宮城県議会2005年6月定例会の概要



  6月定例県議会は、6月21日開会し、7月7日までの17日間行われました。今議会には3億6,300万円の補正予算をはじめ65件の議案が提案され、知事の報酬カット関係の条例案は継続審議になりましたが、そのほかについては可決されました。

  補正予算は、10月に行われる衆議院1区補欠選挙と県議補欠選挙(3選挙区)の実施にかかわるものです。例年6月議会は補正予算の提案はありませんが、当初予算成立後にそれぞれの補欠選挙が確定したため今回の補正予算になりました。

  今議会では、県警捜査報償費の執行停止をめぐって議論が行われました。6月の仙台地裁判決で同報償費の不透明性が強く指摘されました。浅野知事は県警に対して同報償費の執行状況の確認を求めてきましたが、県警の内部調査でもそれが確認されなかったことから、平成17年度の同報償費の執行を停止するという異例の措置をとりました。これを巡って議会では、知事の姿勢への批判が出る一方で、県警が国の会計検査院による検査には書類を黒塗りにしないまま提出していること、一方、県の監査及び知事の閲覧は拒否していることの矛盾などが指摘されました。社民党県議団は、捜査の機密を守ることを前提としながら知事の確認作業に県警は応じるべきとの立場をとっています。

  村田町竹の内産業廃棄物最終処分場をめぐる県の対応のまずさに対して、知事の報酬を2ヶ月10%カットという処分をめぐっても議論が交わされました。問題発生後に処分場周辺の住民が悪臭のひどさを訴えたのに対して、県が適切な対応をとらないまま事態を深刻化させたことへの責任を取るとしたものです。この議案は継続審議となりました。社民党県議団は、恒久対策について地元との合意が見えない中での処分については時期尚早として継続に賛成しました。

  社民党県議団が中心となって4件の意見書を各会派に提案し、「地方財政の充実・強化を求める意見書」「米国産牛肉の拙速な輸入再開に慎重に対応し、BSE(牛海綿状脳症)の万全な対策を求める意見書」「障害者自立支援法に関する意見書」は全会一致で可決されましたが、「義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書」は各会派の合意が得られず提案まで至りませんでした。

  「小・中学校教科書採択に関する請願書」が提出され、賛否両論の議論が闘わされました。これは「新しい歴史教科書をつくる会宮城県支部」から提出されたもので、これまでの教科書を「現行教科書には相変わらず自虐的、反日的な記述が多く見られる」と批判しています。暗に「つくる会」がかかわった教科書の採択をもとめるもだとする批判がだされていました。社民党県議団は、教科書採択に関する公正取引委員会告示(他者の教科書の批判、誹謗の禁止)に抵触する恐れがあるとして採択に反対しましたが、自民党会派所属の請願紹介議員による委員会での審議打ち切り動議によって強引に採択に持ち込まれ、委員会では賛成4、反対3、棄権2で可決されました。本会議では無記名投票で採決が行われ、賛成33、反対20、白票6で可決となりました。

  今議会で向こう一年間の議会人事が決定され、社民党県議団からは本多祐一朗県議が環境生活常任委員会委員長、佐藤詔雄県議が総務企画常任委員会副委員長、熊谷義彦県議が障害児(者)支援調査特別委員会委員長に選出されました。又、社民党県議団の役員が改選となり、岩渕義教県議が会長、佐藤詔雄県議が幹事長、熊谷義彦県議が政調会長になりました。

  今議会では一般質問に佐藤詔雄議員、熊谷義彦県議、最終日の本会議での「小・中学校教科書採択に関する請願書」採択に対して本多祐一朗県議が反対討論を行いました。それぞれの要点は以下の通りです。



本会議一般質問  佐 藤 詔 雄 議員 (6/28)

                
社会環境の変化に対する生活密着事業の推進について
  河川の荒廃、交通量の増大、廃棄物の不法投棄等県民が生活するうえでの社会環境の変化への対応が急務である。ここ数年、河川の維持修繕費の推移は横ばいで、災害補正を除くと減少傾向となっており、今日の危険な状態を招いていると思う。このような河川維持修繕の現状にどう対応しようとしているのか。

介護保険の一部改正について

サキグロタマツメタ食害対策について

交通政策について



本会議一般質問  熊 谷 義 彦 議員 (7/1)

特別支援教育、モデル事業及び宮城県障がい児教育将来構想
  学校現場での医療ケアについて、現在、幼小中高、障がい児学校で医療ケアを必要とする児童等は何名おり、種別実態はどうなっているのか。昨年、厚生労働省は医療ケアについて「例外的にやむをえない」との通達を出している。厚生労働省と文部科学省の考えは一致しているのか。現場教職員は不安を感じているが、責任問題、研修問題、県医師会との協議はそれぞれどのように進んでいるのか。

将来構想
(1) 将来構想には、幼児教育と高校教育について検討の記載が無い。幼児から高校までの一貫した支援が必要だ。

(2) 将来構想を実現するために、年次計画、数値目標を設定すべきではないか。

(3) 特殊教育就学奨励費が特殊学校か普通学校かによって支給されるかどうか差が出ることをどう解決するのか。



本会議反対討論  本 多 祐 一 朗 議員 (7/7)

  本請願の要旨として4項目が掲げられていますが、これらの指摘は、現行教科書があたかも学習指導要領に沿っていないかのような誤った印象を与えるのではないでしょうか。請願の要旨に指摘されている事項は誤った認識に基づくものか、根拠の薄いものというべきであります。

  今回提出された請願書は「新しい歴史教科書をつくる会」から提出されたものです。このことは、文部科学省の「教科書採択の公正確保」の行政指導にある「教科書の編集者・著作者が採択に関与することを排除する」とした点を無視し、教科書採択の公正さを著しく欠くことになるのではないでしょうか。

  また、請願理由の中で、中学校学習指導要領第二章第二節の「歴史分野」「公民分野」の各四項目の目標から恣意的に二項目だけに絞り、しかも部分的にしか引用していないことは教科書採択基準としてはおよそ公正さに欠けるといわざるを得ません。

  本請願では「静謐な採択環境の確保」を謳いあげていますが、本請願が、むしろ「外部からの働きかけ」となり、「静謐な採択環境」を乱すことになるとすれば、自己矛盾以外の何ものでもありません。以上の理由で本請願には賛成できません。