしたが、音量測定基準距離の10mより近づいて規制させないようにするケースが出ていることが提案の理由とされています。社民党県議団は岩渕義教会長の代表質問で「政党、労働団体、市民団体の活動を規制することになるのではないか」「憲法に保障されている表現の自由を侵すことにつながらないか」などを指摘し、警察本部長の見解を求めました。本部長は「これまで一般に行われてきた政治団体、労働団体、市民団体等が日常的に行っている宣伝活動は − 中略 − 条例改正後においても規制の対象にはならないということについては変わるものではない」「『表現の自由等基本的人権を尊重し…』との規定を遵守して…今後とも基本的人権に最大の配慮をして県民の負託に応えて参る」と答えました。社民党県議団は条例の乱用に一定の歯止めをかけることができたと考え、改正案に賛成しました。

 意見書は社民党県議団から「実効ある男女雇用機会均等法の改正を求める意見書」「在日米軍再編に関する意見書」「核拡散防止のためにプルトニウム抽出試験の中止を求める意見書」を各会派に提案して協議しましたが、他会派の同意を得るまでに至りませんでした。一方宮城交通の路線バス廃止問題では「県民生活に必要な公共交通の確保に関する決議」を各会派に提案し、最終日の本会議において全会一致で採択されました。(内容は別項)

 今議会で社民党県議団からの本会議等での質問は、代表質問が岩渕義教会長、一般質問が岸田清実県議、佐々木ひろし県議、予算総括質疑が本多祐一朗県議でした。本会議、委員会での質問の主な内容は次のとおりです。



代表質問  岩 渕 義 教 議員 (2/27)

                
 @知事の基本姿勢 A「市民の足を守る」公共交通政策 B県国民保護計画の答申 C女川原子力発電所の運転再開 D拡声器の使用による暴騒音の規制に関する条例改正案について質問しました。

 @では「事務事業見直しで19億円削減するとしているが、福祉や医療など県民の生命や生活に直接影響を及ぼす事業の削減は極力避けるべき」と質問し、知事からは「施策の緊急度や重要度を踏まえ、県民サービス低下を極力抑え、必要最小限となるよう配慮する。来年度当初予算は行政スリム化や公債費負担の平準化等による歳出抑制対策を講じた」との答弁がありました。

 Aでは宮城交通が県内各路線の廃止方針を打ち出したことに関連し、「公共交通を守る立場から、市町村の支援体制を早期に確立する必要がある。現状では過疎・過密問題の急進も予想されており、市町村のみに任せるのではなく、具体的な支援策を打ち出すべき」と県の対応を求めました。知事は「現在、県交通計画の改定作業を進めているが、地域バランスを考慮して利便性の高い生活交通ネットワーク構築を明確に位置づけたい。当面の支援策は、現在行っている広域的なバス路線への支援を中心に対応したい」と応えました。

 Cでは「原発の耐震性の判断はかなりの厳しさが必要と思うが、安全・安心・信頼確保のため、将来発生が予想される宮城県沖地震の規模に合わせた耐震設計の見直しが必要だ」と指摘しました。これに対して知事は「現在は耐震設計指針の見直しが行われており、県では原発立地の14道県で早急に改定を国に要請している。女川原発の安全審査の必要性については国の新しい指針が出された段階で検討されるものと考えている」と答弁しました。


一般質問  岸 田 清 実 議員 (2/28)

介護保険について

 介護保険制度が出発してから6年が経過し、介護認定者は県内では当初に比較して100%の増加となっています。それに伴い各種の問題も発生しており、それに対応するため今年4月から制度改正されて新しく出発することになります。さらに県では新しい「みやぎ保健医療福祉プラン」において今後の施設整備計画の方向性などを定めることになります。これに対して

@入所施設の重度優先の方向が国から示されているが軽度の場合でも家庭環境などの考慮がおろそかになってはならない
A県内入所待機者数と県計画に乖離があるのではないか
B新しいサービスである「予防給付」の人材確保等条件整備の見通しはあるか
等等について知事の所見を求めました。

プルサーマル計画について
 1月6日東北電力が発表したプルトニウム利用計画について、1月10日の記者会見で知事が「安全性に問題が無ければよろしいのではないか」と述べたことに対して「何も決まっていない時点での発言としては問題がある」と指摘しました。海外に43トンものプルトニウムが消費のめども立たないまま保管されている中での六ヶ所再処理工場(青森県)の試験運転開始中止を求めました。


一般質問  佐々木 ひろし 議員 (3/2)

農協と農地制度改革について

 「規制改革、民間開放推進会議」が農協と農地法解体に向け強行突破を行う姿勢を示し始めた。同会議は中間とりまとめの一部を修正したが、農協と農地法をつぶす本質は変わっていません。

 農協解体の主要な柱は、全中を外して第三者機関による外部監査制を導入することと事業の分離分割という表現を改め部門別の補填を禁止するとしたことです。

 次に農地制度つぶしは、現行制度を一般の株式会社でも農地を所有し、賃借も自由にすること、農業委員会に代えて地元農業者を除いて第三者機関を設置するということです。これらの動きから農業危機、家族農業の危機と言う声が聞こえることを指摘して知事の見解を求めました。

その他の質問

@米国産牛肉のBSE問題ついて
A遺伝子組み換え作物について
B家族農業発展への提言について



予算特別委員会総括質疑  本 多 祐一朗 議員 (3/7)

高校への「就職指導支援員」配置の減員について
 県内高校卒業生の就職率はいくぶん改善傾向にあるが全国平均に達せず、厳しい状況が続いています。平成17年度には高校への就職指導支援員は50校に配置され、職場開拓や個別の進路指導等の分野で大きな役割を担い、高校卒業生の就職率の改善に貢献しています。にもかかわらず新年度予算では12人の配置の1500万円に止まり、8100万円も減額されています。高校生就職支援の大幅な後退ではないか。また、17年度は手上げ方式で希望する高校に配置したと聞くが、新年度は希望も確認せずに一方的に配置を決める方式と聞いています。少なくとも高校の希望は確認すべきであり、希望に応じて配置人数の枠を考慮すべき、と問題点を指摘しました。

その他の質問

@みやぎの将来ビジョン策定事業について
A雇用対策と雇用創出目標の設定について
B地域路線バス廃止問題への対応について
C違法駐車対策への民間事業者委託問題について
D三位一体改革と知事の対応について



総務企画常任委員会  佐 藤 詔 雄 議員 

 総務企画委員会において、公共交通問題について県民の足を守る立場から質問を致しました。国内において初めて規制緩和がトラック産業に導入されてから10年経過し、2002年2年2月からは路線バスに導入されました。そのような環境変化の中で昨年12月1日宮城交通(株)より、県内バス路線153路線の内、赤字路線61路線、114系統の廃止が発表されました。関係する市町村は33市町村にものぼり、県民にあえる影響は大きなものがあると考えられます。国県の補助は平成13年度から変更され、第3種路線に満たない路線は市町村の単独補助となったが、市町村合併協議会のなかで地域の交通体系について論議が先送りされたことが原因のひとつと考えられます。県として地域の足を守るための施策をどう考えているのか、と質問しました。県当局は「路線廃止については地域協議会の各地区部会を開催し、廃止に伴う代替交通の確保に向けた協議を行なう。現行県単補助制度の見直しなど、新たな支援のあり方の素案を策定する。市町村と各部会において意見交換し、県としての考え方も含め協議していく」と応えました。


保健福祉常任委員会  熊 谷 義 彦 議員

 今後市町村事業で行っていくことになる「障害者自立支援法」について障害者の就労システムについて整備を進めるべきであること、知的障害者の入所施設からの地域移行にあたっては船形コロニーなど県立施設に止まらず民間施設の意見も踏まえて条件整備を図るべき、との意見を述べました。またこれまで社会福祉協議会に運営を委託してきた福祉バスが次年度から廃止されることについて、これまでの利用者の利便性を損なわないよう代替措置を構ずべきとの意見を述べ、委員会としてその旨の付帯意見を添えることになりました。


【資料】

「県民生活に必要な公共交通の確保に関する決議」


 昨今の少子高齢社会など社会環境の変化の中で、県民の足としての公共交通の確保し喫緊の課題である。

 しかしの昨年12月、バス事業者から多くの赤字バス路線を廃止する方針が打ち出された。このままでは、県民生活に大きな影響を及ぼすことが懸念される。

 よって、本県議会は、地方バス路線を維持するために、国の支援策確保を含め必要な諸施策の実施を県に対して要請するとともに、今後とも、県民の足が確保された社会の実現に向けて、不断の努力を払うことを決意する。