2020年2月定例県議会報告


 定例県議会は2月12日召集され、3月17日までの35日間開かれました。今議会はいくつもの重要課題が提起され、活発な議論が展開されるとともに村井知事の県政運営手法が問われる議会にもなりました。

 新型コロナウィルス対策もあり同一会期中に2019年度予算に関する異例な3回の補正予算と2020年度当初予算が提案されました。当初予算は昨年秋の台風19号関連の災害復旧経費が含まれたこともあり一般会計で1兆1,336億円と前年比で8年ぶりに増加しました。条例議案では県民の中に大きな議論を呼んだ宿泊税創設や仙台港背後地土地区画整理事業の廃止などが提案されるとともに、東日本大震災関連の工事請負契約、包括外部監査契約などが提案されました。

 宿泊税創設では県内各地の宿泊事業者から大きな反対の声が上がりました。温泉などでは既に入湯税、消費税の徴収が行われていてそれに宿泊税が加われば三重の課税となって理解が得られないこと、都市部の宿泊専門ホテルなどは薄利多売で運営しており宿泊税は事業継続を危うくする、100円、200円の価格差で競争している中で300円の宿泊税では他県に客が流れるなどの指摘が相次ぎました。本会議代表質問や一般質問でも20人中13人が取り上げ、今議会の大きな争点となりました。その後新型コロナウィルスの感染拡大と政府による学校の一斉休業要請により宿泊キャンセルが相次ぎ、宿泊事業をめぐる環境が深刻度を増していく中で村井知事は「新型コロナウィルスによる影響を食い止めることが先決」として宿泊税創設条例案を取り下げました。

 2月定例会中の2月27日に国の原子力規制委員会は女川原発2号機の審査書を決定し、新規制基準に「合格」としました。3月2日には資源エネルギー庁の高橋長官が村井知事に面会し、女川原発2号機再稼働へ「地元同意」の要請を行いました。今後知事が原発立地の石巻市、女川町や30kmにかかる5自治体の意向を確認し、最終的には村井知事の同意の可否が焦点になります。このような動きの中で社民党県議団やみやぎ県民の声、共産党県議団、無所属の会の4会派は女川原発2号機の再稼働の是非を問う県民投票条例を議員提案しました。それに対して自民党会派は「直前まで詳しい説明が無かった」ことが問題だとして、本会議向けた議会運営委員会で同条例を提案理由説明、質疑、委員会付託を省略して即時採決することを提案し、賛成多数で可決しました。翌3月3日の本会議では条例案の提案理由説明さえもされないまま賛成少数で否決となりました。規則にのっとって提案した議員提案条例の説明さえさせないというのは数に頼った力づくの議会運営と言わなければなりません。

 県立美術館の建て替え問題も大きな関心を呼びました。2年前に専門家会議での検討によって現在の県美術館をリニューアルして使用する方向が確認されていました。それにもかかわらず、今年に入って突然に県民会館との複合施設として移転・建て替え方針が浮上しました。その検討には美術関係者が入っておらず、複合施設化で国の補助金が使えるというのが理由となっていました。現在の県美術館は日本近代建築を確立したと言われる前川國男の作品で、広瀬川、青葉山の地形を取り入れた優れた作品と評価されています。建物自体の劣化は少なく「あと60年は持つ」との評価があります。何故移転しなければならないのかの十分な説明はありません。県議会本会議でも多くの議員がこの問題を取り上げ、現在の県美術館の存続を求めました。村井知事は県議会の議論や世論の大きさから「複合施設として移転」を決定事項ではなく「検討事項」に後退させました。しかし移転複合施設化が断念されたわけではないことから引き続き注視していくことが必要です。

 昨年11月県議会で企業局設置条例が改正され、みやぎ型管理運営方式を導入する条例上の根拠ができ、今議会開会中に県営水道3事業を一体化して特定目的会社に20年間の運営権を売却するみやぎ型管理運営方式の募集要項が発表され、3月13日から募集が開始されました。これまで社民党県議団は市町村水道事業の広域化との関係、県職員の技術継承、管理運営の透明性など同方式にはいくつもの問題があると指摘してきました。いまだにこれらの問題はクリアされていません。今後応募する企業グループと県は「競争的対話」を行って優先交渉権者を決定し、契約に至ることを想定しています。しかしその間の交渉内容は「企業秘密」として情報公開されない可能性が高く、県議会、県民がチェックできないまま契約となりかねません。今後もしっかり議論していくことが必要です。

 今議会では「新型コロナウィルス感染症対策に関する取組の強化を求める意見書」など7本の意見書が全会一致で採択されました。社民党県議団は「IR推進法及びIR整備法の廃止を求める意見書案」などを会派間交渉に付しましたが、合意に至りませんでした。







本会議一般質問 熊谷義彦 (2/28)


女川2号機の再稼働は許されない、県民の生命、財産を守るために

 女川原発2号機が国(原子力規制委員会)より、再稼働の許可を受けた事もあり、放射能、原発問題に絞って質問しました。今後、女川原発再稼働については、宮城県、女川町、石巻市が同意するか否かが問われてきます。私が問題点としたのは以下3点です。

1.放射能汚染水の処理について、宮城県の対応方針がない。原発再稼働以前の重大問題である。

2.使用済核燃料、高レベル放射性廃棄物の最終処分も見通しがない中で、再稼働ができるのか、否か。

3.具体的に女川原発2号機に関連しては

(1)指定重大事故想定の工事を完了してからの申請が本来の姿であり本末転倒である。

(2)国が「責任を持ち安全」だと言わない中で、何を持って安全証明するのか。

(3)避難計画が不十分としながら再稼働に賛成するのか。

(4)女川原発から排出される各種放射性物質の保管はどうするのか。

(5)女川原発は数度の地震を受けた被災原発であり、点検手法、改善手法を問う。 (6)基準地震動を引き上げしているが、現実には、それ以上の地震が起きている。想定外では済まされない。

(7)コアキャッチャーが何故に設置されないのか、原発輸出時は設置、国内では求めないのは何故か。

(8)コアキャッチャーを設置せずに下部に水を張ることは、水蒸気爆発を誘発するのではないか。

(9)水蒸気爆発に関するデータが誤っていたが、何故、誤ったデータを判断材料にしているのか。

(10)女川原発2号機では耐圧強化ベントを残し、新たにフィルターベントを設置するとしている。ベントは住民の被曝と環境汚染を起こすが、炉心損傷事故を防止できないことを前提にしているが原発再稼働の理由は何か。

(11)不十分な避難計画のままに同意するのか。万全な計画まで同意しないのか、不十分な計画の下、事故時の責任は誰がどのようにとるのか。

(12)健康影響・人権侵害をもたらす、放射能の生活圏への放出を前提とする新規制基準、安全対策は人権上容認できない。

(13)知事は「国が責任をもって」とはいうが、国は、「安全です。責任を持ちます」とは言わない。国に転嫁するだけでは、知事の責任は、全うしない。県民の生命、財産を守るのが知事の務めである。

(14)避難計画は原発再稼働の絶対条件の1つでもあり、県内での地元説明などどのように進めていくのか。

(15)これまで原発推進を発言してきた方々も「核燃料サイクルに拘泥せず、国民の理解が得られるように丁寧に議論すべき」との発言も出ている。

 概ね以上の質問をしましたが、多くが、正面からの答弁ではなく、第三者的に答弁をしている感を強くしています。県民の生命、財産を守るべき知事としての見解を疑うものです。今後は知事発言で、「必要性、安全性、防災対策について国の方針を確認した上で、立地自治体をはじめとする県内市町村長や県議会の意見をしっかり伺う」とはしています。 今、女川原発再稼働の是非を問われている以上二度と再び原発事故を招いてはいけない。国民、県民の原発への不信が強まっている中で、原発再稼働を許してはなりません。



 

予算特別委員会総括質疑 岸田清実


2/13補正予算 阿武隈急行災害復旧を取り上げる

 昨年の台風19号による豪雨被害で一部区間が運休している阿武隈急行の復旧工事費が計上されていることに対して、あくまでも全線鉄路での復旧を求めました。村井知事が昨年の記者会見で「いろいろな選択肢がある」と述べたことにより、鉄路での復旧が放棄されるのではないかとの危惧が広がり、私鉄総連東北地連の要請を受けて社民党県議団が他会派にも呼び掛けて現地調査、全線鉄路での復旧へ知事要請を行ってきました。総括質疑では改めてこの点を質しました。計上された補正予算は鉄路での復旧を前提としたものになっています。

3/4新年度予算総括質疑

 公立病院の機能再編などを目指して県が申請し、国が決定した重点支援区域を取り上げました。県内では登米市、仙南の二ヶ所が指定されましたが、仙南は公立刈田総合病院と県南中核病院を対象にしています。公立刈田総合病院では唐突に医師を含めたボーナスカットが提案され、また病院の将来について十分な合意形成がないままベッド数削減が進められようとしています。このような動きに対して病院内の医師の反発が起きて退職が相次ぎ、診療科の休止、救急搬の送受け入れ停止などに影響がでており、市民、職員に不安が広がっています。重点支援区域指定を申請した県の責任を質し、医師、職員の合意を前提として議論を行うよう求めました。

この他にほやをはじめとした地場食材の消費拡大、原子力災害時避難計画をとりあげました。



 

建設企業委員会 岸田清実 (3/16)


 県営水道三事業の運営権を売却するみやぎ型管理運営方式について宮城県は3月13日に運営権者募集要項を発表し、企業の募集を開始しました。その報告が建設企業委員会で行われ、私はいくつかの問題点を指摘しました。まず募集開始後来年3月の優先交渉権者選定まで情報が出されない恐れがあり、それでは議会としてのチェックや受水自治体の意見反映、県民の理解につながらいこと、みやぎ型を導入することによる経費の期待削減額算定について下水道は国庫補助を使う関係で国交省の算定基準を使うにもかかわらず一定の削減が期待される根拠などについて質疑しました。桜井企業管理者からは「可能な限り情報は公開していく」との答弁がありました。